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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

庭と暮らしが響き合う 健やかな時が流れる木の平屋

庭と暮らしが響き合う 健やかな時が流れる木の平屋

DATA
設  計: 株式会社 琉球住樂
     一級建築士事務所
     (担当/伊良皆盛栄)
敷地面積: 439.93㎡(約133.08坪)
建築面積: 119.24㎡(約36.07坪)
延床面積: 108.27㎡(約32.75坪)
用途地域: 指定なし
構  造: 木造軸組工法
完成時期: 2023年6月
建  築: 株式会社 琉球住樂
造作家具: 株式会社 琉球住樂
   (担当/伊良皆沙彩・伊良皆杏奈)
電  気: 有限会社 山城商工
     (担当/照屋盛文・名城武則)
水  道: 有限会社 海西工業
内部建具: 有限会社 照屋木工所
外部建具: 株式会社 エクセルシャノン
外  構: 金勢造園
屋  根: スカイルーフ 株式会社
左  官: 有限会社 仲松左官工業
内部大工: 真内装(棟梁/伊佐真司)
外部大工: 金城工業(棟梁/金城清正)

週刊かふう2025年9月19日号に掲載された内容です。

庭と暮らしが響き合う 健やかな時が流れる木の平屋

夏や梅雨時こそ室内の快適さを実感

 子育てはぜひ木造で。木の質感やぬくもりを感じながら、健やかな家族の時間を育みたい。
 3年前、実家近くの土地で家づくりを始めたOさんは、沖縄型の長寿命木造住宅を手がける建築会社のサポートを得て、植栽豊かな庭を抱いた床面積約33坪の平屋を新築しました。

「家の中央に立つ大黒柱も、リビングの頭上に架かる太鼓梁も存在感があって、見飽きることがありません。無垢材のフローリングは足触りが良く、いつでもサラッとしていて気持ちいいですね」とご夫妻。家の中には切妻屋根の勾配を生かした吹き抜けが広がり、どこに目を向けても木の素肌を間近に感じられます。また木本来の調湿性に加え、室内外の熱の出入りを抑えた断熱性の高さも住み心地に貢献しており、「空気が軽やかで健康的。夏や梅雨時こそ快適さを実感します」と口をそろえます。

 一体感のあるLDKをはじめ、居室間の緩やかなつながりが保たれたレイアウトは、家族の距離を自然と近づけてくれます。例えば子ども室はダイニングに隣接しているため、「部屋で勉強や読書をしていても気配が伝わるので安心」感があります。家事効率を考えて採用したキッチン・水回り間の回遊動線は、「子どもたちにとっては絶好の遊びの場。元気にぐるぐる走り回っています」と多目的に役立っています。

庭と暮らしが響き合う 健やかな時が流れる木の平屋

庭とのつながりを感じさせる開口計画

 Oさん宅は庭も特徴の一つです。チャーギ、クロキ、マツ、クロトン。奥さまの父親が用意してくれた木々がバランスよく配置され、焼杉板と赤瓦の外観を引き立てています。
 室内からの見え方も計算されています。キッチンに立つと、リビングの大開口からデッキを介して敷地南側の庭まで、視線が真っすぐ抜けていきます。同じように庭に面した主寝室には、仕事用のカウンターデスクの上に大きな窓を配置。使用頻度の多いご主人は「明るくオープンな気分で仕事に取り組めるし、景色を見ているだけで気晴らしにもなる。予想以上にはかどりますね」。

 内部空間にもOさんらしさを表現すべく、収納家具や建具を木の造作でそろえるなど、小さなこだわりを詰め込んでいます。キッチン背面のカップボードは、食器や電化製品の数・サイズ・設置場所などを細かく検討し、担当者と一緒につくり上げたオリジナル仕様です。リビングのテレビボードは、扉を閉めてもリモコン操作ができるように、電波の”穴”を自らおしゃれにデザインしました。実際に住み始めてからはマイペースでインテリアを楽しみ、頭上の梁を飾りスペースとして活用し、お気に入りの小物を置いたり、グリーンをあしらったり。当初考えていた「カフェのような雰囲気」も漂い始め、暮らすほどに心身が整っていきます。

写真ギャラリー

庭と暮らしが響き合う 健やかな時が流れる木の平屋

「屋内」と「屋外」を上手に使い分ける

一級建築士:伊良皆盛栄さん

 計画当初から庭木をふんだんに取り入れたいとの要望があったため、外構デザインを含めた木造平屋のプランを考えました。屋根はシンプルな切妻にして、Oさんからリクエストのあった赤瓦を葺き、庭側に庇を深く延ばして”雨端”となるデッキスペースを設けました。

 国の施策によって住宅の高断熱化・省エネ化が進む昨今、湿度が高い時期は“窓を開けないほうが快適”という認識が浸透すれば、これからは屋内と屋外の使い分けが大きなポイントになると予想されます。その点、沖縄古民家で見られるような雨端空間は、屋外の空気を楽しむ専用スペースとして最適であり、今回のOさん宅のように最低6帖程度の広さが必要ではないかと考えています。

 平面プランは伝統的な風水思想に倣い、南側の庭に面した”表座”の位置に床の間のある和室、ダイニング、リビングを並べ、和室北側の”裏座”に子ども室を置き、水回りは北西に集約。その上で現代のライフスタイルに合うように、各居室のつながりやサイズを微調整しました。

 空間は縦方向にも活用し、子ども室上部にロフトを置き、キッチン上部は天井裏収納にしました。どんな住宅であれ収納場所の確保は頭を悩ませる種ですが、「十分な余裕があるけど出し入れが面倒」な天井裏収納は、効率的に整理整頓を進める上で使い勝手が良いと感じています。

設計・施工会社

南城市玉城字愛地697-1

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