あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

日常と非日常の融合 心豊かな時を生む家族のための大邸宅

日常と非日常の融合 心豊かな時を生む家族のための大邸宅

DATA
設  計: LABOZ(担当/中村薫)
敷地面積: 425.75㎡(約128.78坪)
建築面積: 179.027㎡(約54.15坪)
延床面積: 284.13㎡(約85.95坪)
用途地域: 指定なし
構  造: 壁式鉄筋コンクリート造
完成時期: 2022年3月
建  築: 沖縄皇健海發株式会社
     (担当/王)
電  気: 孝松電設(担当/仲松)
水  道: 株式会社大日本工業
      (担当/金城)
キッチン: 株式会社大和工業
     (担当/伊波)

ボリューム豊かな2階建て7LDK。
多彩な素材使いでオリジナリティーあふれる空間をいくつも創出。
家にいながら温泉気分も味わえて。
広さが家族をもっと近づけました。

週刊かふう2022年8月12日号に掲載された内容です。

日常と非日常の融合 心豊かな時を生む家族のための大邸宅

ひと言では表現できない多様な魅力

 背後にサトウキビ畑が広がり、遠くに海を望む穏やかな地。
 今年3月に完成したUさんの家は見どころが盛りだくさん。延べ床面積約80坪の大空間を、「贅」「素材」「こだわり」の3本軸でダイナミックに織り上げ、さらに、遊び心と家族パーソナルの好みをちりばめて独自の世界観を創出。こうして生まれた「場」はすべて異なる印象に。住みながらさまざまな空間体験ができる趣意豊かな家です。

 最大の見せ場は、板目が縦・横・斜めに転写された杉板型枠コンクリートの吹き抜けの壁。床から天井まで約6メートルの全面をくっきりと浮かんだ木目が彩り、圧巻の美しさと存在感を呈しています。手掛けたのはご主人が営む型枠工事会社の職人さんたち。「コンクリートの魅力や可能性を披露するいい機会なる」とご主人自ら指揮をとり、同様の趣旨で外構には曲線を描くコンクリート壁を完成させています。

 意外性のインパクトで魅せるのは、廊下の奥に配した和室。Uさん宅の文脈からは想像しがたい純然とした座敷仕上げで、床の間にはチャーギを飾って沖縄の家らしく、天井と内壁は日本家屋らしくと、両方の伝統的な建築様式を見ることができます。

 そしてもう一つ、Uさん宅だけにしかない見ものが、御影石で造られた大きな浴槽。「露天風呂のようにしたい」というご主人の要望で石職人とタイル職人の技がかなえた夢の湯。「家族4人で浸かってもゆったり。石の肌触りも気持ちいいですよ」と目を細める奥さま。「上の子がすごくお風呂好きになって、時間になると『まだ? まだ?』と催促するんです。1番好きな場所みたいですよ」と嬉しそうに話してくれました。
 脱衣所はオール天然木仕上げで床がヒノキ、壁がスギ。湯上がりの素足もさらりとして気持ちいい、温泉宿のひと時、ひとコマも贅沢に再現しています。

日常と非日常の融合 心豊かな時を生む家族のための大邸宅

住みよさを高める、遊び心と思い出と未来像

 ユニークなのは、1・2階の脱衣所を貫く1本のポール。その高さ約4メートル。「階段を使わず、スルスルと下りてこられてすごく便利なんですよ」と、家族一使いこなしているという奥さまが楽しそうに話します。「この家の間取りは僕の実家ほぼそのままなんですが、子どもの頃、こんなのがあったらいいなと思っていたので」とご主人が設置の経緯を説明。生家での思い出も、Uさんの家づくりの大事なエレメントの一つになっていました。

 一方で「将来のために」と、家族が増える想定で子ども部屋を2部屋余分に確保し、洗面所は洗面ボウルを二つ設置。また、お子さんが中高生になってもサッカーの壁当て練習ができるようにと、外構の壁も高めに設置しているそうです。

 内装や素材使いのプランは、「一部を除くほとんどを設計会社に任せた」とのことですが、壁紙の選択は奥さまが担当。「基本的にほぼ好きな白でまとめていますが、2階は同じ白でも質感が違ってカジュアルな雰囲気。あと、四つの子ども部屋はすべて違う壁紙にしました」。

 依頼した設計会社はご主人が懇意にしているということもあり、「やりとりもスムーズに行え、理想通りの完成度。特にデザインセンスの良さには絶対的な信頼を置いているので何の心配もありませんでした」とご夫婦で笑顔を見せてくれました。

日常と非日常の融合 心豊かな時を生む家族のための大邸宅

生活スタイルも設備もバージョンアップ

 以前は賃貸2階建ての一軒家に住んでいたそうですが、奥さまいわく「今の方が掃除もしやすくラクで、子育てにもゆとりができました」。詳しく聞くと、例えば、玩具で遊ぶときは2階のプレイルームで。食事はダイニングで。リビングは基本的にもてなしの場。など、過ごす「場」にメリハリが生まれ、片付けや整理がスムーズになったそうです。

 Uさん宅は新築を機に、オール電化+太陽光発電+EV車蓄電を同時に導入し、積極的な節電ライフを始動。光熱費の削減はもちろん、停電時の備えとしても視野に入れています。
 次代を考えたこれからの暮らし方、思い出の家の記憶、そして家族4人で過ごす今を大切にした温かな時間──スケール豊かなUさんの家を満たしているのは、目に映るものだけでなく、時空を越えて重なり合う時のレイヤー。歳月とともに、ますます独自の味わいを深めていくことでしょう。

写真ギャラリー

日常と非日常の融合 心豊かな時を生む家族のための大邸宅

コンクリート、無垢材、タイル、石
素材の趣と機能を最大限に活かし家族時間を豊かに演出

株式会社 Laboz 代表取締役 新川 喜嗣

 施主のUさんとは長いお付き合いで、お互い気心知れた仲ですが、正式に設計を依頼され、望むサイズを聞いた時は内心驚きました。弊社は商業施設の設計・建築も手掛けていますが、店舗でも個人宅でこれほどの規模は滅多にお目にかかれません。一方、Uさんのこだわりを伺うほどに、どの家にも似ない独創性を感じていました。

 間取りは、Uさんが過ごした実家の写しという大前提があり、その理由の一つとして「建物正面に玄関を配置していること」と話し、メリットとして、動・目線の良さや居室用途に合った配置がしやすいなど挙げました。実際にUさんの家は入り口から印象に残り、空間に物語を生み、住まいに根づいた味わいを醸し出しています。

 今回、弊社は空間を最大限に活かす素材使いや面材の色見、デザイン等に注力しました。
 杉板型枠コンクリートの大壁は「見応え」をコンセプトに、全方位どこから見ても鑑賞が楽しめ、表情がしっかりと伝わるUさんこだわりのデザイン。
 木目を美しく引き出しながら端正なラインを保つには、繊細かつ高度な技術を要し、コンクリートに関する知識も重要です。施工を担い、見事に完成させたUさんの会社の職人さんたちに改めて拍手です。

 外構のコンクリート造の門扉も弊社でデザインを起こし、邸宅にふさわしい「顔づくり」として、重厚感と高級感のあるタイルを組み合わせました。この一例が象徴するように、住まい全体のプランニングとしては、コンクリートとタイルがもつ硬質感と、フローリングを中心にした無垢材の優しい風合いを最大限に活かしつつ、両者の組み合わせの加減、全体のバランスを細かく確認しながら、経年においても飽きのこないデザイン・内装を目指しました。

 御影石の浴槽は、露天風呂をイメージしていたUさんのオーダーに応える形で提案。ところが曲線を形成するにはかなりの技が必要だということで、職人探しに走ったことが唯一の「大変だったこと」です。改めて職人技のすごさを思い、弊社にとっても経験値を高める良い機会になりました。
    
 当社では普段から商業施設の設計を行っていることから、見せ場づくりのノウハウや素材に関する情報も豊富だと自負しています。魅せる、オリジナルな家づくりをお考えの方の力になれたら幸いです。

設計・施工会社

浦添市港川421-2 コーポ港川102

このカテゴリの記事