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知っておきたい 相続の基礎Q&A File.6

知っておきたい 相続の基礎Q&A File.6

週刊かふう2020年3月27日号に掲載された内容です。

寄与分について

平均寿命が延び、亡くなるまで長期間介護が必要なケースが増えてきました。中には、施設や職業付き添い者の利用を控え、親族で介護をするケースもあります。そのような場合、どうしても負担を平等に分かち合うのは難しい面があるのですが、それらが相続の場面でどのように考慮されるのか見ていきましょう。

Q.私は、妻と相談して高齢の母を引き取って同居して一緒に住んでおりました。

 父は既に亡くなっています。また、母の妹(叔母)が生涯独身でおりましたが、叔母さんについても妻と相談して、私の家に引き取って住んでおりました。
 私と妻は、母についても叔母についても、生活の面倒を見てきました。母は、亡くなる数年前から、認知症となってしまい、徘徊などの症状も出て捜索願を出したことがあるなど常時見守りが必要で、排便の世話もする必要がある状態でした。
 このような生活の中、母が亡くなり、後に叔母が亡くなりました。2人とも遺言は作成していなかったようで、それらしいものは見つかりません。
 母の相続人としては、私の他に私の兄がおりますが、長男であるのに親の面倒をほとんど見ていなかったので、母を相続する割合は少なくていいと思っています。
 また、叔母の相続人としては、母や叔母の弟に当たる叔父がおります。
 このような状況の中で、私の相続分を多めに認めてもらうことができるでしょうか。献身的に支えてくれた妻のためにも、私の相続分を多めに認めてもらいたいと思っています。

A.今回、お母さんと叔母さんは遺言書を作成していないとのことですので、相談者の相続分が多く認められるかどうかは、相談者に寄与分が認められるかにかかってきます。

 寄与分とは、共同相続人の中で、被相続人の財産の維持または増加に「特別の寄与」をしたと認められる程度の貢献をした人がいるときに、共同相続人間の不公平を是正するために、その貢献をした人に相続財産のうちから相当額の財産を取得させる制度です。
 寄与分が認められるべき貢献の種類としては、財産上の給付以外にも、労務の提供や被相続人の療養看護などがあります。
 まず、お母さんの面倒を見ていた点については、被相続人の療養看護に当たりうるものですが、単に生活の面倒を見たというだけでは、寄与分を認めることはできません。親子間には扶養義務がありますので、相続人の寄与が「特別の寄与」と認められるには、被相続人と相続人との親子という身分関係によって通常期待されるような程度の貢献では足りず、ある程度大きな貢献が必要となるからです。
 本件の場合、相談者が認知症になってしまった後のお母さんの常時見守りや排便の世話等を行ったことによって、職業付き添い者の費用の支払いを免れたと言えるような場合は、通常の扶養の範囲を超えているといえ、これを寄与分として算定することができます。寄与分の金額の計算方法としては、その期間にヘルパーなど職業付き添い者を依頼していたと仮定すると、どの程度の出費が必要になっていたかという点を参考にするといいでしょう。
 他方、叔母さんの生活の面倒を見ていたということですが、叔母さんと甥の関係では、家庭裁判所による特別の決定が無い限り、扶養義務はありませんので、生活の面倒を見たことによる出費等は寄与分として考慮される可能性があります。
 また、相談者の妻の貢献に関しては、寄与分は相続人の貢献を考慮するものですから、妻の負担があなたの貢献と一体となっていたと認められるような特別の関係がなければ、当然に相談者の寄与分として認められるものではありません。
 もっとも、相談者の妻の療養看護が「特別の寄与」に当たる場合には、相談者の妻は、お母さんおよび叔母さんの親族に当たりますから、特別寄与者として、相続人に対して寄与に応じた金銭の支払いを請求できるという制度が最近できました。このような場合、相談者の妻から特別寄与料の請求をすることを検討してみると良いでしょう。

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