僕の好きな風景 第10回 風景を創り出すプール
風景を創り出すプール
水平線を創り出し、空や景色と溶け込むようなプールをインフィニティプールと言い、幻想的な風景を創り出して、非日常の世界へ導いてくれます。
今や世界中のリゾートホテルのプールでは珍しくない手法ですが、最初に試みたのはスリランカの「ヘリタンス・アフンガラ」ホテル。設計は、スリランカの建築家ジェフリー・バワでした。
アフンガラのインフィニティプールは、浅いプールから海に向かって徐々に深くなり、その水平線が海に重なり空に続く構成です。インフィニティプールの効果は見る位置によってずいぶんと変わるので、写真からは分かりにくいのですが、その効果は一度体験すると強く心に残るものです。
僕が、最初にその効果を体験したのはバリ・ウブド地区にある「アマンダリ」ホテル(設計:ピーター・ミュラー)でした。アマングループのリゾートホテルの名声を不動のものにしたホテルとして、憧れを持って出かけて見たのです。
プールサイドで読書でも・・・と思ったのですが、美しい水平線の秘密を探るためにプールに入りました(泳ぎは得意でないが)。するとプールの縁の底が曲線になっているではありませんか? それでプールの底の線が消えて、水面の鏡面効果が増すのです。
先人の設計の工夫、いや、秘密と言いましょう! それを発見できて、同じ設計者として思わず頬が緩んだものです。
アマンダリプールは、水面に周辺環境を映し出し、刻一刻と変化する環境の一部となっていました。