多拠点生活のハブになる 家族が集えるリゾートハウス
- DATA
- 設 計: 有限会社
門一級建築士事務所
(担当/金城豊) - 敷地面積: 431.84㎡(約130.63坪)
- 建築面積: 81.94㎡(約24.78坪)
- 延床面積: 72.37㎡(約21.89坪)
- 用途地域: 無指定
- 構 造: 鉄筋コンクリート壁式構造
- 完成時期: 2025年3月
- 建 築: 有限会社 匠建
(担当/前里清秀) - 電 気: 有限会社 照電社
(担当/仲間博明) - 水 道: 泉水設備 株式会社
(担当/上原義貴) - インテリアデザイン: KRASIKUL
(担当/山城薫)
週刊かふう2025年8月8日号に掲載された内容です。
セカンドハウス兼宿泊施設として設計
今住んでいる家とは別の場所に新居を構えて、セカンドハウス的に家族全員でシェアして使用。誰も使わないときはプライベートヴィラとして宿泊客に貸し出し、多拠点生活の実現と収益化を無理なく両立させました。
今回のプランを考えたのは、那覇市内で暮らすご両親と、愛知県にいる次男のMさんです。南城市の高台に、雑木林に覆われた相続地があり、「伐採してみたら、ご覧の通りの息をのむようなオーシャンビューが現れました。これだけのロケーションを生かさない手はありませんからね」。
新居の設計は「作風がおしゃれでセンスが良く、見た瞬間にビビッときた」という建築士事務所へ依頼しました。
「まずは私たち自身が使いやすいように」と南北に細長い敷地形状に合わせて全体のレイアウトを整え、全長約7メートルの大開口を持つLDKを海側に置き、中庭を挟んだ北側にベッドルーム2室と水回りを配置。玄関とリビングを結ぶ廊下はギャラリーとして活用し、壁面にニッチを設けてお気に入りのやちむんなどを飾れるようにしました。
空間の魅力を引き立てる上質なインテリアデザイン
周囲の自然と調和した上質感あふれる雰囲気は、専属のデザイナーの提案によるもの。内外装の色合いや素材選びから家具・小物類まで、細かくコーディネートしてもらいました。
「たくさんのゲストが心地良く過ごせるように。建物自体のプランニングとは異なり、私たちの好みをあまり強く押し出さないように気を付けました」。
完成したのは今年3月。しかし余韻に浸っている暇はなく、「宿泊施設としての運用を考えると、完成はゴールではなく出発点。毎日営業の準備に追われていました」と振り返ります。それでも「那覇の家は密集地にあるので、ここへ来て景色を眺めていると心が和みますね。動線も上手につくられていて、使い勝手の良さには毎回感心しています」とご両親。また県内外を頻繁に行き来する次男のMさんにとっては、訪沖中の貴重なリモートワークスペースになっています。
年末には、埼玉県に住む長男一家が泊まりに来る予定です。県内外に離れて暮らす家族全員が初めて新居に勢ぞろいします。
写真ギャラリー
建築的な仕掛けによって生みの眺望を引き立てる
海を見渡す高台に家族が集える家をつくりたいとの要望を受け、始まったプロジェクトです。いたずらに眺望が開けた大空間をつくるのではなく、パブリックなスペースに進むにつれて徐々に海に引き込まれていくように、全体のレイアウトを整えました。
具体的には、玄関から見える景色は最小限にとどめ、リビングまで続く廊下の広さと明るさもできるだけ抑えることで、リビングに出たときの開放感が一段と高まるように設計しました。
居室はLDKとベッドルーム2室のシンプルな構成ですが、両者の間に中庭を配置して、公私のエリアの適度な距離感を確保しました。ベッドルームからも海は見えるものの、リビングとの間にワンクッション挟まることで、より落ち着いた雰囲気で過ごすことができます。
今回は建物のプランニングのみを行い、壁材や床材、建具の選定なども含めて、内外装はすべてKさんが依頼したデザイナーの方に一任しました。私たちには考えつかないような新たな発見が幾つもあり、いい意味で従来のテイストとは異なるすてきな作品に仕上がったと思います。
設計・施工会社
有限会社 門(じょう)一級建築士事務所
TEL:098-888-2401 | http://www.jo1q.com/