教えてコンサル金城さん 不動産のギモン解決! 第10回 建築坪単価を考える
今回のテーマは、住宅を建てるときに指標となる「建築坪単価」。坪単価の計算方法や坪単価を見る上での注意点などについて解説します。
建築坪単価の指標と注意点
今回は、住宅を建築予定のAさんの事例からです。Aさんのご相談は、3社のハウスメーカーの建築費見積書を見て、「発注前の注意点」と「どこが本当に安いか」という内容でした。ご相談当初は見積書の本体工事の坪単価だけに注目して業者を選ぼうとしていたAさんですが、家づくりを進める上で注意してほしいのがその中身です。
坪単価とは、家を建てる際に1坪あたりの建築費のことで、坪単価は「本体工事費÷延べ床面積」で算出されます。
例えば、本体価格が3600万円、延べ床面積が40坪とした場合の坪単価は、3600万円÷40坪=90万円(1坪当たりの金額)となり、坪単価によって住宅のグレードや品質をある程度判断することができます。
考え方はシンプルですが、建築坪単価はハウスメーカーや工務店、設計事務所など、依頼先によって算出方法が異なるので注意が必要です。先ほどの建築坪単価は、3600万円(本体工事費)÷40坪(延べ床面積)=90万円(坪単価)でしたが、業者によっては「延べ床面積」ではなく、ベランダや玄関ポーチなどを含めた「施工床面積」を用いる場合もあります。
施行床面積で算出すると、3600万円÷45坪(施工面積)=80万円(坪単価)になり、延べ床面積(坪単価90万円)と施工面積(坪単価80万円)では金額が異なりますのでご注意ください。
さらに住宅には、消費税や外溝工事、他オプション工事費など、本体工事に含まれない費用もありますので、これが含まれているのか確認してみてください。建物の設備のグレード、構造、建物デザインなどによっても建築費は変動しますので、一概に坪単価だけで判断しないようにしましょう。
多角的視点で考える
始めに紹介したAさんには、坪単価の額だけで業者を決めると、後々費用が大きく変わるケースもあるため、見積書の中で本体工事費には含まれていなかった、特別使用・付帯工事・消費税なども含めた工事費全体を見て比較するようにアドバイスしました。
家を建てるときには、最初に建築費全体の予算を決めてから業者選びをすることをおすすめします。建築坪単価は算出方法に違いがありますので、あくまで「指標」にしかなりません。より現実的な家づくりを進めるためには、最終的な建築資金総額に目を向けて、建物坪単価に左右されないことが大切です。
以前は東京オリンピックが終われば「建築単価は安くなる?」とうわさされていましたが、建築単価は現在も上昇しています。この先の建築単価もまだまだ不透明ですが、建築予算総額を考えた上で、家の大きさ、デザイン、設備など、優先順位を決めることで坪単価に左右されない家づくりが可能になってきます。
次回は、「軍用地の資産活用」について解説します。