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基礎からわかる相続Q&A SEASON3 File.1 親族が亡くなった際にまず検討すること

基礎からわかる相続Q&A SEASON3 File.1 親族が亡くなった際にまず検討すること

週刊かふう2024年1月19日号に掲載された内容です。

 

Q.先日、急に父親が亡くなったと連絡がありました。父は自宅件店舗で自営業をしており、何年か前に建て替え、その資金は銀行からの借り入れだそうです。私も経済的に余裕があるわけではないので、もし負債があってもその負担は難しいです。
限定承認という相続の手続きがあると聞きましたが、財産だけを相続して借金は相続しないという手続きなのでしょうか。

先日、急に父親が亡くなったと連絡がありました。父はそこまで高齢ではなかったので、突然の連絡で驚いています。私は実家を出てから県外で暮らしており、両親と疎遠にしていたので、現在の父の状況についてよくわかっていません。
父は、生前、自宅件店舗で自営業をしており、何年か前に自宅件店舗の建物を建て替えしておりました。建て替えの資金は銀行から借り入れたと聞いていますが、詳しい話はわかりません。私も経済的にそこまで余裕があるわけではないので、父の銀行の借り入れが残っていてもその負担は難しいと思っています。
そんなことから、限定承認という相続の手続きがあると聞いたのですが、財産だけを相続して借金は相続しないという手続きなのでしょうか。

A.残念ながら、限定承認は財産だけを相続するような都合の良い手続きではありません。
限定承認をした場合は、相続財産の清算手続きを行うことになります。清算手続きは限定承認をしたことおよび債権の請求をすべき旨の公告(官報掲載)の手続きをとることから始まり、法律に従って財産の換価、負債の弁済等を行うことになります。

相続人となられる方は、誰かが亡くなった時に、その方が生前持っていた財産(これを遺産と言います)を相続するかどうかをまず決める必要があります。

相続が開始した場合(誰かが亡くなった場合)、相続人は①単純承認、②相続放棄、③限定承認の3つのうち、いずれかを選択することになります。
これを選択することができる期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内とされています。もっとも、この期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても、これらの手続きのどれをするかを決定できない場合には、家庭裁判所に対し期間の伸長を申し立てることができます。

①単純承認は、亡くなった方の遺産の権利義務を受け継ぐことです。相続分に応じて、プラスの財産の権利だけではなく、マイナスの財産の義務も承継することになります。

②相続放棄は、亡くなった方の権利義務を受け継がない旨を家庭裁判所に申述することにより、亡くなった方の権利義務を一切受け継がない手続きです。
相続財産を処分してしまった場合や自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月を過ぎた場合は、単純承認をしたものとして取り扱われることが原則ですが、借金の存在を知った時期がずれていた場合等は、これらに該当していても相続放棄が認められる余地があります。
もし3カ月を過ぎてしまっている場合などでも、相続放棄を希望するのであれば自分で判断して諦めず、急いで弁護士に相談することをお勧めします。

③限定承認は、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務負担を受け継ぐ手続きで、相続放棄をした相続人を除く相続人全員で家庭裁判所に申述することによって行います。

残念ながら、限定承認は財産だけを相続するような都合の良い手続きではありません。
限定承認をした場合は、相続財産の清算手続きを行うことになります。清算手続きは限定承認をしたことおよび債権の請求をすべき旨の公告(官報掲載)の手続きをとることから始まり、法律に従って財産の換価、負債の弁済等を行うことになります。
また、相談者のように不動産が遺産に含まれるケースで限定承認をすると、相続開始時に不動産を時価で売却したとみなされて 相続税ではなく譲渡所得税の対象になります(所得税法59条)。

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