教えてコンサル金城さん 不動産のギモン解決! 第12回 今年の不動産相談を振り返って
コラムをスタートして、丸1年を迎えました。今回は、今年の不動産相談を振り返って感じたことを紹介します。
問題の着地点を見いだす
今年も残りわずかとなりました。回を重ねるごとに、「コラム読んでます」と声をかけていただいたり、不動産のご相談を受けたりと、読者とつながりが持てたことに感謝しています。
私は普段、不動産コンサル業のかたわら、暮らしの行政相談員としても活動しています。不動産にまつわる相談を受ける中で特に多いのが、「どこに相談したらいいのか分からない」というもの。また、解決方法に選択肢があると知らなかったケースも多く、相続では親族間の話し合いで感情的になってうまく話し合いが進められないという事例もあるため、問題を複雑化しないよう各相続人の意見をしっかり聞くことを心がけています。
相談もさまざまですが、今回は兄弟間の相続財産についての事例を紹介します。
Aさんは、親から相続した戸建てを4兄弟でどう分けるか悩んでいました。当初は、戸建てを売却した金額を4名で分ける予定でしたが、その家に住む長男が継続して住むことを希望、一方で別居する3人は早く処分して資金がほしいと、意見がまとまらない状況でした。
そこで、私は4兄弟に3つの相続財産の分け方を提案し、それぞれのメリット・デメリットも説明しました。
一つ目は、建物を壊して売却した場合。更地にすることで高く売れて分け前は増えますが、長男が住む場所を失うため、生活の場を考える必要があります。
二つ目は、資金に余裕のある兄弟が購入(所有)して、他の兄弟に持ち分のお金を支払い長男には、家賃を払ってもらうこと。居住する長男は今の生活を維持できますが、将来的に子どもの代で、資産の活用仕方でトラブルになる可能性もあります。
三つ目は、長男が購入して、代償分割という形で3名にお金を払うことです。
3つの案のメリット・デメリットを深掘りし考えた結果、兄弟が選んだのは三つ目の長男が購入する案でした。当初、長男は長年住み続けた家を購入する考え方はありませんでしたが、他の兄弟へ代償分割すること、購入費用は金融機関からの借り入れを提案したことで安心してもらい、着地点を見つけることができました。その後、司法書士事務所で遺産分割協議書を作成しています。
複数の解決法を提案
現在相談中の案件には、かふうの第7回コラム「相続財産でもめないために考えたいこと」を読んで、相続財産について早めに相談に来た方がいます。
一般的に、不動産相続の納税資金を捻出するためには、高く売却して資金を捻出する方法を提案されることが多いです。中には、親が築いた財産をできるだけ売却せずに資金を捻出する方法を模索している人もいますので、不動産コンサルでは売却せずに資金を捻出する方法や分筆して必要な資金分だけ売却するなど、複数の選択肢を提案しています。相続対策のポイントとなる、納税や節税、分割対策についても、税理士や司法書士など各専門家と連携しながらより良い選択肢を提案していますので、不動産の困りごとがあれば、お近くの不動産コンサルマスターにご相談ください。
次回は、「建築費高騰問題の対策を考える」についてお話します。