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基礎からわかる相続Q&A SEASON3 File9 配偶者居住権と節税効果の大小について

基礎からわかる相続Q&A SEASON3 File9 配偶者居住権と節税効果の大小について

週刊かふう2024年9月20日号に掲載された内容です。

 

Q.
今年健康診断を受けたところ、重い病気にかかってしまいました。残念ですが妻と残りの時間を有意義に使おうと話をしています。私は持ち家で妻と一緒に生活しており、近所のアパートにいる息子が家まで様子を見に来てくれたりして、助かっております。
 私の家は、最近近所の開発が進んできたこともあって、かなり評価額が高くなってきています。私としては、私の死後も妻がこの家で生活できるようにし、妻も亡くなった後は息子に家をついでほしいと思っており、それに向けた遺言書の作成を検討しています。
配偶者居住権という制度を利用すると節税につながるという話を聞いたのですが、どのような制度でしょうか。

今年健康診断を受けたところ、重い病気にかかってしまっていることがわかりました。私も高齢になってきていましたので、残念ですが妻と残りの時間を有意義に使おうと話をしています。私の家族は、私の持ち家で一緒に生活している妻と、近所のアパートで生活している息子がいます。私たち夫婦が高齢になってからは、息子がちょくちょく家まで様子を見に来てくれたりして、助かっております。

 私の家は、最近近所の開発が進んできたこともあって、かなり評価額が高くなってきています。私としては、私の死後も妻がこの家で生活できるようにし、妻も亡くなった後は息子に家をついでほしいと思っており、それに向けた遺言書の作成を検討しています。

 配偶者居住権という制度を利用すると節税につながるという話を聞いたのですが、どのような制度でしょうか。私たち家族の状況でも節税効果があるでしょうか。

A.夫婦の一方が亡くなった後、残された方が住み慣れた住居で生活を続けやすくするために配偶者居住権がという制度があります。また副次的な効果として、節税効果も期待できますが、相続税の算定には様々な要素や制度があるので注意が必要です。まずは税理士等専門家への相談をお勧めします。

配偶者居住権とは、残された配偶者が被相続人の所有する建物に居住していた場合で、一定の要件を満たすときに、被相続人が亡くなった後も、配偶者が、家賃の負担なくその建物に住み続けることができる権利です。あくまでも配偶者が住み続ける権利なので、売却したり所有者に無断で賃貸したりすることはできません。

この制度は、完全な所有権を「配偶者居住権」と「配偶者居住権の負担付の所有権」の2つに分割する、というイメージです。配偶者居住権は、遺言によって取得させることもできます。

 相談者及び配偶者が亡くなった後のことまで考えると、相続税の節税という観点から配偶者居住権を利用するメリットがあることもあります。相談者が亡くなった後に配偶者が亡くなった際、子どもが相続するときにも一定以上の財産が相続される場合には相続税が発生することになりますが、配偶者が家の所有権を相続していた場合には、子どもが配偶者から家の所有権を相続することになり、家の価値を含めた財産について相続税の金額の算定をしなければならないことになります。

これに対し、相談者が亡くなった際に、配偶者には配偶者居住権を、息子には配偶者居住権の負担付の所有権を相続させていた場合には、その後に配偶者が亡くなった際、子どもの家の所有権についていた配偶者居住権の負担はなくなりますが、あらたに家に関する権利を相続するわけではないので、配偶者様が亡くなった際に子どもが負担する相続税の金額の算定を抑えられることに繋がります。

 ただし、相続税の算定には、様々な要素や制度があり、制度の一つとして「小規模宅地等の特例」というものがあります。この制度は相続税の算定に当たり評価額を減額するもので、両親がともになくなった際に持ち家がない子が相続する場合に利用することが可能です。相談者様のお子様はアパートにお住まいとのことですので、配偶者様が亡くなった際にも持ち家がなければこの制度を利用できるかもしれません。
この制度を利用するほうが、配偶者居住権を利用するよりも節税効果が高い可能性があります。

基礎からわかる相続Q&A SEASON3 File9 配偶者居住権と節税効果の大小について

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