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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

いくつもの楽しみとつながりを生む 包容力豊かな木の家と暮らし

いくつもの楽しみとつながりを生む 包容力豊かな木の家と暮らし

DATA
設 計: 株式会社 木の家 GreenHouse
敷地面積: 241.67㎡(約73.11坪)
建築面積: 123.95㎡(約37.50坪)
延床面積: 165.61㎡(約50.10.25坪)
用途地域: 第一種中高層住居専用地域
構  造: 木造(プレウォール工法)
完成時期: 2021年3月
建  築: 株式会社 新洋
     (建装事業部 川満康友)
大  工: House Toki
     (代表 中村東浩)
電  気: トーマ電工(代表 當間敏夫)
水  道: システム企画 有限会社
     (代表 宮良高嗣)
キッチン: 株式会社 ウッドワン
     (担当/松山雄一)

昨年春に完成したMさんの新居は、子ども達が主役の家。
思い切っり遊べるように、さまざまな体験できるようにと、あちこちにまいた笑顔のタネは、しっかりと花開いていました。

 

週刊かふう2022年11月4日号に掲載された内容です。

いくつもの楽しみとつながりを生む 包容力豊かな木の家と暮らし

ダイニングキッチンに集う おうちカフェのように


 閑静な住宅街に建つMさんの家。大きな切妻屋根はレースのような丸みを帯びたうろこ瓦に覆われ、玄関部にも三角屋根が乗った北欧風の洒落た外観。アプローチには自然石が蛇行して敷かれ、小路のような雰囲気を醸しています。

 リビングに足を踏み入れると木目が美しい杉の無垢材が広がり、高い吹き抜けの頭上も爽やかな杉模様。ゆったりとした空間は四方から差し込む光に照らされ、その中を4人のお子さんがにぎやかに駆け回っています。
「うちのいつもの光景です」と、ダイニングから見守るMさん夫婦。お二人が座するテーブルは、キッチンカウンターと横つなぎで置かれ、テラスにも面した心地いい場所に。そして「ここが我が家の中心地。家族の集合場所です」。

 何かとキッチンに居ることが多いという奥さまのもとに自然と家族が寄り合い、おしゃべりしたり、料理を手伝ったり、お茶を楽しんだり。そんな豊かな時と場に華を添えているのが、キッチンのインテリアや演出。頭上にはアンティークなペンダントライトと並んで奥さま手作りのドライフラワーが吊るされ、背面はレンガ調のタイル、よく使う食器はカゴに収納と、食の温かみを感じる素材とアイテムで彩られています。
「この位置からだと、子ども達が登校するのも見えるんです」とシンク付近に立ち、テラスの向こうに目を遣る奥さま。「偶然ですが設計士さんが土地を活かしてくれた賜物です」

いくつもの楽しみとつながりを生む 包容力豊かな木の家と暮らし

思い出に残る家づくりと思い出も育む遊び場


 3人目のお子さんの誕生を機に、マイホーム計画を始動させたMさん。将来的な通勤・通学のことも念頭に、理想の土地に出会うまでに約2年。「妥協せず本当によかったです」と当時を振り返ります。

 家づくりは、『木の家』というワードに惹かれて見学会に出向いた設計会社に依頼。「構造や素材の品質に加え、親身になって希望に耳を傾けてくれたのが決め手となりました」。また、打ち合わせの最中は、会社の代表者とスタッフが連携して子お子さん達の遊び相手となり、ご夫婦がプランづくりに集中できるよう、手厚いサポートがあったとも。「あの時間も大切な思い出です」と声を合わせます。

 ご夫婦が一番に要望したのは、子ども達がのびのびと遊べる家。その実現は広いリビングとダイニングキッチン、玄関から二方向に分岐してぐるりと回遊する、突き当りのない熟考された間取りにも見られますが、最たるのは2階の“うんていのある木の運動場”。実際は、将来的な子ども室4部屋を確保するための約20帖の空間ですが、今はきょうだい4人の最高の遊び場。「うんていはいろんな遊び方ができるし、身体能力や体力を高めるのにもいいようです」と、ご主人が設置理由を話すかたわらで、上の3人のお子さんが次々と得意技を披露! 末の子を気づかいながら遊ぶ様子も印象的でした。

いくつもの楽しみとつながりを生む 包容力豊かな木の家と暮らし

図書館もある魔女の家?! 木の成熟も楽しみ

 2階が運動場なら、リビングの一角に設けた書斎は“家族の知の森”。大工さんが造作したという重厚なデスクカウンターに空間を包み込むように配置された本棚収納。木に囲まれた落ち着きのなかで、読書や自学習、リモートワークと、図書館のように思い思いに過ごしているそうです。

 他にも、住み心地を高めるアイディや素材使いなど、見どころが多く、冒頭に紹介した外観もその1つ。「私の好きな映画に登場する家がイメージ」と奥さまははにかみますが、形だけでなく伸びやかなライフスタイルも物語と共通しているように思えます。

 入居から約1年半、「子ども達がにぎやかにしていても気にならない、落ち着ける家です」とご主人。奥さまは「居心地が良すぎて休日も家から出たくないです」と笑い、「歳月とともに木の風合いが変わり、味わいを増していくのが楽しみです」と未来の光景にも心を寄せます。元気いっぱいのお子さんたちと一緒に時を刻んで行く木の家です。

写真ギャラリー

いくつもの楽しみとつながりを生む 包容力豊かな木の家と暮らし

9寸勾配の大屋根・大空間を実現した「プレウォール工法」
木の家ならではの可能性と魅力を存分に発揮し、家族の夢を咲かせた傑作

株式会社 木の家 GreenHouse 代表取締役 座間味修さん

 施主のMさまとの出会いは、弊社の構造見学会でした。以来、打ち合わせにはいつもファミリーで来られ、お子さん達とふざけ合ったり遊んだりと、心を開いて触れ合うことで、ご夫婦が望む「子どもが主役の家」とはどういうものか、イメージによりリアリティーを持つことができたのは造り手にとっても幸せなことでした。

 弊社のプランづくりは、施主さまの要望やまだ言葉化できない潜在的な理想像を掘り起こす「暮らしインタビュー」から始まります。その中で奥さまから「外観は、ジブリアニメの“魔女の宅急便”のキキの家が理想」というユニークなキーワードが飛び出し、参考となる映画を観て納得。これを実現するには、9寸勾配という大屋根とそれを支える構造強度が不可欠であり、弊社が得意とする「プレウォール工法」だからこそ実現できた記念すべき一邸となりました。
 使用したうろこ瓦は1枚1枚に微妙なグラーデーションが掛かっており、外装美の向上にも貢献。木造と非常に相性の良い切妻屋根の新たな魅力を開いた思いです。

 内邸においては、テラスを挟んだコの字で展開し、リビングとダイニングキッチンの採光を高めるとともに、住まい全体に自然光が広がるようプランしました。また、Mさんご夫婦はキッチンが住まいの中心となる間取りを望まれ、さらに、そこに居ながらにして家族の様子や気配が分かるよう、階段の設置場所や視線の抜けにも配慮しています。

 お子さん達が駆け回れる空間づくりのポイントとしては、テラスの間口を2カ所に設けたこと、玄関から水回りとリビングの両方にアクセスできること、そしてアイランドキッチン特有の回遊性、3つの“ぐるぐる回れる”動線の組み合わせで、継ぎ目なく動ける快適性をかなえています。また、これにより、家事動線の効率化と帰宅後すぐに洗面室に直行できる衛生性も実現。お子さん達にとってストレスレスな空間づくりは、日常生活を送る上でもメリットが得られるという好例となりました。

 2階は、「家の中に遊び場を作りたい」というご夫婦の夢に添い、仕切りのない約20帖の大空間を確保。同時に、将来的な子ども部屋の創出に備えて、きょうだい男女で使い分ける2つのクローゼットを先行設置しています。ちなみに、うんていは大工職人の手作りで無垢材を使用しています。
 今回の空間づくりにおいては、心身に優しい木の家だからこそ、家の中でこれほど活発に遊べるということを広くお伝えできる、またとない機会をいただきました。

設計・施工会社

宜野湾市真志喜598-3 1F

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