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新着 不動産相続Q&A File.4 遺産分割に関する新たなルールの導入

新着 不動産相続Q&A File.4 遺産分割に関する新たなルールの導入

法務省ホームページ(HP) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00435.html より抜粋

 

週刊かふう2022年6月24日号に掲載された内容です。

 

 

遺産分割に関する新たなルールの導入

今回は、土地や建物などの「遺産分割に関する制限」について、区長と青年会長のおしゃべりで解説します。

【青年会会長(以下、青年会)】 区長、どうしたんですか? いつになく神妙な顔をして。

【区長】 世の中、割り切れないことが増えてると思わないか?

【青年会】 割り切れない思いですか? なにか世知辛いですね。

【区長】 私の知り合いで、遺産分割の協議が進まずに困っている人がいるんだよ。遺産分けは、財産を分けるだけでなく、時には人の思いも分けてしまうからね。

【青年会】 遺産分割ですか? 配偶者が半分で、子供が残りの半分を平等に……みたいなことを聞いたことがありますよ。

【区長】 それは法定相続分と言うんだ。遺言がなければ法定相続分が適用される。でも、相続人全員で遺産分割の合意ができれば分け方は自由だよ。

【青年会】 基準としての法定相続分でしょうが、それぞれの家庭の事情に関わらず一律に平等というのも、かえって不平等になる気もしますね。

【区長】 そこで、寄与分や特別受益という仕組みがあるんだ。被相続人(亡くなった人)の財産の維持または増加について特別に寄与したものや生前贈与などを考慮に入れるんだね。それを法定相続分にプラスマイナスして算出したものを「具体的相続分」と言っている。

【青年会】 なるほど、そうやって相続人間の不公平を調整することになっているんですね。

【区長】 それについて改正が行われたんだ。原則として相続開始から10年を経過すると、遺産分割のときに具体的相続分の主張をすることができなくなるんだ。

【青年会】 なぜ、そんな改正が必要なんでしょうか? 亡くなった時の事情は10年経っても変わらないはずですが。

【区長】 いやいや、遺産分割では相続人全員が合意しなければならないから、時が経てば難しくなってくるんだよ。

【青年会】 なるほど、全員で話し合うことも大変になってきますね。放置しているうちに相続人が亡くなったら、その相続の権利は無くなるんですか?

【区長】 いや、相続の権利は相続人の相続人へと相続されていくんだ。いわゆる数次相続と言われるものだね。相続人がどんどん増えていくから、 その結果、相続人の所在を探し出すことすらも難しくなってしまう。つまり所有者不明土地の発生の一因になってしまうというわけだ。

【青年会】 10年という期限ができると、具体的相続分を主張したい人は早めに遺産分割をしなくては、という気になりますね。

【区長】 そうやって遺産分割を促し、放置される土地を減らしたいというのが、改正の目的なんだね。それに、10年以上も経つと寄与分や特別受益を算定するための事実関係を確認するのも難しくなってしまうだろうからね。もちろん、10年経っても今までどおり相続人全員の合意によって具体的相続分での遺産分割は可能だよ。ただ、主張はできなくなるということだ。

【青年会】 いま思い出したんですが、10年前に僕が1万円を貸したこと覚えてますか?

【区長】 さぁ~、昔(10年前)のことを言われてもな~。もらったのかもしれないし。

【青年会】 私が他人に1万円もあげるわけないでしょ。返してくださいよ!

【区長】 証拠はあるのかね? そもそも時効じゃないの?

【青年会】 ぐぬぬ……。

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司法書士 高良 和也(こうら かずや)

令和2年度司法書士試験合格
司法書士法人きゃん事務所 〒901-1304 与那原町字東浜23番地2
Tel:098-882-8177 Fax:098-882-8178

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