僕の好きな風景 第94回 小さな吹き抜けの効果
リビングから吹き抜けを見る。吹き抜けの横は階段となっている
週刊かふう2025年4月4日号に掲載された内容です。
見えないものまでデザインされたものが良い建築であると教わってきました。
そうとは言え、建築の魅力は目に見える効果が大きいことは事実です。
豪快な空間的な操作、天窓による光の操作や変化、素材の変化による楽しさこそが建築の醍醐味です。
日頃から地味な設計で、住まい手の心地よさを設計の旨とし、カジュアルな住まいの中に美しさや気品が込められればいいと考えている身としては、斬新な建築というのは対極にあるもののように感じます。
豪快でなくても良いので、目に見える魅力と見えない効果が相まって、住まい手の心地よさに貢献できる設計がやりたいとずっと考えていました。
この住まいは香川県に建つ、延床面積30坪ほどの小さな家です。
高い断熱性能を持ち、太陽光発電によるゼロエネルギー住宅を達成しています。
冬は壁掛けエアコンで床暖房と全館暖房を行い、夏は小屋裏に取り付けた壁掛けエアコン1台で全館冷房を試みています。
階段の脇に設けた1帖大の吹き抜けは階段(階段も吹き抜けである)と共に相乗効果を生み、2階へ冬場の暖気を供給し、夏は冷気を1階のリビングへと落とす役割を持っています。
さらに、吹き抜け上部には天窓を設けて、屋根を抜けて空が見え、そこから自然光が1階まで落ちてきます。
途中で取り付けたルーバーにより、光を柔らかく室内に拡散させています。
そして、そのルーバーの奥には小屋裏エアコンへの空気のリータン(戻り)口にもなっています。
この小さな吹き抜けは、小さな家の「空間の広がり」と「光の変化」、「空気と熱のデザイン」の3つの役割を立派に果たして、住まいの心地よさに貢献することができました。
2階の廊下より天窓を見る。天窓下のルーバーが光を拡散させる
ルーバーの上には小屋裏へのエアコンの空気のリータン(戻り)口が見える