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よくわかる不動産相続 Q&A File.22

よくわかる不動産相続 Q&A File.22

週刊かふう2018年2月23日号に掲載された内容です。

民法相続法分野の改正② 配偶者の居住権保護について

今国会において、相続法改正案が提出される見通しです。居住権の創設等、配偶者に考慮した改正内容になっています。今回の相談者はまさに改正により影響が出るケースといえます。どのように変わるか、その要点を押さえておきましょう。

よくわかる不動産相続 Q&A File.22

Q.妻と私の実子は折り合いが悪く、私の亡き後、妻の生活が心配です。

私たち夫婦は再婚同士で、お互いに前のパートナーとの子供がいます。妻と私の実子は折り合いが悪く、私の亡き後、妻の生活が心配です。今回、相続関係の民法が改正されると聞きました。私たちの様な家族にも影響があるか知りたいです。

A.今回は改正案の骨子の一つ、配偶者の居住権を保護するための方策について説明したいと思います。

 法務省の法制審議会民法(相続関係)部会において、平成30年1月16日に民法(相続関係)等の改正に関する要綱案が発表されました。政府は今通常国会において、この民法改正案を提出する方針です。成立すれば相続法制が改正されるのは、約40年ぶりのことです。今回は改正案の骨子の一つ、配偶者の居住権を保護するための方策について説明したいと思います。
 まず見直しの前提として、次のような問題がありました。配偶者の所有する建物に住んでいて、この配偶者が亡くなった時に、他方配偶者は引き続き当該建物に住み続けることができるかということです。当然夫婦なのだから住む権利があるのは当たり前だと思う方が多いのではないでしょうか。しかし、何らの契約を結ばず当然に建物に無償で住む権利というのは現在の民法には規定がありません。この問題に対しこれまでは、「共同相続人の1人が被相続人の許可を得て遺産たる建物に居住していたときは、被相続人とその相続人との間で、特段の事情がない限り、被相続人の死亡から遺産分割協議の完了時まで無償で居住する権利(使用貸借)が成立すると考えられる」という判例理論のもと、配偶者の住む権利(居住権)の保護が図られていました。しかし、遺産分割協議の完了時までに限られていること等から、長期的な保護ができませんでした。
 そこで、今回の改正には「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」が創設されました。「配偶者短期居住権」とは、配偶者が被相続人の所有の建物に相続開始時に無償で住んでいた場合は、遺産分割協議でこの建物の所有者を決めた日または被相続人が亡くなってから6ヵ月を経過する日のいずれか遅い日までの間、配偶者が無償で住むことができる権利をいいます。被相続人が亡くなった後、残された配偶者がすぐに退去を迫られることを防ぐことが目的です。
 次に「配偶者居住権」とは、居住建物について無償で住むことができる権利をいい、その要件は配偶者が被相続人の所有の建物に相続開始時に住んでいた場合に認められます。配偶者居住権という権利を定めることで、遺産分割等における選択肢の一つとして、残された配偶者の居住権を保護しようとするものです。この配偶者居住権は登記をすることで、建物を取得した第三者に対抗することができます。配偶者の居住権を長期的に保護することが目的なので、存続期間は、基本的に配偶者の終身の間とされています。
 配偶者が配偶者居住権を取得した場合には、その財産的価値に相当する価額を相続したものと扱うことになります。これまでは居住権を確保するために、建物の所有権を相続すると、一般的に不動産は高額であることから、預貯金まで十分に取得できない可能性がありました。しかし、この居住権の評価額は所有権の評価額より通常は低くなる(所有権は売却できるが、居住権は売却できない等の理由で)ことから、配偶者は住居を確保しつつ、住居以外の遺産の取り分を増やし、将来の生活のための一定の財産を確保させることができるようになりました。(図)
 よって、質問者のケースでは、配偶者に居住権を確保することで夫の亡き後の妻の生活を安定させることにつながり、配偶者が安心して生活することができるように配慮された改正になると言えます。

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