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よくわかる 不動産相続の勘所 Q&A File.22

よくわかる 不動産相続の勘所 Q&A File.22

週刊かふう2019年5月31日号に掲載された内容です。

家族名義の預金をお持ちの方

夫婦のお財布は一緒という感覚で、相続の対象という認識がないまま配偶者の名義で預貯金をされている方は多いのではないでしょうか。
このような名義預金に関する贈与の要件や留意点について紹介します。

Q.私は主人の退職金を私名義で定期預金に預けております。

 私は主人の退職金を私名義で定期預金に預けております。知人の話によると相続が発生した場合、このような預金についても主人の相続財産として相続税の対象となるとのことです。このまま私名義で預金した場合、相続が発生した時に何が問題となるのでしょうか。なお、夫婦間の預金の移動であることから、二人とも贈与の認識はなく贈与税の申告もしておりません。

A.名義預金は被相続人の相続財産となり、相続税の対象となります。

 預金については、ペイオフ対策(銀行預金の保護制度)や相続時の諸費用に充てるため、夫婦間で名義を変更しているケースが多く見られます。また、お子様やお孫様名義で定期預金を作成し、手元で通帳や印鑑を保管しているケースもあると思います。このような預金は、当事者間において贈与の認識はなく、法的に贈与が成立していないことから、名義預金と呼ばれます。
 家族名義の預金のままでは、相続発生時に真の所有者が誰かを巡り遺産分割に含めるか否で揉めるケースも想定されることから、真の所有者への名義変更や相続人間で名義預金であることの共通認識が必要となります。
 また、名義預金は被相続人の相続財産となり、相続税の対象となります。相続税の申告漏れとして税務調査で指摘されるケースが多いため、注意が必要です。

よくわかる 不動産相続の勘所 Q&A File.22

解説1 名義預金とは

 名義預金とは、①自ら獲得した資金を銀行や郵便局において本人以外の名義(配偶者、子または孫)の預金口座に入金し、②当事者間で預金に関し贈与が成立していないか、成立しているか不明である場合に生じます。

解説2 贈与の要件

 民法において贈与とは、当事者の一方が自分の財産を無償(ただ)で相手方に与える意思表示(申込み)を行い、相手方がそれを承諾することを要件に成立する契約です。したがって、贈与者が一方的に「贈与した」という認識だけでは贈与契約は成立していないことになります。つまり、子や孫が知らないうちに預金が開設され、通帳も印鑑も管理されているケースは、受贈者が贈与をされた認識がないため、名義預金と認定される可能性が高いと考えます。

解説3 相続税調査時の留意点

 相続税の調査において、申告漏れとして最も多く指摘されるのが、名義預金です。当事者において脱税の意図がなくとも、そもそも預金の名義変更時において贈与が成立していなければ被相続人のものとして相続税の対象となります。
 相続に関する預金が誰に帰属するかは、「その資金源、預け入れの経緯、印章の使用状況、入出金の管理状況及び名義変更に伴い贈与税の申告が行われているか等」を総合的に勘案して判断されることになります。したがって、専業主婦がご主人の預金をご自分名義で定期預金としても、その資金源が明らかにご主人のお金(退職金、不動産収入等)であることが判明すれば、名義預金と認定される可能性が高いと考えます。

解説4 相続発生前の預金の引き出し

 相続発生前の預金について、葬儀費用等のために引き出されるケースは多いものと思います。このような場合、引き出された預金は家族名義または現金で保管されることになりますが、これについても名義預金または現金として相続財産となります。

まとめ

 将来、子や孫の結婚資金等のために子や孫の名義で定期預金を作成し、手元で保管しているケースは多いものと思います。このような場合、子や孫がその事実を知らなければ、贈与が成立しているとはいえません。相続時に名義預金として判定されないためには、贈与の要件(解説2参照)を満たすことが必要であり、場合によっては贈与税の申告が必要となることもあります。
 名義預金については、税務署による相続税の調査、または相続人間におけるトラブルも予想されることから、その預金を誰が相続するか明確にしておく必要があります。

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