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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

琉球の家と武家屋敷が美しく融合 重厚感のある三門がシンボルの「木造二世帯住宅」

琉球の家と武家屋敷が美しく融合 重厚感のある三門がシンボルの「木造二世帯住宅」

DATA
設  計: 株式会社安永建築
     (担当/新里、神谷、稲福)
敷地面積: 447.79㎡(135.45坪)
建築面積: 126.08㎡(38.13坪)
延床面積: 202.05㎡(61.59坪)
用途地域: 市街化調整区域
構  造: 木造軸組工法
完成時期: 2020年4月
施  工: 株式会社安永建築
電  気: エース電気工事社
水  道: 有限会社石原設備
キッチン: タカラスタンダード

中城村の国道329号沿いでひときわ目立つ武家屋敷のような風格のある三門。
国産ヒノキの無垢材をふんだんに使った木造二世帯住宅は、1階の親世帯と2階の子世帯で全く異なる趣に仕上げられています。

週刊かふう2023年2月17日号に掲載された内容です。

琉球の家と武家屋敷が美しく融合 重厚感のある三門がシンボルの「木造二世帯住宅」

二世帯を緩やかにつなぐ国産無垢ヒノキの家

 木の心地よさに惹かれ、沖縄でも木造の家造りを考える人が増えているといいます。
 Mさんの住宅もそんな木造二世帯住宅。親世帯となるMさんと奥さまの住まいが1階で、2階が子世帯の息子さん家族の住まいです。玄関や二間続きの大きな和室、寝室はもちろん、2階の子世帯まで、家の隅々に国産の無垢ヒノキを使っており、足を踏み入れた瞬間、清々しいヒノキの香りに包まれます。

 以前の住宅は老朽化が進み、コンクリートの爆裂や外壁の剥離が起こっていたそう。リフォームも考えましたが、費用が想像以上にかかることから、「それなら思い切って、アパート暮らしをしていた長男家族との二世帯住宅にしようという話になりました」とMさん。この土地は元々Mさんが父親から譲り受けたもので、以前住んでいた住宅もすぐ裏手にあります。当初は親世帯と子世帯で玄関を別々にしてもいいと思っていましたが、市街化調整区域にあることから、外階段や個別に玄関を持つアパートなどの集合住宅は申請が難しくなるため、玄関はひとつにまとめて内階段にしました。
「孫たちが学校から帰って来たらすぐわかるし、“おかえり、おやつ食べるね~?”って声もかけやすいんですよ」とほほ笑む奥さま。お互いの気配が伝わるちょうどいい距離感が日々の安心につながっています。

琉球の家と武家屋敷が美しく融合 重厚感のある三門がシンボルの「木造二世帯住宅」

三門や瓦塀、太鼓梁など熟練大工の技が光る数々のしつらえ

 木造建築を選んだのは、木造建築を主力商品としている建築会社が数年前からMさんの所有する倉庫を借りているご縁があったことも関係しています。木造建築の大工である社長や左官である専務とも懇意にしており、Mさんは展示場に幾度となく足を運んで木造の良さを実感していました。また、Mさんは無類の歴史ファン。「全国を旅する中で山口県萩市の武家屋敷にほれ込み、いつか自分でも日本家屋の住宅を建ててみたいと思っていたんです」と瞳を輝かせて話します。建築会社の社長が元々山口県で大工をしていたことも幸運な巡り合わせでした。

 Mさんがほれ込んだ風格のある三門も総ヒノキ仕上げ。釘を使用せず、木と木をかみ合わせた仕上がりに熟練の技が光ります。強度を高めるために頂上に石州瓦を配し、下部には銅板瓦葺きを採用。美しさだけでなく、耐震性も高めているのだそう。住宅の周囲をぐるりと囲む瓦塀も石州瓦で、内部に雨が入り込まない葺き方を施されています。
 こうした日本伝統の優れた技術や美意識は、木造建築を知り尽くした匠集団の建築会社ならではのもの。「門構えも瓦塀も立派で家全体に重厚感がある。建築技術も左官の技も素晴らしいですね」とほほ笑むMさん。室内の和室の欄間や玄関の引き戸、床の間を挟んで左右に配置した仏壇もすべて、この家に合わせて大工によって造作されたもので、その仕上げの美しさが目を引きます。「先祖の仏壇だけでなく、門中用の仏壇も住宅内に設置したいと依頼しましたが、専用の玄関も付けてくれたので本当に便利になりました」。

琉球の家と武家屋敷が美しく融合 重厚感のある三門がシンボルの「木造二世帯住宅」

子世帯は好みに合わせて一変。家事動線を考慮したモダンな間取り

 2階の子世帯は1階の親世帯とは趣をがらりと変えて、フローリングのリビングや洋室が広がるモダンな間取り。家族の趣味スペースであるロフトや味のある太鼓梁、ペンダントライトを配した梁など、個性的な造りが住まいのアクセントになっています。

 お嫁さんのお気に入りはキッチンに備えた対面式のカウンターで、「朝は家族の出ていく時間がみんな違うのでちょっとした食事に便利だし、娘の宿題も家事をしながら見てやれます」という言葉に、お子さんたちもうなずきます。衣類乾燥機や食洗機も完備し、忙しい在宅ワークも快適にこなせているそう。「今の住まいは120点ですね」とにっこり。

 親世帯子世帯共に、夏は涼しく冬は暖かで抜群の調湿作用を誇る木造建築の快適性に満足している様子です。快適な居住性を備えた国産総ヒノキの木造二世帯住宅には、家族みんなの程よい距離感と安心感、そして笑顔があふれていました。

写真ギャラリー

琉球の家と武家屋敷が美しく融合 重厚感のある三門がシンボルの「木造二世帯住宅」

ご先祖さまを大切にする施主さまの想いを尊重し
日本建築と琉球建築の間取りを融合しました

営業部:稲福雄太さん

 私ども安永建築では、国産の無垢ヒノキ材を標準仕様とした木造住宅を提供しています。ヒノキの清々しい香りに包まれる当社の木の家では、どっしりとした太鼓梁をはじめ、柱や梁などを隠さずにあえて見せる小屋組が特徴のひとつで、やすらぎや温もりに満ちた木の魅力をたっぷり感じられます。また、意匠的(見せる)な構造材に使用する木材は機械で強制的に乾燥した木材ではなく、自然乾燥した無垢材のみを使用していますので、半永久的に調湿効果が期待でき、湿気の多い沖縄では特に快適な居住性を実現できます。

 当社はもともと山口県で大工をしていた社長の安永尚利が、沖縄で数々の木造工事に携わったのをきっかけに、沖縄での木造大工の後継者育成と沖縄の気候風土に合った木造工法の確立を行うために設立された会社です。経験豊富な熟練大工を自社内に数多く抱えている技術者集団でもあり、木造住宅の高い建築技術には定評をいただいています。

 今回のMさまの住宅は、息子さま家族との木造二世帯住宅ということで、家族が自然に顔を合わせる程よい距離感を意識して玄関を共通としました。
 また、それぞれの好みやライフスタイルに合わせて雰囲気を変えています。1階の親世帯では一番座や二番座など昔ながらの琉球建築の間取りを一部採用し、二間続きの広い和室には先祖の仏壇を、隣の洋室には琉球王の流れをくむ家系というMさんのご要望で門中用の仏壇と専用の玄関を設置。ご先祖様を敬う心を最大限に尊重しています。
 また、歴史好きで「武家屋敷のような家にしたい」という要望に応え、住宅の周囲を瓦塀で囲み、入り口には寺院などに用いる風格ある三門を設けました。安永建築では記念すべき初の三門付きの木造住宅になり、熟練の大工や左官の技術の粋を集めました。

 車の往来が多い幹線道路に面していますが、気密性の高い窓を採用したことにより、騒音は全く感じられません。さらに壁や天井には断熱セラミック塗料の「ガイナ」を用いていますので、夏は涼しく冬は暖か、快適な「木の家」が実現しました。

設計・施工会社

中城村南上原1051-2

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