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よくわかる不動産相続 Q&A File.3

よくわかる不動産相続 Q&A File.3

週刊かふう2017年5月19日号に掲載された内容です。

複雑な家族関係での相続

3回目は、私、弁護士の尾辻克敏が担当します。前回は島袋秀勝弁護士が、遺産の内容と分割協議についてお話しましたが、今回は相続人の関係性や法的根拠について解説いたします。家族と言いましても多様で複雑ですが、ご参考になれば幸いです。

よくわかる不動産相続 Q&A File.3

Q.私Bの父Aが亡くなりました。

 父Aは県内で製造関係の会社を経営していました。母は10年前に父と離婚し、私には兄Dがいましたが、兄Dも5年前に妻Eと子Fを残して病気で亡くなりました。私Bの夫Cは、父Aの会社の専務で、私と結婚してすぐ父Aの養子になりました。父は、数年前から会社の経理を担当していたGと内縁関係にあり、Gと父名義のマンションで暮らし、Gが父の最期をみとりました。父には、マンションの他に、那覇市内の自宅(土地・建物)、会社の事務所(土地・建物)、会社の株式、2000万円の預金があります。なお、父は遺言書を残していません。
 先日、父の遺産の話し合いをしましたが、長男妻Eやその子Fが父の遺産をもらう権利があると言っています。またGも、マンションの住宅ローンを一部支払っていたので、マンションを譲ってほしいと言っています。家族関係が複雑ですが、誰が父の遺産をもらえるのか教えてください。

A.複雑な家族関係のようですが、誰が相続人になれるのかを検討するときは、上の図のように簡単な家系図を作ってみましょう。

相続人とは、簡単に言うと、遺産を受け継ぐ人のことです。遺言書が作成されていない場合には、簡単に説明すると、配偶者と、配偶者の他には子→親→兄弟姉妹の順番で、相続人になります。被相続人の家族・親族であれば、誰が相続人になるのかは非常に気がかりな問題です。
 まず、長女BはAの子なので、Aの相続人になります。では、長女Bの夫Cが相続人になるのか検討しましょう。県内の企業ではCのように娘婿が会社の役員に付き、代表者の養子になっているケースがあります。養子は養子縁組をした日から嫡出子となるため、Cも相続人になります。養子縁組することで相続税の節減にもつながると思います。なお、税法上は、法定相続人に参入できる養子の数には限りがあります。
 本事例からは少し話が離れますが、「養子になると、実親の財産は相続できないのですか」との相談を受けることがあります。普通養子縁組では、実親との親子関係も続くので、養親からも実親からも相続をすることができます。そのため長女Bの夫Cは、Aの遺産も、実親の遺産も相続することができます。
 次に、長男Dの妻子E・Fは相続人になるのか検討しましょう。長男Dは、Aが亡くなる以前に死亡しているので相続人にはなれませんが、長男Dのように病気や事故で親(A)よりも先に亡くなる場合があります。このような場合には、長男Dの子のFが代襲相続(簡単に説明すると、子が親よりも先に亡くなっている場合に、孫が相続人になれる制度)により相続人になれます。では、長男Dの妻Eは相続人になれるのでしょうか。仮に、Aと長男Dの死亡時期が逆で、長男DがAの遺産を相続した後、死亡した場合には、Dの妻Eは、配偶者としてDの遺産の2分の1の法定相続分があります。しかし、代襲相続は配偶者には認められていないので、長男DがAより先に亡くなった場合には、長男Dの妻EはAの遺産の相続人にはなりません。
 本事例から離れますが、仮に長男Dが健在の場合に、長男Dが別の仕事に就き、Aが孫Fに会社を継がせたい場合、Aが孫Fと養子縁組をすることもあります。事例は少ないでしょうが、2次相続を考慮すると、相続税の節減にもつながると思います。
 最後に、Aと内縁関係にあったGが相続人になるのかについて検討しましょう。結論から言うと、Gは相続人になれません。婚姻関係にない場合、生計を共にしても、同居期間が長くても相続人にはなれません。しかし、Gのように、Aを公私にわたり支え、マンションの住宅ローンを一部支払っていた場合、Aの死後、Aの子からマンションは私たちが相続するので退去してくださいと要求されたら、Gは踏んだり蹴ったりでしょう。婚姻関係にある配偶者は相続人になれますが、Gのように法律上の婚姻関係にないパートナーに、同居していたマンションだけでも渡したいと考えるならば、その旨の遺言書を作成しておきましょう。法律上の婚姻関係にないパートナーは、生前に、互いに財産はどうするのかを話し合った上で、遺言書を作成することが非常に大切です。なお、仮に、AとGの間に子が生まれ、Aがその子を認知している場合、嫡出でない子(婚外子)と言われます。嫡出でない子の相続分は、以前は嫡出子の相続分の2分の1とされていましたが、民法の改正により、現在では嫡出子の相続分も嫡出でない子の相続分も同等とされています。
 本ケースでは、Aの相続人になるのは、長女B、長男の子Fおよび長女Bの夫Cの3人で、法定相続分は各自3分の1ずつです(なお、養子の法定相続分は実子の法定相続分と同じです)。
 では、どのように上記3人にAの財産を分けたらよいでしょうか。会社の専務であるCが会社を継ぐのであれば、Cが円滑に会社の経営ができるよう、会社の株式の少なくとも過半数、できれば3分の2以上および会社の事務所を取得した方がいいでしょう。しかし、長男の子Fも会社に影響力を持つため、会社の株式の取得を希望するかもしれません。また長男の子FがAの仏壇やトートーメーを継ぐのであれば、Fが自宅の取得を希望するかもしれません。しかし、長女Bも現金だけでは納得できないかもしれません。このように事実婚や養子縁組など複雑化した現代社会では、意外な人が相続人として現れ、それぞれの思惑で遺産の取得を希望します。Aが死亡している今回のケースでは間に合いませんが、家族関係が複雑な場合には、被相続人が生前に遺言書を作成し、どの財産は誰に継いでもらうのかを明確にしておくと、将来の親族間の紛争を予防することにもつながります。

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