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よくわかる 不動産相続の勘所 Q&A File.21

よくわかる 不動産相続の勘所 Q&A File.21

週刊かふう2019年5月24日号に掲載された内容です。

子や孫に対してお金を残す方法とタイミング

子や孫に対し、相続税対策として安易に贈与を行っているケースが見られます。優先すべきなのは、必要な時期に必要な額を支援することではないでしょうか。今回は、お金を残す方法とタイミングについて解説いたします。

Q.子供らにお金を残す方法についてご教示願います。

 私たち夫婦は10年前に公務員を定年退職しました。子供3人と孫6人に囲まれて老後の生活を楽しんでおりますが、3千万円程度の預金を子や孫に有効に使ってもらいたいと考えています。「贈与すると多額の贈与税がかからないか心配」「お金を残すと相続で揉めないか心配」等の声を聞きますが、子供らにお金を残す方法についてご教示願います。

A.贈与と相続での手続きの違い、税負担の違い等、それぞれのメリット・デメリットを検討した上で総合的に判断する必要があります。

 ご相談者さまのように、お金をどのように残したらよいかと悩んでいる方が多いかと思います。お金を残す場合、原則として相続によることになりますが①生活費等を支援する(贈与)、②死亡保険に加入する方法もあります。贈与と相続での手続きの違い、税負担の違い等、それぞれのメリット・デメリットを検討した上で総合的に判断する必要があります。
 例えば相続税において不動産等への投資が有利であるとしても、相続人である子供が生活費等の資金が必要であれば、これらの点も含めて検討する必要があります。

よくわかる 不動産相続の勘所 Q&A File.21

解説1 相続

 相続でお金を残す場合、原則として相続人の遺産分割協議が必要となります。従って、手続きで揉める心配があれば遺言の活用をお勧めします。

(1)全員の同意、遺産分割の期限
 遺産分割協議は相続人全員の同意が必要であり、一人でも反対すると成立しません。また遺産分割協議には法定の期限がありませんので、長期間未分割の状況が続くことも予想されます。

(2)相続税がかからないケース
 そもそも、財産が基礎控除以下(3千万円+600万円×法定相続人数)の場合には、相続時精算課税制度等により贈与する方法もあります。

解説2 贈与

 子や孫に対して生前にお金を残す方法として贈与があります。この方法は、生活費等でどうしてもお金が必要であるケースなど相続まで待てない場合に活用するとよいでしょう。

(1)暦年贈与
 1人に対し年間110万円までの贈与は非課税ですが、110万円を超えると贈与税がかかります。なお、扶養義務者である祖父母から孫に対して授業料等を直接支援する場合には贈与税は発生しません。ただし、その都度贈与する必要があり、将来の教育費のための贈与には課税されますので注意が必要です。

(2)相続時精算課税制度の活用
 65歳以上の親または祖父母から20歳以上の子や孫に対する贈与で2千500万円までは非課税となります。多額の資金を贈与する必要がある場合に有効な方法となります。ただし、相続時には相続財産としてカウントされますので、相続税が見込まれる場合には、その点も踏まえて検討する必要があります。

(3)相続と贈与はどちらが有利
「相続と贈与はどちらが有利ですか」とのご質問を受けますが、法定相続人数や財産の総額、贈与額が判明しないと、一概にどちらが有利かを判断できません。

(4)留意点
 贈与をする際は、どの子にいくらの支援が必要かを把握した上で、のちの相続で揉めないように留意する必要があります。

解説3 死亡保険への加入

「多額の贈与をすると贈与税の負担や浪費しないか心配だ」という方は多いものです。その対策として、お金を直接渡すのではなく保険という形で死亡後に残すのも一つの方法です。

(1)相続税における非課税枠
 法定相続人×500万円の非課税枠がありますので、ご相談者さまの場合(4人×500万円)=2千万円が非課税となります。お金を残すか保険金として残すかにより相続税の負担が大きく異なりますので、相続税負担が多い方はぜひご検討ください。

(2)お金を残すと心配だ
 生前にお金を贈与すると、そのお金は子供らのものとなり使途は制限できません。これに対し、死亡保険の場合は相続が発生しないと資金化できませんので、浪費の心配がある場合に有効な方法といえます。

まとめ

 子供らにお金を残す方法として贈与等がありますが、子に対する支援の必要性(子供の経済環境、孫の教育費等)、節税効果(贈与税の負担、相続税への影響)を考慮した上で判断する必要があります。もちろん、不動産の相続を加味して判断することは言うまでもありません。
 また、お元気なうちに孫を含めて海外旅行等で思い出を残すのも大切なことだと思います。

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