僕の好きな風景 第15回 裏通りの魅力は表出する生活感
裏通りの魅力は表出する生活感
町歩きが好きでよく散歩に出ます。それは海外でも変わらず、ひたすら歩き回る。
ある雑誌で「私的町歩き術」をまとめてみた事があります。
・裏通りを歩こう。その地の
人々の生活を五感で感じるべし。
・無作為の美を見つけるべし。
・とにかく歩き、歩くスピード
で考え感じ取るべし。
・採取したものは仕事に還元すべし。
以上の4点ですが、その価値は今でも変わりません。
裏通り(路地)の楽しさは万国共通、観光名所や名建築を訪ねる旅もいいですが、路地歩きこそ旅の醍醐味だと言えましょう。
「路地歩きの魅力は何か?」 路地には家々の生活感が溢れ出ていて、その連鎖がその土地の独自の空気感を創り出し、それが自分に「気づき」をあたえてくれるからだと思います。
特に、下町の路地は「町と家とのほどよい関係」を考えるヒントがたくさん隠れています。
ほんの小さなスペースにも緑が植えられ、目隠しとなり、それが真夏の日射遮蔽にもなって、さらには道行く人を楽しませてくれます。お年寄りがいるお宅では玄関前が掃き清められ、掃除用具でさえ、美しく並べられ、その家の「住まい方」が路地に表出してくる事が興味深い。
海外では時々、生活感だけではなく、住民の遊び心や美的感覚も強く感じる事があります。建築を暮らしの器として捉えている身としては、路地はものつくりのヒントが詰まっている空間なのです。