あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

ウェブマガジン

僕の好きな風景 第3回 外部と内部を ゆるやかにつなげる

僕の好きな風景 第3回 外部と内部を ゆるやかにつなげる

外部と内部を ゆるやかにつなげる

幼い頃の嘉手納の実家は、外部と内部が雨戸で仕切られただけの伝統的な民家でした(小さな家でしたが……)。
雨戸を開け放つと軒下と一体になり、外と内がゆるやかにつながります。
沖縄では軒下を雨端(アマハジ)と呼び、大人たちのコミュニケーションの場であり、子供たちの遊び場でもありました。夏のまぶしいほどの陽射しも突然やってくる土砂降りの雨も、雨端が防いでくれました。幼い頃、はだしで雨端と室内を出入りして、よく母にしかられたものです。
湿気から家を守るために高床にし、床下の通風を確保し、軒が覆いかぶさるように家全体を包み込む……沖縄の家は屋根と柱しかないような構成ですが、当時の子供たちはまるで屋根の下が室内であるかのように感じたに違いありません。言い換えると、昔の沖縄には「壁」の感覚がないと言った方が良いのかも知れません。
沖縄の伝統的な外部空間の中で、ヒンプンと雨端の存在が、住まい手の暮らしを守りながらも、家を町へ、ゆるやかにつなげる役わりを担っていたと感じています。
写真は伊是名島の銘苅家の雨端。まるでグラデーションを描くかのように外部と内部がつながっていく様子がよくわかります。
この空間の心地よさを現代の住まいにどのように取り入れていくかを模索中。
コンクリートとアルミサッシのみで外部と内部、町と家を分けるのではなくて、雨端という魅力的な居場所を現代の町と家の間に位置づけられたらと……。

僕の好きな風景 第3回 外部と内部を ゆるやかにつなげる

僕の好きな風景 第3回 外部と内部を ゆるやかにつなげる

このカテゴリの記事