あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

ウェブマガジン

もっと知りたい!不動産マーケット File.4

もっと知りたい!不動産マーケット File.4

File.4 コロナ禍の不動産市況②
前回は家賃収入の減少に伴う不動産価格の下落についての話でしたが、それをふまえ、今後予測される地価への影響を用途種別ごとに考察してみたいと思います。

週刊かふう2020年10月2日号に掲載された内容です。

もっと知りたい!不動産マーケット File.4

Case1 ホテルと不動産市況

 昨年までは観光客が毎年増加し、集客も比較的容易だった頃と比較すると、現在は何もかもが正反対な状況にあります。
 いかに宿泊者を確保するかがポイントになる業界ですから、ここでホテル運営者の力量が問われます。しかし運営がままならないホテルの投げ売りも出てくるでしょう。投げ売りが出てくれば、不動産価格は下落することになります。
 一方で、資本力を有するホテル運営者は、チャンスと考えているかもしれません。本来、沖縄観光のポテンシャルの高さは周知のことですから、短期的には厳しくても中長期的な投資を考えているならば、ホテルの投げ売りは歓迎される可能性があります。

Case2 店舗と不動産市況

 ホテル同様、観光客目当ての物販店舗や飲食店舗も厳しい状況です。そもそも観光客も密を避けていますから、人が集まるところにはあえては行かないでしょう。それでも人口が多い那覇市などは、うまく地元客を取り込めれば(それでも厳しいと思いますが)、打開できるかもしれません。しかし、離島や本島北部など、そもそも地元人口が少ない地域は多くの地元客を取り込んで、という訳にはいきません。また客単価も大きく減少することが予測されます。
 実は全国1位の地価上昇率を示していた沖縄県でも、観光客を取り込めない地域は地価が下落していました。観光客がいなくなった今、他のエリアでもこれと同じ状況になると考えられます。観光の効果で地価が上昇していた地域であっても、収益性の低下による地価下落が起きる可能性があるということです。

もっと知りたい!不動産マーケット File.4

Case3 事務所と不動産市況

 沖縄県は事務所ビルが集積している地域がほぼ那覇市の久茂地地区に限られていることから、それほど影響はないと考えられます。新型コロナの影響を受ける前までは、沖縄県への企業進出が数多く見られ、事務所ビルの空室率は改善されていましたが、リモートワークに代表されるように、必ず会社に出社して仕事をしなければならないというビジネススタイルが見直されると、賃貸している事務所の見直しは避けられません。
 そのため、仮にAクラスビルに入居するテナントが業務見直しにより賃貸する面積を減らしても、BクラスビルやCクラスビルで取りあえず入居していた県外企業が、空いたAクラスビルに移転することも考えられます。つまり、立地が悪く、設備水準が低い、あるいは築年が古いBクラスビルやCクラスビルについては厳しくなることが予想されます。

Case4 住宅と不動産市況

 コロナ禍の影響により取引は減少しましたが、住宅の地価に関しては結果として大きな影響はない可能性があります。
 取引が減少したのは、非常事態宣言により不動産業者や金融機関の窓口対応ができなくなったことなどによる影響かもしれません。転勤や異動が少なかったため、賃貸物件も例年にくらべて動きがかなり少なかったと言えそうです。
 実は昨年後半から、住宅地の高騰による買い控えがみられ、また、建売木造分譲住宅の売れ行きが鈍化していました。コロナ禍での住宅地価格への今後については、これらの影響を見極める必要があるので、分析にもう少し時間が必要ですが、いままでのような地価上昇はないかもしれません。

 次回からは、各市町村における地価動向をお話したいと思います。まずは那覇市についてお話します。

もっと知りたい!不動産マーケット File.4

このカテゴリの記事