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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

丘上の絶景地に建つ リゾートフルな邸宅

丘上の絶景地に建つ リゾートフルな邸宅

DATA
設  計: 有限会社真玉橋設計事務所
     (担当/野里雅樹、比嘉美幸)
敷地面積: 623.20㎡(約188.52坪)
建築面積: 235.68㎡(約71.29坪)
延床面積: 218.96㎡(約66.24坪)
用途地域: 指定無し
構  造: 鉄筋コンクリート造
完成時期: 2020年6月
施  工: 株式会社エムズ
     (担当/宮城)
電  気: 有限会社沖縄総設
     (担当/伊波)
水  道: 有限会社エコ電水
     (担当/伊波)
キッチン: キッチンハウス
     (担当/岡田)
造  園: 艸木(担当/菊池)

日常と非日常は相対するものではなく、日常の中に非日常的な要素が増えるほど、毎日の暮らしはより豊かになります。
丘上の絶景地に建つNさん宅は、ご夫妻と愛犬の住み心地を同時に追求した、リゾート感あふれる住まいです。

週刊かふう2023年3月3日号に掲載された内容です。

丘上の絶景地に建つ リゾートフルな邸宅

理想を上回る“イメージ+α”の提案に共感

 爽やかな光と風が四方から舞い込み、白い大判のタイルを敷き詰めたLDKは、まるでラグジュアリーホテルのロビーラウンジのよう。2階まで吹き抜けになった空間は最大約5メートルの高さがあり、6枚のガラス戸が並んだ大開口を開放すれば、石積みの外壁越しに名護湾を展望します。一方でキッチン方向の窓に目をやれば、海や空の青と好対照を成すやんばるの深緑が飛び込んできます。
「リゾートホテルのような家を建てたい、というのが私たち夫婦の1番の希望でした。沖縄ならではの美しい自然が身近に感じられて、心身ともに最高に安らげる住まいをつくりたい。現在の土地も眺望最優先で選びました」とご主人は振り返ります。5年ほど前に仕事の関係で内地から移り住み、西側180度に視界が開けたL字形状の土地を購入。依頼先を決める際は「地元の環境・事情を熟知した、地元の会社にお願いしたい」と考え、「イメージプラスアルファの提案をしてくれた」という設計事務所にお二人の夢を託しました。

 リゾート感を高める工夫は随所に見られます。例えば2階ベッドルームは、吹き抜けを介してリビングと連続した位置にあり、1階以上に開放的で広がりのある眺望が楽しめます。また外部からの視線が届きにくい敷地特性を生かし、バスルームはガラス張りに。設備にもこだわって、レインシャワーや四つ足のバスタブなど、高級ホテルでよく見かけるアイテムを導入しました。
 同じ設備面でいえば、ハイブランドとして知られるキッチンハウス製のアイランドキッチンも大きなポイントでしょう。シンクとIHを組み込んだ天板は3・3メートルもの長さがあり、インテリアとしても存在感を放っています。

丘上の絶景地に建つ リゾートフルな邸宅

人も愛犬も快適に過ごせる一石二鳥の空間設計

 非日常感が満載とはいえ、Nさんにとっては日々寝食を繰り返す日常生活の場である以上、使いやすさも緻密に計画されています。家事面でいえば、先ほど見たバスルームの周囲にはパウダールームやランドリーが並び、1日の疲れ・汚れを落として洗濯・乾燥を済ませるまでの一連の動作がスムーズに行えます。

 ベッドルーム以外の個室にも一つ一つ意味があります。1階にあるシアタールームは、もともと来訪者の宿泊用に予定していたもの。しかし設計担当者から「普段遊ばせておくのはもったいないのでは」と提案を受け、趣味の空間に変更しました。
「壁面をスクリーン代わりにして、ベッドに寝転びながらサッカーの映像などを楽しめるようにしています。そのまま実際に寝てしまうこともあり、開放的な2階とは雰囲気がまるで異なるので、気分転換になりますね」。
 建物の外周を巡る点検通路や坪庭は、家の奥まで光を届けたり、室内のよどんだ空気を抜いたりするのに役立つだけではなく、愛犬たちのドッグランを兼ねています。実はNさんにとって今回の家づくりは「愛犬がいかに快適に過ごせるか」も重要なテーマだったため、まさに一石二鳥のスペースになっています。

 昨年6月の完成・入居後には、敷地西側の外構計画に着手。下見に来た造園家から「昔ながらの手法で、琉球石灰岩の石積みをつくらせてほしい」と逆に熱烈なオファーを受けて一任した結果、「眺望がこんなに映えるなんて」とご夫妻は感激しきりです。
「家にいるだけで心底くつろげるし、今まで以上に仕事にも精が出ます。最高の家づくりができました」とご主人。夜に帰宅する際、「真っ暗な坂道を上った先にわが家の外灯が見えると、何とも言えないホッとした気持ちになる」と思えるほどに、心のよりどころになっています。

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丘上の絶景地に建つ リゾートフルな邸宅

コミュニケーションを密に取り、施主の本質的な思いを引き出す

設計担当:野里雅樹さん、比嘉美幸さん

 施主満足度の高い家づくりを行うには、コミュニケーションの質が重要です。言語化された要望に応えるだけではなく、うまく言葉にできない深層の思いを引き出すには、会話を重ねて信頼関係を築くことが何より大切です。コストバランスの問題にしても、実際にはどこまで無理なく頑張れるか、あるいは逆に抑えるべきかをくみ取ることができれば、設計の方向性は変わってきます。
 今回のNさん宅では「リゾートホテルのような家を建てたい」という要望をストレートに受け止めて、できるだけ純粋に、そしておそらくはお二人が想像していた以上にリゾート性の高いプランをご提案しました。

 計画地は南東道路に面したL字形状の分譲地で、西側一帯には眼下に名護湾を望み、北側にはやんばるの山が広がっています。また西側境界線の先は急斜面になっているので外部から人の視線が届かず、将来にわたって眺望も約束されているため、可能な限り開口を広く取って周囲の恵まれた自然を取り込めるようなプランを考案しました。
 具体的には、2階まで吹き抜けになったLDKとベッドルームを一体的に計画し、生活のコアスペースとして気積の大きな空間を確保。リビングとベッドルームにはそれぞれ視線が海まで真っすぐ流れるように大開口を設け、どこからでも自慢の景色を楽しめるようにしました。さらには吹き抜けの各方位の壁面に眺望用・採光用の窓を配して、開放感を高めています。

 デザイン面では、白を基調にした高級感・清潔感あふれる装いの中にアクセントカラーとして濃褐色系をちりばめ、スタイリッシュな雰囲気を演出。生活感が表に出ないように念入りに気を配り、深い庇とスクリーンで日射をコントロールするなどカーテン要らずの窓回りを計画したり、収納は極力省き、ランドリーの棚はホテルライクな意匠にしたり、冷蔵庫は造作扉の中に収めたり、随所に工夫を凝らしました。
 一方では日常生活を送る住宅として、居心地の良さ、使いやすさにも留意しています。その最たる例が、ドッグランを兼ねた点検通路と坪庭です。建物を覆う外皮の打ち放しコンクリートと室内空間の中間領域にあたり、立地的に光が届きにくい家の東側の明るさを補うとともに、外気の熱が直接侵入するのをブロック。また窓を開ければ、海側の大開口から舞い込んだ風が家中をスムーズに流れ、快適な温湿度環境を保つ役割を果たしています。


設計・施工会社

沖縄市美里6-4-16

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