ふだんを大切にしながら将来までみすえて。機能と温もりが同居するフラットハウス。
- DATA
- 所在地: 宜野湾市
- 設 計: スリースターズ株式会社
(担当/中江 ゆみ) - 敷地面積: 165.48㎡ (約50.06坪)
- 建築面積: 82.72㎡(約25.02坪)
- 延床面積: 81.95㎡(約24.79坪)
- 用途地域: 第一種低層住居専用地域
- 構 造: 壁式鉄筋コンクリート造
- 完成時期: 2021年10月
- 施 工: スリースターズ株式会社
(担当/宮里 正信) - 電 気: スリースターズ株式会社
(担当/宮里 正信) - 水 道: スリースターズ株式会社
(担当/宮里 正信) - キッチン: 株式会社ウッドワン営業本部 沖縄出張所
(担当/松山 雄一)
末長く住めること、清掃がしやすいこと。シンプルな要望からスタートした家づくりは、綿密な打ち合わせでライフスタイルに合った住みやすさ満点の新居として誕生。共働きで子育てするMさん夫婦の日常を見守り、支える家でもあります。
※週刊かふう2022年3月11日号に掲載された内容です。
キッチンを拠点に各空間が有機的につながる平屋
基調色の白と木の風合いが調和し、整然としたナチュラルな気持ちよさで包み込むMさんの家。
その中心的存在となるのがリビング・ダイニングと一体化したキッチン。ここに立てば正面には家族の集いや外の様子を、右手には子ども室を、そして左手には洗面室・脱衣場・バスルームまでと連続して見渡せ、まさに家族を見守る司令塔となっています。
また、目が届くだけでなく、キッチンの左右に展開される各空間は1本の動線で連結。端から端まで一直線! キッチンのスタイルは回遊性に優れたアイランド型なので、全方位スムーズにアクセスできます。「調理中や後片付けの最中でも子どもたちの様子がうかがえますし、必要があればさっと駆けつけられるのですごく安心。家事効率が上がるのはもちろん、気持ちにもゆとりが生まれました」と、1歳3カ月になる末の子を抱きながら奥さまが笑みを交えて話します。
よく考えられた間取りゆえに、きっと、この形を理想として家づくりが始まったのだろうと思いきや、「当初はそこまでは考えていなかったよね」と意外な答え。ご主人いわく「設計士さんとのやりとりのなかで生まれてきたプランです。そもそも夫婦ともに、絶対にこうしたいという強いこだわりはなかったんです。長く住めること、RC造であること、清掃がしやすいこと。それと妻が好きなパイン材を生かすこと。そういう大まかな希望があったくらいで。それがこんな住みやすい家になり、建築会社や担当者さんとの出会いに改めて縁を感じます」。
一掃された“条件付き”の懸念。むしろ幸運の出会いに
ご夫婦が新居計画を立てたのは2年ほど前。焦らずゆっくり進めていく方針で、土地探しも長丁場になることを覚悟していた矢先に、住んでいたアパートのすぐ近くで建築条件付き土地の売り出しが。
「最初は“条件付き”が気になっていましたが、建築会社の施工例や代表者の家づくりに対する姿勢、方向性を見聞してみると自分たちの思いと合致。しかも、代表者は自分と同い年で設計担当はその奥さん。自然と会話が弾み、特に妻は女性同士で家事の課題や清掃の便不便といったピンポイントでの共感、相談、やりとりができ、本当に嬉しそうでした」
奥さまは「ほんの一例ですが」と前置きし、「キッチンの窓の位置も、まず料理中の動作からひもといてくれたんです。家事室のアイロン用コンセントの位置に至っては、アイロン掛け中コードが邪魔にならないようにと、利き手の確認から行う細やかさで。小さなことかもしれませんが、実際の暮らしではとても大事なこと。おかげで何をするにもノンストレス。いえ、楽しいと言った方がぴったりです」と満面の笑みを見せてくれました。
明るく広く機能的いつまでも整い美しい家へ
Mさん宅は、南北に長い土地を生かした縦長の平屋。LDKの掃き出しは東向き、子ども室は南窓で日差しが差し込み、どちらも明るく健やかな印象です。
キッチンをはじめとする水回りは西側に整列して配置され、洗面室にはユーティリティーとしての設備・機能も集約。あれもこれも同時進行させる“ながら家事”が効率よく快適に行えます。また、水回りはハイサイドライトから自然光が降り注ぎ、清潔感あふれる仕上がりに。そして住まい全体は段差もドアレールの溝もなくフルフラットでつながり、足元も快適。「高齢になっても安心、安全快適に暮らせると思いますよ」とご主人が話すように、ご夫婦の希望であった末長く住める家としても完成されています。
一方、内装やインテリアは、奥さまの好みのパイン材が要所に絶妙なバランスで用いられ、洗練された統一感と木の温もりを醸成。パイン材が好きな理由は「経年で色味が変わる味わい」とおっしゃり、時の重なりを楽しむ、ご夫婦のライフスタイルが垣間見られます。
昨年10月の竣工から約5カ月。今の気持ちをたずねると「子どもたちが家の中でのびのびと駆け回り、それを見ているのも楽しくて」とご主人。奥さまは「私の夢がつまったキッチンにいるのが一番好きな時間。『ああ、いい家だなー』って、幸せに浸れるんです」。「おかげで僕らも以前に増して、毎日毎回、おいしい料理にありつけていますよ。ね!」とご主人がお子さんに声をかけると、口をそろえて元気よく「うん!」。
住み心地のいい家を通してMさんファミリーから幸せのおすそ分けをいただいた気分になりました。
写真ギャラリー
設計・施工会社
総合建設業・一級建築士事務所 スリースターズ株式会社
TEL:098-988-4258 | https://three-stars.co.jp
住みやすさの中にもときめきを。細部を磨き、暮らしを輝かせる小粋な設計。
設計を担当した中江ゆみさん(左)と、コーディネートを担当した金城柚穂さん(右)
末長く愛せる家を目指して。住み手の要望に誠実に向き合い、家族の成長にも寄り添えるようにプランする。
今回のケースは、スリースターズが提供する建築条件付き土地での家づくりで、自由設計となっています。
プランづくりにあたっては、ご夫婦共通の要望を第一に、それぞれの理想をヒアリング。その結果、仕事をもつ奥さまが安心して育児・家事に取り組める間取りを最優先とし、目視で容易にお子さんの様子が確認できるよう、キッチンを軸にしてレイアウトをまとめました。
そこでポイントとなるのが、LDK、水回り、子ども室にわたる回遊動線の組み合わせで、家事効率の向上はもちろんのこと、家族皆さんが何をするにも無駄なくスムーズに動け、さらには将来ご夫婦が高齢となっても暮らしやすいという多くの利点を創出しています。
実は、当初のプランでは長形の土地を生かし、玄関ホールからLDKにかけて廊下を設けていましたが、各居室をもう少し広く確保したいとの要望を受け、通路部分をいかに少なくするかに腐心しました。通路が適正に確保できていないと家具の配置との兼ね合いで動線が乱れたり、うっかり家具にぶつかったりと、アクシデントが予想されるからです。考えに考え抜いた設計が実際の生活の中で「住みやすい」と喜んでいただけたことを大変うれしく思っています。
また、子どもは小さいうちは“回る”行為で家の中にいてもストレスなく過ごせますし、成長すると自然にショートカット(近道)へと移行します。このようなプランは、私どもが常日頃から「家族の成長の邪魔にならない家づくり」を提案していることにも重なり、Mさんご夫婦が当初から所望していた「末長く暮らせる家」の一端を担うものと考えています。
奥さまの家事負担の軽減としてもう1点提案したのが、浴室のフィックス窓です。一般的に水回りは開閉できる窓が好まれますが、構造上どうしても汚れがたまりやすく、手入れの手間も要ります。これに対してフィックス窓は清掃が容易。気になる換気は性能としても高効果が得られる浴室換気乾燥機を導入することで解決し、合わせて、雨天時でも安心して洗濯物が干せる衣類乾燥機能も活躍していらっしゃるとのことで、結果的に家事の手助けを成就することができました。
ほかにも、ご夫婦やご家族の日常をお聞きして、ルーティンが組みやすい造りを意識。そのうえで唯一無二の我が家として好きなことが楽しめる、共有できる空間や内装を目指しました。
弊社では標準仕様にて外壁と屋上にシリコン系の遮熱塗料を施し、RC造の暑さ対策ならびに美観の維持にも取り組んでおり、これもMさんご夫婦が弊社の家づくりに賛同された理由の一つと聞いております。