弓形の天井と一筆書きの外壁が暮らしを優しく包む家
- DATA
- 設 計: 一級建築士事務所
又吉健仁建築設計事務所 - 敷地面積: 248.00㎡(約75.02坪)
- 建築面積: 102.72㎡(約31.07坪)
- 延床面積: 91.23㎡(約27.59坪)
- 用途地域: 無指定地域
- 構 造: 鉄筋コンクリート造
- 完成時期: 2024年11月
- 建 築: 株式会社 神希建設工業
(担当/神谷勇希) - 電 気: 匠電気工業
(担当/金城政英) - 水 道: 有限会社 共同工業
(担当/大城克己) - ガ ス: 株式会社 協和ガス
(担当/城間俊) - 空 調: NJ空調クリーン
(担当/八幡竜浩) - 内 装: 木工房(担当/小波津朝春)
- 家具・建具: 新福木工(担当/新福真樹)
- 塗 装: 南星塗装工業
(担当/新垣純子)
週刊かふう2025年6月13日号に掲載された内容です。
特徴あるデザインがわが家への愛着を育む
コンパクトでありながら個性的。Sさん宅にはデザイン面で2つの大きな特徴があります。
一つは、テラスの目隠し塀と建物の外壁がひと続きになっていること。まるで一筆書きで外周をなぞるように、前面道路側から出発したコンクリート塀は徐々に高くなって玄関奥へぐるりと回り込み、そのまま躯体につながっています。もう一つは、LDK頭上の天井が室内側にたわんで弓形になっていること。緩やかな湾曲面を板張りで仕上げた温かみある雰囲気は、リビング上部のFIX窓を介して庇まで連続。家の中で過ごす時はもちろん、外から見ても天井の”しなり具合”がよく分かります。
「わが家があるのは畑に囲まれた小さな住宅街。日が暮れると室内の明かりが周囲にこぼれ、遠くからでもその存在を確認できます」と奥さま。建築士からの提案で取り入れたこれらのデザイン要素は、着実に愛着を育んでいます。
思い通りの動線と思いもよらぬ眺め
今回の家づくりはSさん親類宅の建て替えでした。長年構想を温めてきた中で、かつて建築士夫妻からの「マイホームの設計はお任せを!」という言葉を強く受け止めて、3年ほど前に本格的に計画に着手。待望の新居は昨年11月に完成しました。
Sさん一家は夫婦と子ども3人の5人家族です。共働きで忙しい毎日を送っているため「キッチンを基点にして効率的に動ける家事動線」は最優先事項。協議の結果、正面左手に水回りを配置し、右手側に主に個室をまとめたレイアウトができあがりました。
個室は主寝室、子ども室2室に加えてピアノ室を用意。また勾配天井によって生まれたスペースを生かし、主寝室上部にはロフトを確保しました。
団らんの場であるLDKは、弓形天井を仰ぐ大空間。テラスに面してガラス窓が並び、自然と視線が外まで抜けていきます。
「主人はソファに座ってくつろぐことが多いですが、私はキッチンからの眺めが好き。吹き抜け面の窓から、空や雲の様子が手に取るように感じられます」。
新鮮な感動と発見が今日もまた続いています。
写真ギャラリー
一級建築士 又吉健仁さん
住む人の心にとどまるデザイン的な特徴は、意識的にも無意識的にも家への愛着を深めます。一筆書きでつなげた外壁の構成は、私のレパートリーにあった作風の一つ。弓形の天井は、通常の柱のない広い屋根だと梁を設けて屋根を支えますが、梁のない最厚400㎜のたわみのある一枚屋根にすることで、すっきりとした印象に仕上げました。
床面積約28坪の平屋の中に、LDKをはじめ4つの個室とゆとりのある家事動線を確保。無理のないレイアウトで手狭さを感じないように、勾配天井を生かして空間を縦方向にも活用しました。リビングの吹き抜けは最大4.4mの高さ。主寝室上部も同じ天井高さで構成し、ロフトにするなど多目的に使えます。
建築工事は完全分離発注方式で進めました。型枠・内装・電気・水道・設備などの各専門業者とSさんが直接契約を結び、私が調整役となって工程管理を行いました。コストメリットが高い他、施工の一部にSさんと縁のある業者に携わってもらったことで、より思い出深い家づくりになったのではと考えています。
設計・施工会社
一級建築士事務所 又吉健仁建築設計事務所
TEL:080-5446-4618 | https://www.instagram.com/matayoshitakehito_architect/
TEL:080-5446-4618 | https://www.instagram.com/matayoshitakehito_architect/
東京都渋谷区恵比寿西2-8-4 EX恵比寿西ビル5階