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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

4世代7人家族が暮らす上下分離型の2世帯住宅へ あるじのこだわりと、さまざまな温もりに彩られた幸せの家

4世代7人家族が暮らす上下分離型の2世帯住宅へ あるじのこだわりと、さまざまな温もりに彩られた幸せの家

DATA
設  計: 株式会社 佐平建設
     (担当/山城 麻生)
延床面積: 148.35㎡/約45坪
用途地域: 低層住宅地区
構  造: 鉄筋コンクリート造
完成時期: 2019年11月
建  築: 株式会社 長堂材木店
      (担当/長堂)
電  気: 有限会社 エース電気工事社
     (担当/新城、仲嶺)
水  道: HAMAシステム
     (担当/濱元親子)
塗  装: 株式会社 平真塗装工業
     (担当/平良、照屋)

心地いい、リノベ計画09 COMFORTABLE RENOVATION
浦添市Kさんのプラン

同居とともに築33年の実家の2階・3階を2世帯住宅にリノベーションしたK夫妻。 盆正月には100人集まるという沖縄らしさを引き継ぎながら、 あるじの感性を存分に発揮したデザイン性豊かな住まいを実現しました。

週刊かふう2021年6月25日号に掲載された内容です。

4世代7人家族が暮らす上下分離型の2世帯住宅へ あるじのこだわりと、さまざまな温もりに彩られた幸せの家

プランの柱はかっこよさと温もりと大空間

 1階が店舗の3階建てRC住宅。2階は70代のご両親と97歳になるおばあさまが暮らす「親世帯」、3階がKさんファミリーの暮らす「子世帯」で、玄関・リビングダイニング・キッチンは共有です。
「以前は分譲マンションに家族4人で暮らしていましたが、母が要介護となり同居を前提にリノベーション計画が始動しました」とご主人が振り返ります。手始めに書籍などから情報収集を行い、県内で二世帯住宅リノベを得意とする施工会社をネットで探し、オープンハウスの見学に。ご主人いわく「初めて見る色使いと独特のペイントの質感に衝撃を受けました。一目ぼれです」と、マンションでも自分たちで壁紙の色を替えていたという夫妻にとって、色は大事な要素。また、落ち着きのあるデザインにも心を惹かれ、その場で工事を依頼したと言います。

 夫妻が設計・デザインのキーワードとして挙げたのは、大人の遊び心を感じられるかっこよさと、ナチュラルな温かみのある北欧スタイル。そして絶対に譲れない条件が、ざっと100人は収容できる大空間の確保。「仏壇があるので、毎年盆正月には大勢の親戚が集まるんです」と少しはにかみながら奥さま。
 工事期間は約4カ月、その間は隣接するアパートにご両親とおばあさまの3人が仮住まいしました。

4世代7人家族が暮らす上下分離型の2世帯住宅へ あるじのこだわりと、さまざまな温もりに彩られた幸せの家

集いもそれぞれの時間も快適な理想の住まいに

 親世帯の2階はリビングダイニングのフローリングを仏壇のある畳間とフラットにつなぎ、広々とした空間を実現。あわせてキッチンも拡大し、天井は下地を落としてスラブを出し高さを創出。開放感あふれる空間を調色したグレーのペイントが落ち着きを与え、洗練された印象に。住まい全体は車いすも安心なバリアフリー仕様です。

 3階はそれぞれの個室とセカンドリビングの住居に大変身。中でも、内階段をのぼって廊下からベランダに直通できるようになったことと、脱衣所とファミリークローゼットが一体化したランドリールームの新設は大きなポイントです。前者は、ベランダ菜園を趣味とするお父さまが部屋を介せずに出入りできる自由性とプライベート性を確立。後者は、家事動線と身支度動線が一つになってすこぶる便利に。Kさん宅らしさを際立たせる色使いは、フローリングの木色に馴染むブルーやグリーン系、イエロー系を中心に配色。北欧テイストの楽しさと温かみが打ち出されています。これらのプランは夫妻と設計士の細かなやりとりの中から生まれたものですが、「毎回私たちの想像を超える提案があり、本当に楽しい家づくりを体験させてもらいました」とご主人。
 施主としてのアドバイスを伺うと「使える部分はなるべく生かす、見学会などは大いに活用する」ことと、「完成後に気づいたことですが、高齢者用のトイレはできる限り寝室近くに」とも。お父さまも大満足のご様子で「親戚も大絶賛ですよ」とにっこり。

 完成から1年半たった今、「夕食はいつも7人でテーブルを囲んでワイワイと。そのあとは義父はリビングで好きなテレビ番組を見てくつろぎ、子どもたちは3階で動画配信を見たり、趣味を楽しんだりと、それぞれの時間を過ごして。一緒の時間も個々の時間も快適で毎日が楽しいんです」と奥さま。心地いいつながりと住みよさが伝わってくる、皆さんの明るい笑顔が印象的でした。

写真ギャラリー

4世代7人家族が暮らす上下分離型の2世帯住宅へ あるじのこだわりと、さまざまな温もりに彩られた幸せの家

仲良く暮らしながらもお互いを尊重するプライバシー性を重視。
施主さまからいただいた多くのキーワードでプランもスムーズに進行。

株式会社 佐平建設
左:山城 麻生さん(二級建築士/企画開発部設計担当)
右:加納 賢一さん(リフォーム部部長)

 今回の施主Kさまご夫妻は、好みやこだわりをしっかりお持ちだったので、ファーストプランから完成までの一連が比較的スムーズに進行したというのが私の印象です。
 デザイン面では特に、多趣味なご主人のご意向を生かせるように工夫。その一例が階段壁に設けた釣りざおの見せる収納や、3階廊下に設けた趣味のためのスペースですが、とてもすてきに有効活用されていらっしゃって作り手としても嬉しい限りです。

 間取りに関しては大きな変更もありました。3階にはキッチンと大型ウォークインクローゼットの設置を予定していましたが、これらの設計を見合わせる代わりに共有部分=セカンドリビングの確保を提案。というのも夜に2階のリビングでテレビなどを見るにも、ご両親やお祖母様の生活時間を考えると遠慮が必要になることもあるだろうと。ですが、飲み物などを取りに階下に降りる手間は省きましょうと、冷蔵庫を置く場を用意しました。

 また、子ども室も最初はスタディースペースという形で仕切りのない空間作りを進めていましたが、必要な時には各自の個室を確保できるよう、ドアの取り付けを想定して再度プランニング。ささいなことですがリノベーションを通して、より快適でより便利な暮らしを実現していただけるよう、弊社では実生活に根づいた感覚や視点を大事にしています。同時に使用可能ものはできるだけ生かせるように取り組み、今回のケースでは2階の既存フローリングは致命的な劣化がないことから新しいフローリングを張るための下地材として採用し、コスト削減も実現しています。

 K夫妻がとても気に入られた塗料「ポーターズペイント」はオーストラリア生まれの塗料で人にも環境にも優しく、すべて職人による手塗り。ムラ感を生かし、これが独特の味わいや表情を生み出しています。今回の事例では、キッチンの一部とご夫妻の主寝室のアクセントに使用。その他の塗装はポーターズペイントならではの独特の色合いをカタログから選んでいただき別の塗料で色調したものですが、ご夫妻の好みと意匠性に優れた配色やバランスを鑑みながら、心地いい空間を生み出せるカラーコーディネイトを行いました。
 ご高齢の多い沖縄でも4世代が仲良く暮らしていらっしゃるのはまれなこと。私にとっても思い出深いリノベーションとなりました。

設計・施工会社

那覇市小禄5-13-1 たかよしビル2階

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