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琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 喪中の御香典

琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 喪中の御香典

週刊かふう2023年8月11日号に掲載された内容です。

 

 

喪中の御香典

Q:親友が亡くなり、真っ先に御香典をお供えしたいのですが、私も先月、主人が亡くなり、喪の最中です。共通の知人に御香典を預ける方法もあると聞きますが、喪中だからダメだという人もいます。沖縄では皆さん、どうされているのでしょうか?(名護市・Kさん・80代)

A:今回のご質問は、御香典にまつわる内容ですので、語源・由来を尋ね、沖縄の一般的な作法・心得をご紹介させていただきたいと思います。

琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 喪中の御香典

《御香典の意味》

 御香典は、「ごこうでん・おこうでん」と読み、御香奠とも表記されます。不祝儀袋(金銭を収納する御香典・御仏前・御霊前などの金封袋のこと)には、御香典と表記されていることもあれば、御香奠と表記されていることもあります。
 御香奠の奠とは、「まつる(祀る・奉る)」「供える」などの意味があり、御香奠の直訳は、故人さまに対し、「お香をお供えする」という意味があります。

 昔は、お香以外に、お米・野菜などもお供えし、遺族・参列者のお食事をまかなわれていたとの資料も拝見したことがあります。現代では、「お香をお供えする」という考え方から、「お香を準備(購入)していただくための金銭をお供えする」「御香典(金銭)をお供えしていただいたお返しの御香典(金銭)をお供えする」などという考え方に移り変わり、御香典は金銭を意味する御香料といわれることもあります。

《御香典をお供えするタイミング》

 御香典は、故人さまの急な訃報に接し、お供えする不祝儀袋ですので、お葬式に引き続く告別式で受付へ手渡し、故人さまへお供えしていただくことが基本となります。告別式に立ち会うことができないとき、お通夜の席でもお供えすることができますが、お通夜は、ご遺族を中心とする悲しみ・取り込み中の席でもありますので、この点は、十分なご配慮が必要かと思います。
 また、故人さまがお亡くなりになり、取り急ぎご弔問されるときは、御香典のお供えはご遠慮されるのがマナーであるといわれています。あまりに早い御香典のお供えは、故人さまがお亡くなりになることを事前に知っていた、または予想していたかの印象を与えることになりかねないからともいわれています。

 お通夜・告別式の両方に参列する場合、両方の席で御香典をお供えすることは、悲しみが重なるなどの考え方から、作法・心得としては適切ではなく、どちらか一方でお供えするよう、ご配慮いただければと思います。

《御香典の郵送・代理焼香》

 お通夜・告別式に参列できないときは、御香典をお包みし、郵送される方法もあるといわれています。このとき、できればご遺族宛てに事前にご連絡を差し上げ、お通夜・告別式に参列できない旨をお伝え申し上げることも一案かと思います。
 ただし、御香典の郵送は、香典返しの返送という、ご遺族への負担になりかねない点もありますので、選択について、十分なご配慮が必要かと思います。

 また、代理焼香につきましては、ご友人などに御香典を預ける方法もありますが、預けるKさんが喪中であることに変わりはなく、また、預かるご友人にも香典返しのお届けのご負担がかかりますので、その点、先方さま・ご友人のご理解をいただけるようであればと思います。

《喪中の御香典》

 沖縄では喪中の期間について複数の説があり、その代表的な考え方には、
◎四十九日で喪中明けとする説
◎一周忌で喪中明けとする説
◎三回忌で喪中明けとする説
 などがあるといわれています。どの説を採用するかは地域・家庭により異なりますが、一般的に、四十九日の説は県外のしきたり、一周忌の説は今の時代の沖縄のしきたり、三回忌の説は昔の時代の沖縄のしきたりであるといわれています。

 今回のご質問のKさんにつきましては、四十九日・一周忌・三回忌、いずれを喪中明けと考えましても、ご主人の喪中明けがご親友の喪中明け(※ご主人の喪中明けとご親友の喪中明けの説が同じ場合)よりも早く訪れますので、その節に、ご親友のご法要に際し、遅ればせながら、御香典をお供えされるのも一案かと存じます。

 例えば、ご主人の三回忌を終え、ご親友の三回忌にご焼香させていただくときは、ひと言、「喪中であり、ご焼香が本日になりました」などのお悔やみを申し上げ、表書きを御香典から御仏前に書き換えてお供えされても、作法・心得の観点から、御香典をお供えさせたいただいたことに変わりありませんので、ご安心いただければと存じます。

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