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新着 不動産相続Q&A File.11 配偶者居住権について

新着 不動産相続Q&A File.11 配偶者居住権について

週刊かふう2023年1月27日号に掲載された内容です。

 

 

配偶者居住権について

今回は、相続法改正の中で令和2年4月に施行された「配偶者居住権」について、区長と青年会会長のおしゃべりで解説します。

【区長】 2023年がスタートしたね。昨年は沖縄の本土復帰50周年の節目の年で“ちむどんどん”する1年だったが青年会長はどんな1年だったかね。

【青年会会長(以下、青年会)】コロナ2年目で少しは日常を取り戻しつつ、後半は祭りなどのイベントも再開されて少しブラボーな1年だったかな。

【区長】 少しブラボーって表現が昨年らしいね。さて、今回は少し時を戻して平成30年7月に成立、令和2年4月に施行された配偶者居住権について話をしてみよう。

【青年会】 現在、恋人募集中で独身ですが将来のためにご教授をお願いいたします。

【区長】 OK! 配偶者居住権は高齢の残された配偶者が住み慣れた居住環境での生活を維持するために創設された権利。従前は、配偶者の持ち家に同居していた他の配偶者が住み続けるには自宅を相続(所有権を取得)するというのが一般的だった。ところが不動産の評価額が上昇して高額となり、自宅を相続することで取得割合が法定相続分に達して預金の相続ができなくなって生活費が不足するという問題が生じてきたんだ。

【青年会】高齢になってから引っ越して新たな生活環境に対応するのは大変だし、老後は生活資金も必要になりますからね。具体的にはどうなるのですか。

【区長】 所有権に比べて評価の低い居住権を取得させる配偶者居住権という終身無償で住む権利(使用権)を与えることを考えた。例えば、遺産総額5000万円(自宅が2000万円の評価、預金が3000万円)、相続人が2名のケース(妻と子1名/法定相続分各自2500万円)において、改正前だと妻が自宅を取得すると預金を500万円しか取得できず、老後の生活費が厳しくなる。一方で改正後だと自宅の評価が配偶者居住権(1000万円)と負担付所有権(1000万円)に分けられ配偶者は終身無償で居住しながら預金も多く取得することが可能となり、老後の生活費もめどが立つわけだ。

【青年会】 なるほど、配偶者と他の相続人とのバランスを取る内容ですね。子が複数名いる場合に親と同居する相続人は配偶者居住権を設定すれば負担付所有権になり、預金等を多めに取得できそうですね。その他、短期の居住権が制定されたとも聞きましたが?

【区長】 配偶者短期居住権ができたね。相続開始時に自宅に住む残された配偶者は、①遺産分割協議の結果、自宅を他の相続人が相続することになったり、②遺言等で他の者が取得することになっても一定期間は自宅を無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を取得する。①のケースは遺産分割が成立するまで(最低6カ月は保障)。②のケースは自宅の新たな所有者から消滅(退去)請求を受けてから6カ月は無償で住めることになる。

【青年会】 配偶者が自宅に住み続けられない場合でも、引っ越しまで一定期間の猶予を与え遺産分割の確定や消滅請求後引き渡すまでの間は無償であることが明記されたのですね。配偶者は腰を据えて遺産分割協議ができることになりますね。法律って愛情とバランス感覚が働いているのですね。勉強になりました。

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※図表参照/配偶者居住権の評価は例示であり、具体的な算定方法は専門家へ問い合わせください。

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司法書士 幸良 和也(こうら かずや)

令和2年度司法書士試験合格
司法書士法人きゃん事務所 〒901-1304 与那原町字東浜23番地2
Tel:098-882-8177 Fax:098-882-8178

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