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新着 不動産相続Q&A File.29 「相続土地国庫帰属制度」について

新着 不動産相続Q&A File.29 「相続土地国庫帰属制度」について

週刊かふう2024年7月26日号に掲載された内容です。

 

 

 

「相続土地国庫帰属制度」について

不動産相続について司法書士の経験と目線から実践的なアドバイスや解決策を提供します。今回は、不要な土地の処分方法として期待される「相続土地国庫帰属制度」について、区長と青年会会長のユンタクで解説します。



【青年会会長】(以下、青年会)とち~ とち~ 土地は~いらんかね~~

【区長】 おい青年会、朝っぱらからなにしてる。

【青年会】 区長、聞いてくださいよ。うちのおやじが土地を相続したんですけど、その土地の使い道がないんで不動産屋に行ったら、その土地は「ただでも売れない」って言われたんです。

【区長】 それで近所を練り歩いてるのか。

【青年会】そうなんです。おやじの命令で、昨日から歩き回って疲れてしまいました。

【区長】それなら、「相続土地国庫帰属制度」という、相続した土地を国が引き取る制度が令和5年4月27日から始まっているので検討してみたらどうかね。

【青年会】そうぞくとちコケコッコ?

【区長】ちがーう! これは、望まない相続によって土地を取得した者がその土地を手放して国に帰属させることを可能とする制度なんだよ。

【青年会】国に帰属って、簡単に言えば国が引き取ってくれるってことですか。

【区長】 簡単に言えばそうだな。

【青年会】すごく便利な制度じゃないですか。では手続きに行ってきます。

【区長】待ちなさい。どんな土地でも国に帰属させることができるわけじゃないんだぞ。建物が建っている土地や抵当権が設定されている土地、他人の通路とされている土地などは帰属させることができない。まずは相続した土地の所在地を管轄する法務局に予約を取って事前相談をすることから始めよう。

【青年会】簡単にはいかないんですね。

【区長】事前相談が済んだら、次は申請書を法務局に提出して審査(手数料がかかる)をしてもらう。

【青年会】審査はどのくらい時間がかかるんですか?

【区長】標準処理期間は8カ月とされているが土地によっては調査に時間がかかる場合もあるので、8カ月はあくまで目安の期間だね。

【青年会】結構な時間がかかるんですね。

【区長】そして、帰属が承認されると負担金を納付しなければならない。

【青年会】お金を取るんですか。

【区長】 土地を国に帰属させずに自分でずっと管理していく費用等の負担を考えれば当然じゃないかな。負担金は土地の性質(「宅地」「農地」「森林」「その他」に区分される)に応じて標準的な管理費用を考慮して算出した額の10年分(原則20万円)と決められていて、土地の性質と面積によって金額は変わってくる。

【青年会】そうなんですね。

【区長】申請者が負担金を国に納付した時点で土地の所有権は国に移転し、その後の管理や処分は国が行うことになる。この制度は相続人にとって不要な土地が相続登記されずに所有者不明の土地になっていくことを防ぐための制度でもあるので、不要な土地を相続した人は一度検討してみるといい。

【青年会】施行から1年過ぎましたが、どれくらい利用されているんですか。

【区長】法務省によると令和6年5月31日現在、申請件数は2207件、帰属件数は460件となっている。この制度が周知されていくともっと増えてくると思うがね。

【青年会】じゃあ、早速法務局に予約を入れて事前相談に行ってきます。

【区長】ちょっと待て。申請ができるのは土地を相続した本人(または法定代理人)に限られるので、本人が任意に選んだ代理人は手続きができないことに注意が必要だ。相続土地国庫帰属制度の代理人を語った詐欺等も考えられるので、そう言ってくる人には気を付けないといけない。申請書については、作成代行を司法書士等の専門家が行うことができるので気軽に相談に行けばいい。

【青年会】わかりました。区長、今日はありがとうございました。

新着 不動産相続Q&A File.29 「相続土地国庫帰属制度」について

司法書士 伊藤 徹(いとう とおる)

令和5年度 司法書士試験 合格

司法書士法人きゃん事務所
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