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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

いつだってアウトドア気分。インナーテラスのある家

いつだってアウトドア気分。インナーテラスのある家

DATA
設  計: 玉城勝也+
     株式会社 情熱集団
     (担当/鉢嶺)
敷地面積: 215.03㎡(約64.9坪)
建築面積: 118.18㎡(約35.7坪)
延床面積: 118.18㎡(約35.7坪)
用途地域: 未指定地域
構  造: 補強CB造
完成時期: 2021年8月
建  築: 株式会社 情熱集団
      (担当/祖堅)
電  気: YKシステム株式会社
     (担当/嶺井)
水  道: 有限会社スイケン
      (担当/中村)
塗  装: 明塗装工業
      (担当/常田)

この夏完成したI家は、テラスと家族が主人公。
夏はBBQを楽しみ、秋は虫の音をBGMに夜長を過ごし、冬は焚き火を囲む。
外に一歩も出ることなく、住まいの中で悠々自適に。

※週刊かふう2022年1月14日号に掲載された内容です。

いつだってアウトドア気分。インナーテラスのある家

賑わう街から自然豊かな生家の土地へ

 穏やかな時が流れる、自然豊かな南城市玉城の住宅地。南の太陽に映える白の外観は表から見える間口が少なく、一見要塞(ようさい)のよう。それが扉を開けると、まず目に飛び込んできたのはテラスの一角。思わぬ光景に引き寄せられ奥をのぞくと、そこは家の中の“外”、陽光が降り注ぐ広いインナーテラス。土間になった玄関ホールとともに、屋外の気配と自由さを醸し出しています。
 家づくりのきっかけは、「以前は3LDKのアパートに住んでいて、長男が中学進学を機に自分の部屋が欲しいということで一室をあてがったんですが、それを見て次男も同じこと言い、この様子だと、いずれ末の子も自分の部屋が欲しいと言い出すだろうと先を読み、決意しました」とご主人が話します。
 それからは設計依頼のためにあちこちの完成見学会を巡るも、ご主人が思い描く理想や条件に合致するところがなく、半ば諦めかけていた時に知人から紹介されたのが(株)情熱集団。「僕らの要望や希望にすごく関心をもって対応してくれて、提案されたプランもこちらのイメージの上を行っていたんですよ。それでほぼすぐ決めたよね」とご主人の言葉に奥さまが笑顔でうなずきます。
 土地はご主人の実家に隣接しており、元はお父さまが所有する畑だったそう。
「最初は以前住んでいた商業施設も多いにぎやかな地域で探していたのですが、設計士さんにも土地をみてもらったところ『絶対ここがいい』と太鼓判をいただいて」とご主人。奥さまは「子どもたちにとっては転校となる選択だったので気にはなっていましたが、意外なほど喜んで受け入れてくれて、新生活や学校にも早くなじみ、毎日が楽しそうです。安心しました」
 伸びやかな住まいと住環境は、お子さんたちにとっても最良のよりどころであることが伝わってきます。

いつだってアウトドア気分。インナーテラスのある家

一歩も外に出ずともアウトドアを満喫

 家づくりの先頭に立ったご主人は大のアウトドア好き。一方で新居のプランは「庭はなくてもいい、家の中ですべてが完結する余白と囲みのある家を望んでいました。なので、いろんな作業が行える土間は絶対に欲しかったんです」と話します。その土間はテラスと玄関に面し、二つの動線はLDKを介してぐるりと回遊。実際に動線をたどってみると、土間・LDK・テラスが一体となって作りあげる、もう一つの豊かな空間がありありと浮かび上がってきます。家の中に大きな遊びがあるような、非日常的なわくわくを誘発するような面白み。実際、「夏はみんなで土間で水遊びをして、そのままの格好でテラスでBBQしました」とご主人。なんと外に一歩も出ずとも、十分にアウトドアライフ!
「最近は室内でできる焚き火に凝っているんですが、火を起こしていると自然に子どもたちが寄って来てハンモックで遊んでいたり、一緒に焚き火を見ていたり」とも。そしてその流れでBBQすることもあると言い、Iさんファミリーにとってアウトドアは暮らしの一部、住まいに溶け込んだ普段の光景でもあるようです。

いつだってアウトドア気分。インナーテラスのある家

細部に行き渡った住みよさへの配慮

「テラスは雨天時の洗濯物干しにも活躍します、テラスと水回りが接近しているので何かと便利です」そう話すのは家事をつかさどる奥さま。さらに「要望通りに収納が多く確保され、そのうえ2方向から取り出せる工夫とか、子どもたちの今後の成長を見据えた高さの設定とか、本当に細かなところまで家づくりのプロとしてのアイデアがちりばめられているんです」と、細部にわたる住みよさのポイントを話してくれました。
 また、和室の床の間のデザインも数パターンが提案されたと言い、「ものごと一つ決めるにもこちらの要望にプラスアルファでかなえてくれて、一緒に家を造っているという感覚がありました」と振り返ります。だからでしょうか、住み始めてまだ4カ月程しか経っていないのにも関わらず、家族皆さんの愛着の深さを感じます。
 さて。家づくりのきっかけとなったお子さんたちの部屋はというと……「自室にいるよりテラスやリビングに居ることが多いかも」と目を合わせて笑うご夫妻。「この家に来て家族の時間が増えました」という奥さまのひと言がすべてを物語っています。

写真ギャラリー

設計・施工会社

西原町翁長594番地 リッチプラザ vivi2-B

いつだってアウトドア気分。インナーテラスのある家

いつだってアウトドア気分。インナーテラスのある家

施主の個性を深掘りし、ともにアイデアを出し合い一緒に作る。
いくつもの案を提示してより良いもの追求。

株式会社 情熱集団/上:玉城勝也さん(CEO) 下:鉢嶺元瑞さん(Designer)

 私たちの家づくりにおいては、ヒアリングシートをもとに、まず、施主さまやその家となるオリジナリティーを探すんです。この工程自体も楽しくて好きなんですが、今回のケースのIさまは、自宅前で車中泊をするほどアウトドアが好きだというユニークで圧倒的なオリジナリティーをお持ちでしたので、すぐに「開放的な家」「テラス」「ハンモック」「BBQ」というキーワードが浮かびました。Iさまとご家族らしい、唯一無二の家になったことを心から嬉しく思います。
 設計のポイントとしてはテラスが南向きになるように配棟。さらにどこにいても家族の気配が感じられるようにLDKとテラスは一体化させ、そのうえで各居室を配置しました。結果、子ども室はLDKに面し、いつでもお互いの様子がうかがえるつながりを生み、水回りは集約して家事動線の短縮を実現。キッチンは奥さまの要望で勝手口を設け、敷地のゆとりを生かして洗濯干し場と物置のスペースを創出しました。そしてそこで洗濯物を取り入れたら、洗面室を兼ねたウォークインクローゼットに収納。簡単な身支度ならここで完結します。
 和室はLDKとの連続性を意識し、床の間やディスプレー棚には意匠性を加味して“和”の気配を薄める工夫を。また、表からの視線を遮るためにプライバシー性の高い地窓を採用しています。
 これら設計のポイントは住まいの中のごく一部で、実際には実にさまざまな箇所にIさんご夫婦のアイデアが反映されています。というのも、私たちの家づくりの取り組みは、施主さまと一緒にアイデアを出し合い、予算なども含めてすり合わせを行い、それをもとにより良いものに昇華していくのが基本であり信条。そのための話し合いやプランの見直しを重視し、変更や改善の大小にかかわらずいくつもの案を起こして、必要に応じて、3Dを使用したビジュアルを提示して分かりやすく説明しています。今回、Iさまからも「変更後の状態が目に見えるので安心して取り組めた」と嬉しいお言葉をいただきました。
 また、ファサードの木製ルーバーはIさまご家族に塗装していただいたのですが、これも弊社の取り組みの一つで、どのお宅にも共通すること。木はどうしても色あせてしまうため、自分たちで塗り直しができるよう、塗装の経験をしていただいています。家づくりへの参加は愛着の増長はもちろん、その人、その家族らしいオリジナリティーを際立たせてくれます。

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