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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

緑豊かな庭を望む オープンテラスのある家

緑豊かな庭を望む オープンテラスのある家

DATA
設  計: コバヤシ 401.Design room
      株式会社(担当/小林進一)
敷地面積: 271.31㎡(約82.07坪)
建築面積: 112.89㎡(約34.14坪)
延床面積: 112.17㎡(約33.93坪)
用途地域: 第一種低層住居専用地域
構  造: 鉄筋コンクリート造
完成時期: 2019年10月
施  工: 株式会社
      シンコウハウス工業
電  気: 株式会社ミシマ・プラン
水  道: 有限会社 山商
キッチン: クリナップ

家の外には緑の草木が映える庭を持ち、室内はコンパクトながらも変化に富んだスペースが連続。
夫婦と子ども2人が住むKさん宅では、自慢のテラスを介して室内外が緩やかにつながった、明るく潤いのある暮らしが営まれています。

週刊かふう2022年10月7日号に掲載された内容です。

緑豊かな庭を望む オープンテラスのある家

三つの設計案から、庭の広さを最優先したプランを選択

 憧れは形にできる。ハードとしての建築はもちろん、空気感や暮らし方まで。

 Kさんご夫妻がイメージしていたのは、緑豊かな庭を望む、広々としたテラスのある家。「ヨーロッパの邸宅をほうふつさせるような、飾らず気品のある住まいにしたい」との思いを軸に、建築士と二人三脚で積年の構想を実現しました。

「依頼した建築士さんからは、それぞれにスタイルの異なる三つのプランを最初に提案してもらいました。どれも捨てがたいほど魅力的だったのですが、結局はやっぱり初心の通り、庭を大きく取れることを最優先しました」と奥さま。
 家づくりの舞台に購入したのは、新しい住宅街にある80坪強の変形地です。計画を始めてから5年の歳月をかけて探し当て、以前に訪れた住宅イベントで「目を付けていた」という建築士に相談。目利き通りの結果に納得して選んだ現在のプランは、敷地の西側境界に沿うように直線上に居室が並び、建物で切り取られた三角形のスペースが庭に充てられています。

 駐車場のあるエントランスから見たKさん宅は、外構や庭を彩る草木の緑と白い躯体がマッチして、町並みに潤いを添えるオアシスのよう。重厚な面持ちの玄関扉をくぐり、天井に木をあしらった廊下を抜けると視界が一気に開け、明るく開放感満載のLDKが現れます。
 窓の外には深い庇に覆われたテラスが置かれ、庭と室内を緩やかに連結。思い描いていた通りの落ち着いたたたずまいに加え、「デッキチェアに座って本を読んだり、家族皆でBBQをしたり、何かと重宝しています」とご主人は話し、実生活の面でも貴重な空間になっています。

緑豊かな庭を望む オープンテラスのある家

ダウンフロアやスキップなど、段差を生かした生活スペース

 LDK回りに集約した生活スペースは、シンプルながらも変化に富んだ、ユニークな空間の集合体です。例えばリビングの隣にある「子どもスペース」はダウンフロアになっており、空間自体はつながっていてもわずかな高低差が心理的な仕切りの役割を果たし、適度な距離感が生まれています。子ども室の真上には畳間が置かれ、南側の戸を開ければ吹き抜けを介して階下と連続。キッチンに立つ家族と顔を合わせて会話もできます。

 1・2階を結ぶ階段途中にあるのは、スキップ的な「ピアノフロア」。これは「新居には茶色のピアノを置きたかった」という奥さまの要望をかなえたもので、親子で演奏を楽しむと同時にインテリア的な要素も兼備しています。さらにはピアノフロアに至る階段のステップは幅広に設定されているため、腰掛け代わりに使われることもしばしば。一方で、ご主人が求めた「漫画の書庫」は、スペースの都合でいったん断念しましたが、形を変えて再浮上。屋上の点検のために2階和室から延びる通路を活用し、小さいながらも書棚を設けました。

緑豊かな庭を望む オープンテラスのある家

 毎日の生活は庭と混然一体。室内が常に明るく爽やかな空気に満ちているのは、庭側テラスから運ばれる光と風のたまものです。子どもたちものびのびと家中を駆け回り、まるで昔の沖縄家屋のように、テラスを通って室内外を出入りしています。
 最近は緑豊かな環境が室内にも伝播して、観葉植物が増殖中。「他のインテリアも増やさないと」と奥さまは謙遜しますが、設計を手がけた当の建築士が「引き渡してから3年。訪れるたびに魅力を増している」と目を細めるほどに、丁寧な暮らしが営まれています。

写真ギャラリー

緑豊かな庭を望む オープンテラスのある家

テラスと隣り合う空間との素材の連続性が
室内外の自然なつながりを生む

一級建築士:小林進一さん

 居心地のいい家をつくるためには、間取りや動線といった室内のプランニングだけではなく、外部環境との関係性を考えることも重要です。とりわけ庭の優先順位が高かった今回のKさん宅では、室内の居住スペースとテラス・庭をいかにシームレスにつなげるかが一つのポイントになりました。

 敷地条件としては東側前面道路を除く三方に隣家が建ち、採光・通風の要所となる南面には開きにくい環境です。最初の3案からKさんが選んだプランは、予算・要望に即した床面積約34坪の箱を西側境界に寄せて置き、東面に大きく庭を配置したシンプルなもの。ゾーニングも分かりやすく、玄関のある南側半分を寝室・水回りなどプライベートスペースに充て、家族が集うパブリックな空間は北側に集約しました。

 南北に細長い形状のため、公私のスペースを行き来するには廊下が必要になります。しかし単なる通路にするだけでは、限られた貴重な床面積の無駄使になると考え、内外をつなぐ空間の一部になるように廊下のデザインを考案。具体的には、廊下の天井と床に使用した杉板・タイルをそれぞれテラスにもあしらい、両者の連続性を強調しました。LDKの窓を開け放つと、内外の境界が曖昧になった半屋外のオープンテラスが現れます。ウッディな深い庇はLDKのフローリングとも同系色でそろえ、室内を俯瞰(ふかん)するとより一体感が強まります。

 テラスは庭側とは別にもう一つ、室内の明るさを補うために、オープンエアの中庭テラスを設けました。床には同じようにタイルを施工し、廊下との統一感を演出。キッチンや洗面家事室など奥まったスペースに優しい光を届けるとともに、吹き交う風を効率的に逃がす換気装置の働きもあります。
 LDKは隣り合う子どもスペースや2階和室とのつながりを意識して、コンパクトにまとめました。どこにいても庭の緑を眺められ、北側の階段からでも屋外の雰囲気を感じ取れるように、リビングには3面に窓をレイアウト。また変形した敷地形状に躯体を沿わせ、多角形の余剰スペースを収納に充てるなど、空間を無駄なく活用しています。

設計・施工会社

コバヤシ 401.Design room 株式会社

TEL:098-923-2439https://kobayashi401.com/

TEL:098-923-2439https://kobayashi401.com/

沖縄市中央 3-1-8

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