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新着 不動産相続Q&A File.33 「デジタル遺産の相続」について

新着 不動産相続Q&A File.33 「デジタル遺産の相続」について

週刊かふう2024年11月22日号に掲載された内容です。

 

 

 

新着 不動産相続Q&A File.33 「デジタル遺産の相続」について

「デジタル遺産の相続」について

不動産相続について司法書士の経験と目線から実践的なアドバイスや解決策を提供します。今回は、現物のない「デジタル遺産の相続」について、区長と青年会長のユンタクで解説します。

【青年会会長(以下、青年会)】区長~、“デジタルイサン”って知っていますか。

【区長】最近、琉球新報で読んだぞ。「デジタル遺産」のことだろう。インターネットやスマートフォンが普及して新たな遺産が誕生したといえるな。

【青年会】 最近、友人のお父さんが急死したんですが、パソコンやスマホで株式等の取引をしていたようで、家族は全員アナログ人間で相続手続きに四苦八苦しているそうです。

【区長】不動産や預金などは固定資産台帳や通帳等で目にすることができるが、デジタル遺産はインターネット上やスマホ等の機器に保存されているデータなので探すのも大変そうじゃな。

【青年会】そうなんです。スマホのロック解除をするパスワードがわからず苦労したそうで、何度かパスワードを間違えて工場出荷時の状態に戻って初期化されたとか。幸いメモ書きが見つかり、なんとかロックは解除できたようです。

【区長】それは良かった。なら今回はデジタル遺産の調査方法を中心にユンタクしてみよう。代表的なデジタル資産として、ネット証券口座と暗号資産(仮想通貨)があるようだ。

【青年会】 あまり聞き慣れないものばかりですが、説明してもらえませんか。

【区長】まず、ネット証券口座だが、新NISAも始まり口座も増え続けているようだぞ。気軽に開設できるため家族に知られていないケースも少なくないが、証券会社の名前さえ分かれば、IDやパスワードまで突き止める必要はなさそうだ。

【青年会】本当ですか⁉

【区長】調査方法は基本的に次の3つのステップ。①パソコンやスマホの履歴またはアプリ等を確認する。具体的には、インターネットの検索履歴で証券会社のHPへアクセスしていないか、メールの受信履歴で証券会社からメールが来ていないか、ネット証券のアプリはないか等の調査をする。②故人の通帳に証券会社からの出入金がないかを調べる。その場合は過去の通帳(繰り越し済み通帳)も調べる。③証券保管振替機構(ほふり)へ問い合わせをする。等々である。

【青年会】いずれにしてもスマホのロック解除は大事ですが、なんとか調査はできそうですね。

【区長 】次に仮想通貨だが、これはなかなか手ごわそうだ。代表的なビットコインの他にもさまざまな銘柄があるが、暗号資産を処理する唯一の方法は「秘密鍵」を保存した「ウォレット(財布)」を探すことが必要。「秘密鍵」とは暗号資産の持ち主であることを証明するIDのようなもので、「ウォレット」とは秘密鍵を保管する入れ物(財布)のようなものを言うらしい。なんか目が回ってきたな。 

【青年会】 さすがに素人では難しいことがよくわかりました。故人が「秘密鍵」を残していないと対処法がないことは何となくわかりましたが、仮に「秘密鍵」がわかっても「ウォレット」など難しい単語がたくさん出てくるので暗号資産に詳しい専門家に頼む必要がありそうですね。

【区長】 コンビニ等で日常的に利用しているキャッシュレス決済アプリ内の電子マネーの相続についても解説してみよう。

【青年会】 キャッシュレス決済アプリとは〇〇ペイなどのことですか。 

【区長】そうそう。比較的にスマホを開くことができれば探すのは簡単のようで、チャージ型の電子マネーについては前払式支払い手段に該当すると解され相続自体は可能のようだ。他方、企業のポイントは相続を想定していないことが多く、電子マネーの残高は相続できても残存ポイントは引き継げない運用のようだ。例外的に航空会社のマイルは相続ができる旨の規定もある。いずれにしても規約を確認することが必要のようじゃな。 

【青年会】区長が、夏祭りで協力したお礼に飲みに連れてくと言っていましたよね。その約束は引き継げないようなので、これから居酒屋へ直行しましょう。


参考図書:「デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた」(伊勢田篤史・古田雄介/日本加除出版)


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