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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

断面操作で空間をフル活用した 上質スタイルの二世帯住宅

断面操作で空間をフル活用した 上質スタイルの二世帯住宅

DATA
設  計: 間+impression
     (担当/儀間徹・儀間達紀)
敷地面積: 168.80㎡(約51.06坪)
建築面積: 101.27㎡(約30.74坪)
延床面積: 175.84㎡(約53.19坪)
用途地域: 第一種中高層住居専用地域
構  造: 鉄筋コンクリート造
完成時期: 2023年12月
建  築: 有限会社仲真組
     (担当/宮城正和・仲真敏幸)
電  気: 丸森電化電設
     (担当/川満龍次)
水  道: 有限会社島設備
     (担当/島袋恭太)
キッチン: 2階/有限会社モブ
     (担当/前花涼子)
     1階/有限会社ファイン
     (担当/比嘉美奈子)

ゆったり過ごせるリビングも、大容量の収納もどちらも譲れない。
土地利用の厳しい制約下で二世帯住宅を計画していたKさんファミリーは、建築家のサポートを得て、空間の動きと変化に富んだ理想の新居を築きました。

週刊かふう2024年5月10日号に掲載された内容です。

断面操作で空間をフル活用した 上質スタイルの二世帯住宅

同じフロア内を階段で行き来するユニークな空間

 外観だけだと3層構造のようにも見えますが、実際は2階建て。前面にせり出したコンクリート打ち放しのボックス部分が1階親世帯の床レベルで、グレーに塗装された外壁にぐるりと入った横のラインが、2階子世帯との分岐線になっています。ちなみにボックス内部は1階主寝室横にあるお母さまの化粧室で、「駐車場は3台分確保したい」という要望との両立を図った結果、トリッキーで象徴的な現在の造形が出来上がりました。

「広さに限りがあるのは承知の上であれこれリクエストしたのですが、見事にすべてかなえてくれました」とKさん親子は口をそろえます。
 2階はさらに変化に富んでおり、平面図上、LDKと子ども室は隣り合った位置にあるのに、子ども室は大規模収納の上に置かれているため階段で行き来します。
「お願いした建築家の事務所では、こんな具合にスキップフロアを取り入れた作品が多く、立体的な空間の使い方が上手だったことも、選んだ理由の一つです」と子世帯ご主人。
 頭上には木目調の勾配天井が架かり、トップライトや坪庭から差し込むやわらかな光が、室内のスタイリッシュな雰囲気を高めています。

 今回の家づくり計画の発端は4年ほど前までさかのぼります。那覇市内に住んでいたご両親宅の老朽化が進み、「建て替えは困難。新たに住まい探しが必要」という事態が発生。マンション、中古住宅などあらゆる選択肢を視野に検討を進めていたところ現在の土地と出会い、二世帯住宅を新築することになりました。面積50坪強で建ぺい率、容積率の縛りはあるけれど、窮屈な暮らしはしたくないし、収納もたっぷりほしい。それを満たしたプランを提案してくれたのが依頼した建築家であり、「最後は人柄ですね」とは全員の同意見です。

断面操作で空間をフル活用した 上質スタイルの二世帯住宅

店舗のような雰囲気を目指し、窓はあえて少なめに

 1、2階はそれぞれ個別にプランニングしましたが、ここでは子世帯を中心に見ていきます。
 家族の集いの場であるLDKは20帖以上の広さがあり、スキップ状の子ども室とのつながりが感じられて天井も高く、数字以上のボリューム感があります。一方で1階と比べて大きな開口部が少ないのは、周辺が住宅地だからという理由以上に、「スタイリッシュな店舗のような家にしたい」というご夫妻のリクエスト。木と打ち放しのコンクリートを中心に、左官や吹き付け塗装、ステンレス製のキッチン天板、モルタル調の造作ダイニングテーブル等々、内装を彩る一つ一つの素材のバランスが取れて、居心地のいい空間に仕上がっています。

 家事動線もコンパクトにまとまっています。例えば玄関とキッチンを至近距離に置いたのは、買い物の中で最も多い「毎日の食料品をすぐ片付けられるように」と考えてのこと。また家族全員の衣類を集めたウォークインクローゼットは、主寝室からでも、家事や身支度が短い動線内で完結します。
 収納も申し分なく、子ども室直下の大容量スペースをはじめ、シューズクローク、キッチン脇のパントリーなど、要所ごとにたっぷりと用意されています。

「住み始めてまだ半年足らず。小物や観葉植物などを少しずつ増やして、私たちらしい住まいにしていけたら」と奥さま。その隣でご主人は、元気に駆け回る子どもたちの様子を見守りながら、「すべての仕上がりがイメージ通り。元々たくさんの人が集まる家にしたかったので、親類や友人らと一緒に多くの時間を過ごし、笑顔が絶えない場所にしていきたいですね」と穏やかに話しています。

写真ギャラリー

断面操作で空間をフル活用した 上質スタイルの二世帯住宅

空間ボリュームも素材使いも、多彩な変化の中に統一感。
大切なのは、建物全体のプロポーションを整えること

子ども室+スキップ収納。LDKを立体的に活用した、家族の一体感を高めるフロア構成
”線(ライン)”を伸ばして視線を誘導し、空間の奥行き感を演出する

一級建築士:儀間徹さん(左)、儀間達紀さん

 住宅地には用途地域や地区計画によってさまざまな規制がかけられており、建築可能な建物のサイズには限界があります。
 今回のKさん宅は、1、2階ともに一定以上の居室の広さや収納容量が求められ、まさに法律の制限範囲を生かし切った状態。平面的に工夫を施す余地はほとんどなく、したがって床や天井の高さを変えて縦横にボリュームを分節することで、Kさんのイメージにかなった個性的な空間を創造しようと考えました。

 2階子世帯を例に挙げると、小学生以下の子ども2人がいる4人家族で、居室の種類はLDKと主寝室、可変式の子ども室のみ。玄関をどの位置に置くのか多少は検討しましたが、現在のレイアウト自体は大枠でおのずと定まりました。その中でLDKの隣には、子ども室を大収納庫の上に重ねてスキップ状に配置。連続した一つの空間を1・5層のボリュームにすることで立体感とメリハリが生まれ、床レベルが異なるので居場所によって視界も変わり、生活スペースと子ども室の間の適度な距離感も保たれます。また天井は子ども室にそろえてフラットにせず、デザイン性とコスト面を考えて勾配を付けました。

 結果的にフロア全体を見れば、立体的で変化に富んだ造形になりましたが、大切なのはプロポーションを整えてあげること。住み手が受け取るスケール感、素材や色調のバランス、光や風の広がり方などを丁寧に整理することで、どんなに複雑で入り組んだ空間でも、逆にシンプルで単調な形状であっても、普遍的に備わる美的感覚を喚起できます。
 併せて今回のKさん宅では、限られた面積の中で奥行き感が得られるように、”線(ライン)を伸ばす”ことを強く意識しました。外壁の1、2階中央部分にぐるりと掘り込んだラインや、直線的な間取りの配置などがその一例です。途切れることなく”線”が続いていることを知覚すれば、目が届かない”向こう側”にも意識がおよび、実際の数字以上の広がりが感じられます。

 また先ほど触れた子ども室直下のスキップ収納は、私たちの事務所でよく採用する手法です。天井高1.4m以下など一定の条件を満たせば延床面積に算入されず、収納空間として活用でき、その上下にも居室を置けるので、限られた面積を有効に生かすことができます。


設計・施工会社

間+impression(まアンドインプレッション)

TEL:http://ma-impression.com/

TEL:http://ma-impression.com/

宜野湾市新城2-39-1 SVM A-6

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