僕の好きな風景 第7回 建築の光
建築の光
あけましておめでとうございます。
今回は、新年「初日の出の神々しい光にちなんで特別な光の話。
建築の中の光にも「明るさ」とは異なる特別な光があります。
「建築は光である」と言っても決して過言ではないほど、光が建築を創り上げていると言っても良いでしょう。だからこそ建築家は光を大事にします。建築の素材や空間に命を与えるのが光なのです。そして光は常に影と一対のものです。
その光の魅力を強く感じた建築が、ローマのマルス広場に建つ今から1900年ほど前に建設された「パンテオン神殿」……。建築に関わるようになってずっと見たい、見上げてみたいと願っていました。
ドームの頂上から降り注ぐ光はまさに神の光……、心を揺さぶる建築の光の尊厳を感じさせてくれました。
もうひとつの神の光は、ル・コルビュジェ設計の「ロンシャンの礼拝堂」。コルビュジェの後期の代表作であり、コンクリートの創り出す形態の柔らかさや自由さ、堅さや強さなどコンクリート建築の魅力を活かした彫刻のような存在感です。
建築のプロだけでなく、一般の方々にも建築の魅力が伝わる傑作だと思います。
内部に一歩踏み込んだ時の光の魅力に、誰もがこの礼拝堂の虜になることでしょう。
パンテオンが力強い神の光なら、ロンシャンは優しく癒してくれるような光……ステンドグラスの色を通してさまざまな色の光と、透明ガラス越しのストレートな直射日光が、建築の中の光の魅力を余すことなく伝えてくれます。