専門家チームで解決! 不動産のギモン難問 第4回 相続税のよくある誤解

不動産にまつわる問題は難しいからと諦めていませんか? この連載では、士業をはじめとする専門家チームが、さまざまな不動産に関する疑問や難問をスッキリ解決します!
≪週刊かふう2026年8月6日に掲載された内容です≫
「うちは相続税なんて関係ない」は本当?
皆さま、こんにちは。公認会計士・税理士の国吉大陸と申します。前回の司法書士・伊藝さんからバトンを受け取りました。
「相続税はお金持ちの税金でしょう?」かつては、そう言い切れた時代もあったかもしれません。相続税には「基礎控除」という非課税の枠があり、計算式は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」。例えば、奥さまとお子さま2人が相続人なら4800万円で、遺産がこの範囲に収まれば、原則として相続税はかからず、申告も不要とされています。
ところが、ご存じのとおり、沖縄の地価はここ数年、全国でも有数の上昇が続いています。ご両親が何十年も前に手に入れた自宅の敷地が、いつの間にか数千万円の評価になっていた。そんなケースも珍しくないようです。預貯金や生命保険、軍用地などを合わせると、基礎控除を超えるご家庭は着実に増えている印象です。「うちは関係ない」という思い込みこそ、実は一番の落とし穴かもしれません。
土地の値段は「1つ」ではない?
相続税の計算では、土地は原則として、国税庁が毎年公表する「路線価」をもとに評価します。一般に、実際の取引価格よりは低めの水準に設定されていると言われています。一方で、すべての土地に路線価が付いているわけではなく、路線価の定めがない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率を掛ける「倍率方式」で評価します。建物は「固定資産税評価額」で、建築費よりかなり低くなるのが一般的。さらに、人に貸している土地や賃貸アパートの敷地は、評価が一段と下がる仕組みになっています。
とはいえ、「評価が下がる=有利」と単純には言えないようです。貸せない・売れない不動産は、評価がいくら下がっても納税資金にはならないからです。不動産は「どう分けるか」「どう活かすか」とセットで考えたいところです。

「小規模宅地等の特例」という大きな味方
住宅の敷地には、驚くほど大きな特例が用意されています。「小規模宅地等の特例」という配偶者や同居のお子さんが相続するなど一定の要件を満たせば、330㎡までの部分の評価額が8割減額される制度です。仮に評価5000万円の自宅敷地なら、1000万円で計算できる可能性があります。そこには「残されたご家族の生活の場を、税金のために手放させない」という制度の趣旨があると言われています。
ただし、注意点が2つ。1つ目は、「誰が相続するか」で適用の可否が変わり得ること。遺産分割の話し合いがまとまらないままでは、原則として使えないとされています。2つ目は、特例で税額がゼロになった場合でも、申告書の提出は必要とされていることです。
長いようで、あっという間の納税期限
相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内。余裕があるように感じますが、四十九日を終え、財産を調べ、遺産分割の話し合いをまとめて……とやっていると、あっという間だったという声をよく耳にします。しかも納税は現金一括が原則。財産の大半が不動産ですと、納税のために大切な土地を慌てて手放す、という事態も起こり得ます。
だからこそ、元気なうちの備えに勝る対策はないように思います。財産の棚卸しと税額の試算、生命保険の非課税枠の活用、計画的な生前贈与など、打てる手は、相続が起きてからよりも生前の方がずっと多い、というのが日々の実感です。
【まとめ】税金は「相続の一部」。だからチームで
税金は相続のゴールではなく、分け方・手続き・不動産の活用と絡み合った「一部」に過ぎません。だからこそ、各分野の専門家がチームで関わる意味があるのだと思います。なお、税の制度は毎年のように改正され、実際の適用は個々のご事情によって変わります。まずは「うちの財産はいくらあるのか」を知ることから、始めてみませんか。
次回は、不動産コンサルティングマスターの佐藤雄樹さんへバトンをつなぎます。お楽しみに!
