あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

ウェブマガジン

新 よくわかる不動産相続Q&A File.7

新 よくわかる不動産相続Q&A File.7

週刊かふう2019年10月18日号に掲載された内容です。

自筆証書遺言の方式緩和について

新たな改正相続法では、多くの人に遺言を利用していただきたいという見地から、特に自筆証書遺言の方式を緩和いたしましたので、これについて解説いたします。課題解決の考え方・ヒント・情報としてご活用頂けましたら幸いです。

Q.私夫A(75歳)には、46年間私を支えてくれた妻B(70歳)と、長男C(45歳)がいます。

 私の財産としては、築30年の2階建の自宅(土地建物:土地は約2000万円・建物は約1000万円の価値)、預貯金約600万円があります。私夫Aは、その土地建物を妻Bに、預貯金600万円を長男Cに残したいと考えています。
 遺言という方法があると聞きましたが、具体的にどうすれば良いのでしょうか。

A.私たちは、私有財産制度の下で生活していますが、自分の死後も自分の意思に従って財産を処分しようというのが遺言の制度です。

 遺言には、大別して公正証書遺言と自筆証書遺言がありますが、自筆証書遺言には誰にも知られることなく、遺言を作成できるというメリットがあります。今回はその自筆証書遺言について説明したいと思います。
 従前、自筆証書遺言をする場合は、財産目録を含めて遺言書の全文・日付・氏名全てを自書し、署名・押印しなければなりませんでした(民法968条1項)。重大な財産処分行為である遺言書作成が遺言者本人の意思に基づいていることを確認するためです。しかし、遺言書は、遺言書本文と財産目録で構成されるのが通常ですが、その財産目録まで自書することはとても面倒なことです。
 そこで、改正相続法は、自筆証書遺言の方式を緩和し、財産目録については、①パソコンで作成する ②不動産ならば、登記簿謄本を添付する ③預貯金ならば、通帳の写しを添付するという方法でも構わないとしました。但し、財産目録各葉毎に遺言者が署名・押印する必要があります(民法968条2項)。これは、遺言者本人の意思を確認するためです。
 本件において、夫Aの自筆証書遺言の簡単な一例を左に示しましたので、参考にしてください。
 この財産目録をパソコンで作成した文書等でも良いという自筆証書遺言の方式緩和の制度は、既に本年1月13日から施行されています。また、各地の法務局で自筆証書遺言を保管する制度は、来年(令和2年)7月10日から施行されます。自筆証書遺言の作成について、検討してみて下さい。

新 よくわかる不動産相続Q&A File.7

このカテゴリの記事