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新着 不動産相続Q&A File.22 形骸化した登記の抹消手続きの簡略化

新着 不動産相続Q&A File.22 形骸化した登記の抹消手続きの簡略化

<法務省HP「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」から抜粋>

 

週刊かふう2023年12月22日号に掲載された内容です。

 

 

形骸化した登記の抹消手続きの簡略化

令和3年4月に法改正等された所有者不明土地解消に向けた見直しの中で、不動産相続に関する身近な情報を中心に提供します。
今回は「形骸化した登記の抹消手続きの簡略化」について、区長と青年会会長のユンタクで解説します。

【区長】 今回の改正は相続登記の義務化が大きく取り上げられておるが、その他にも多くの改正が行われている。今回は登記の抹消手続きの簡略化について話をしてみよう。このテーマは自分事として該当する方は多くはないと思われるが、該当しない方は相続手続きの勉強として、または知人友人へ教える立場として聞いてほしい。

【青年会会長(以下、青年会)】そうですね。「形骸化した登記の抹消手続きの簡略化」とは、どのような内容の改正なのですか。形骸化を国語辞典で調べると『実質的な意味を失い、形だけが残ること』と記載されていました。つまり、『実質的な意味を失い、形だけが残る登記の抹消手続きの簡略化』ですか。

【区長】 そのとおりだ。相変わらず、青年会は頭がキレキレだな~(笑)。では、どのような登記が今回の改正になったかを確認していこう。
 大きく3つの登記があって、①買戻特約の抹消、②存続期間が既に満了している登記の抹消、③解散した法人の担保権の抹消。簡単に説明すると抹消登記の権利者である所有者が単独で抹消登記申請ができるという改正だ。

【青年会】 学校で習ったことはないですが、週刊かふう「新着 不動産相続Q&A」で登記は権利者義務者が共同(協力)して手続きをすると聞いたことがありますが、その例外になるのですね。

【区長】 そのとおりだ。一つずつ説明していこう。まず、買戻特約の抹消。買戻特約の登記は、県や市町村または住宅供給公社が埋め立て地や宅地分譲地を販売する際によく利用されており、民法で買戻特約の期間は長くて10年と規定されている。そこで、買戻特約の登記から10年を経過している登記は形骸化していると考え、権利者(所有者)単独で抹消登記が申請できる。

【青年会】 今後は10年経過していると買戻権者と共同(協力)して登記をする必要はないのですね。

【区長】 次に存続期間が既に満了している登記の抹消。存続期間が既に満了している地上権等について、地上権者等の所在が判明しない場合は公示催告の申立、除権決定を得て権利者(所有者)単独で抹消登記ができる。改正のポイントは地上権者等に相続が発生しているケースでその相続人の所在が判明しない場合にも適用される。

【青年会】 存続期間が満了している場合は、登記が形骸化しているので抹消登記請求の訴えを提起せず、公示催告手続きで単独抹消ができるのですね。

【区長】 最後に解散した法人の担保権の抹消。これまでも休眠担保権の抹消手続きの規定が置かれていたが、法人の場合はその要件である「登記義務者の所在が知れない」について解散法人の登記簿が存在する以上、適用が難しかった。そこで、解散した法人の清算人の所在が判明しない場合において、解散後30年が経過し、かつ、被担保債権(借入金)の弁済期から30年を経過したときは、供託等をしなくても権利者(所有者)単独で抹消登記ができることになった。

 休眠担保権の抹消では被担保債権額(借入金)の全額、その利息および損害額の全額に相当する金銭を供託する必要があるが、その対比においても利用がしやすくなった。清算人の所在調査も現地確認までは要求されてなく、住民票や戸籍の附票で住所を調べて、その住所へ宛てた郵便物の到達が不到達となることで所在が知れない要件を満たすことになる。

【青年会】 なるほど! 形骸化した登記の抹消は、登記を実体と合わせる意味でも意義がありますね。実体と合わせることにより不動産の取引が行いやすくなり経済活動が活発になりますね。

新着 不動産相続Q&A File.22 形骸化した登記の抹消手続きの簡略化

司法書士 喜屋武 力(きゃん つとむ)

平成7年度司法書士試験合格
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