段差×勾配天井で魅せる3層のフロアを持つ平屋の家
- DATA
- 設 計: 間+impression
(設計担当/儀間徹、儀間達紀) - 敷地面積: 173.69㎡(約52.54坪)
- 建築面積: 86.80㎡(約26.25坪)
- 延床面積: 86.80㎡(約26.25坪)
- 用途地域: 第一種低層住居専用地域
- 構 造: 鉄筋コンクリート壁式構造
- 完成時期: 2024年11月
- 建 築: 有限会社 仲真組
(担当/仲眞憲和、宮城正和) - 電 気: 有限会社 開成電設
(担当/玉那覇裕亮) - 水 道: 株式会社 BANエンジニア
(担当/大嶺斉) - キッチン: 造作天板
LITTAI metal works
(担当/仲地研二) - 構 造: 建築設計庵
(担当/長間大輔) - 造 園: 株式会社
GREENS FOR GOOD
(担当/鈴木康久)
週刊かふう2025年5月16日号に掲載された内容です。
空間を立体的に活用した、変化に富んだプランニング
敷地の傾斜に沿うようにして居室が並んだ段々状のレイアウト。玄関と同じ床レベルに主寝室があり、子ども室は廊下から階段を上がった場所に、反対にLDKはステップを下りた位置に置かれています。
「空間的にもデザイン的にも、変化に富んだ家にしたかったんです」とご夫妻。Yさん宅は3層構造の平屋建て。平面図上は子ども室とリビングは隣同士にありますが、実際には1.4mもの高低差があります。頭上には生活スペース全体を包み込むようにして板張りの勾配天井が架かり、温かみある雰囲気と開放感を演出しています。
新居が完成したのは半年前。土地探しの段階から住宅誌などを見て情報を収集し、「この家すてきだな、と思うといつも設計者が同じだった」という事務所に依頼。作風が好みであるのはもちろんのこと、「立体的なプランの組み立て方が上手。特に居室と収納を重ねたアイデアはわが家でもぜひ取り入れたいと考えていました」。Yさん宅では子ども室の真下が大収納スペースになっており、縦方向の変化を生み出すポイントになっています。
カフェの雰囲気を目指した、明るく落ち着きのある住空間
デザイン面で目指したのは「カフェのような落ち着いた空間」。家族の憩いの場であるLDKはライトグレーとダークブラウンを基調にスタイリッシュにまとめ、ポイントごとに素材・配色を変えてアクセントをプラス。ステンレス天板のオリジナルキッチンはインテリアとしても存在感があります。また「日中は照明に頼らず快適に過ごせるように」とリビングのFIX窓やテラスに面した大開口で採光を確保。内から外へと視界も広がり、庭の花ブロックや植栽が雰囲気を引き立ててくれます。
主寝室周辺にはファミリークローゼットや室内干し場、水回りがまとまり、家事・生活効率は抜群。バスルームはデザイン重視でオールタイルで仕上げました。
こだわりの要素が盛りだくさんのYさん宅ですが、「床面積は約26坪。遊びに来た親類や友人が皆、数字以上に広く感じると驚いています。実際に私たち自身もそう感じているし、すべてにおいて納得感のある狙い通りの家づくりができました」。
新居で初めて迎える夏シーズンも充実した毎日になりそうです。
写真ギャラリー
一級建築士 儀間徹さん(左)、儀間達紀さん
最大1.1mある敷地内高低差をプランの工夫で解決しました。南東側の最も低い位置にLDKを配置し、反対側に主寝室・水回り・子ども室を並べることで、敷地の傾斜に沿って公私のスペースをゾーニング。採光や熱対策の観点からも、最も明るい場所に家族団らんの空間があり、西日の影響を水回りや収納によって軽減できる理にかなったレイアウトになりました。
Yさん宅は建ぺい率の限度いっぱいまで建てて床面積約26坪。限られた広さの中で、床面積に含まれない天井高1.4m以下の収納を盛り込んで空間を立体的に活用することも、私たちの事務所ではよく採用している手法です。今回は子ども室の真下を大収納スペースにして、リビングとの間に適度な距離感が生まれるように調整し、さらに勾配天井を生かしてLDK全体に吹き抜けのような開放感を創出しました。
敷地と前面道路の間の高低差克服にも腐心しました。厳格な水仕舞いのために道路に向かって緩やかな傾斜を付け、代わりに玄関前に階段を設置。結果的に板張りの外壁と併せて特徴のある外観に仕上がったと思います。
設計・施工会社
間+impression(まアンドインプレッション)
TEL:098-892-3635 | http://ma-impression.com/