僕の好きな風景 第62回 絶対湿度で考える
上から絶対湿度、温度、相対湿度。相対湿度が65%あっても絶対湿度は16g以下なので湿気を感じない
週刊かふう2022年8月5日号に掲載された内容です。
絶対湿度という言葉に、相対湿度の間違いでは? と思われた方も少なくないと思います。
今や環境設計に関心の高い建築のプロは絶対湿度で空気質を判断するのです。
絶対湿度は空気1立米(㎥)あるいは1㎏の中にどれだけ水蒸気が含まれているかを表す目安で、g/㎥やg/kgで表します(g/㎥で表す計測機が一般的)。
例えば同じ相対湿度50%でも気温が30℃と15℃では絶対湿度が2倍以上も違います(15℃の時が少ない)。
同じ相対湿度50%なのに、気温30℃(絶対湿度15.2g)の時は快適に感じ、15℃(絶対湿度6.4g)の時は乾燥していると感じる。
絶対湿度は体感湿度に近いので、相対湿度ではなく絶対湿度で判断したほうが良いのです。
一般的に冬は7gを下回ると乾燥を感じるので、うちの事務所では10gを目安に加湿を行います。
夏は16gを超えたあたりから湿気を感じるので、それを目安に冷房や除湿で調整しています。
絶対湿度を知らない頃は真冬、事務所の窓は毎日のように結露していました。
ところが絶対湿度10gをめどに加湿調整したら、ほとんど結露がなくなりました……相対湿度60%を目安にしていたのですが加湿しすぎだったのです。
もちろん10gで抑えていても乾燥を感じず快適です。
このように絶対湿度は体感に近いのでとても重宝します。
最近はプロだけではなく、家づくりを勉強する一般の方々(プロ施主と呼ばれる)も絶対湿度で話をするので、プロはもう、知らないでは済まされない時代となってきました。
何よりもごく一般の家庭でも絶対湿度を知ることで、より快適に夏も冬も過ごせるようになるのでおすすめです。
しかし、どう絶対湿度を判断するの? と思われるかもしれません。
絶対湿度も相対湿度も表示できる温湿度計がアマゾンから安く(2500円ほど)取り寄せることができますのでぜひ、お試しください。
絶対湿度に興味が湧くと、温湿度計をチェックするのが楽しくなる