考察「子育て空間」のびのび育つ環境を考える
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- 週刊かふう:2020年12月4日号より
子育てに理想の間取りを考えたとき、成長に応じた環境と興味や意欲を促す仕掛けが大切とされます。子どもの健やかな成長はもちろんですが、過ごしても心地よく、将来的には上手に活用できることが条件となる奥深い「子育て空間」。
そこで今回は、最近の「子ども部屋」事情をチェックしながら、最適な子育ての空間を考えてみましょう。
空間は人の心理や行動に影響を与えるもの
子どもには成長のステージごとに身につけるべき力があり、それを促すための「子育て空間」が大きな役割を果たします。
例えば1歳までの乳児なら、親子で過ごす時間が五感を育みます。どこからでも見通せるリビングを中心に、いつでもスキンシップを図れる空間を意識しましょう。未就学の幼児は、会話することで「想像力」や「語彙力」を伸ばす時期です。目が届く範囲に子どものスペースを設け、親子の会話を心掛けましましょう。
小学生は、好きなことに熱中し発展させる時期。親の気配を感じながらも集中しやすい学習コーナーを設け、親子の豊かな会話から意欲と興味を引き出します。思春期以降は、本や趣味などをきっかけに判断力や社会性が増す時期。それぞれの成長やコミュニケーションを高めるためにもそれぞれの居場所をつくり、お互いの活動を「見える化」することが望まれます。
子育てを助けるLDKのポテンシャル
以前は子ども部屋=勉強する部屋のイメージがありましたが、10年程前からリビングやダイニングでの学習が注目されるようになり、現在では小学校低学年の約8割がリビング学習という調査結果もあります。
リビングが学習向きである理由は、いつでも親子で話せる対話環境が整っているからです。例えば、宿題に向かうときでも、身近に親がいてすぐに「聞く」ことができるリビングは学びの場にとって打ってつけな環境です。また、それをきっかけに学校での出来事などを知ることもできそうです。
成長に合わせて家族とほどよい距離を保てるように、フレキシブルな学習コーナーをリビング内に設け子どもの居場所をつくる。親が見守りやすい環境は、子どもにとっても心地よい空間と言えるでしょう。また学習面以外でも、両親の家事の手伝いはもちろん、収納や片付け、自主的な管理などを促す手助けにもなるはずです。
子ども部屋は成長の場
子どもの空間は個性を育むだけでなく、自立するための大切な場でもあります。勉強も遊びも自分らしくのびのびとできる空間を与えてあげることは、子どもの成長にも繋がりますから、それぞれの家庭に合った子ども部屋づくりが大切になってきます。
ただしコロナ禍で生活環境が変化したように、子どもたちを取り巻く状況も変わりつつあります。休校期間を機に、オンライン授業を取り入れた塾や学校も多くあり、そのため(声が漏れないように)子ども部屋は小さくても1人1部屋作ってあげる必要も出てきました。兄弟の数や男女構成によっても変わってきますが、最初はフレキシブルな部屋にしておいて成長とともに壁で仕切れるようにしておく。などの対応も必要かもしれません。
とは言え、子どもはいずれ自立していくわけですから使う期間も限られてきます。将来的にも上手に活用できる方法を考えておく必要があるかもしれません。