回遊型の機能的な動線とともに、 素敵なアイデアが隅々に輝く家
- DATA
- 家族構成:夫婦、子ども1人
- 所在地:沖縄市
- 設計・建築:株式会社西建設
- 敷地面積:247.9㎡(約74.98坪)
- 建築面積:123.88㎡(約37.47坪)
- 延床面積:120.55㎡(約36.46坪)
- 用途地域:第一種低層住居専用地域
- 構造:木造
- 完成時期:2019年9月
- 電気:株式会社大名電設
- 水道:有限会社サンユウ設備
- キッチン:タカラスタンダード株式会社
北欧スタイルを中心に幅広く情報収集を重ねて、
あらゆる箇所に趣向を凝らしたマイホームを創造。
緻密な計画が織り成す“わが家の作り方”。
※週刊かふう2020年7月17日号に掲載された内容です。
住まいの情報収集の結果、回遊型レイアウトに
大胆なモノトーンの外観が、意匠へのこだわりをひと目で伝える木造住宅。玄関ドアを開けると、その広さと白でまとめられたスタイリッシュな空間に驚きます。
「家を建てるにあたり、インターネットでたくさんの事例を見て情報収集しました」
と語るNさんの奥さま。その結果、主な部屋をぐるりと行き来できる動線を有した回遊型の家にしようと決めたそうです。玄関ホールの左手は低い位置に設えた明かり取りの窓から外光が差し込み、右手には自転車や道具などを保管するガレージ機能も備えたシューズクロークが続きます。帰宅したら玄関→シューズクローク→脱衣室→ユーティリティー→ウォークスルークローゼット→主寝室→ダイニングキッチンへと回遊でき、居室に入る前に汗や汚れをさっぱりと洗い流せる工夫が秀逸です。
ユーティリティーに設置した間仕切りを兼ねる棚は、奥さまが細かくサイズ計算して家具作家へ依頼したオリジナル作。脱いだ服を棚の片側からランドリーバスケットに入れ、反対側から取り出して洗濯機へ入れることができる両面使いのアイデアがお見事です。棚の上部には家族全員のタオルなどを収納しており、「使う場所に必要なものをしまう」を徹底した暮らしのノウハウが活きています。
「掃除をしやすいよう造作家具の下は数10センチ浮かせて、物を床に置かないことも守っています」
美しい住まい空間を創り、その美しさをキープするためのルールを厳守するNさんの姿勢に、多くの学びポイントを見つけました。
北欧デザインに魅せられて、お気に入りで彩るわが家
ホールドアを開くと、真っ白なアイランドキッチンが目に入ります。そして、緑の風景が眼下に広がるリビング、可動扉で仕切ることもできる子ども部屋、約4.6メートルの天井高を活かしたロフトのプレイルームなど、外国映画に出てくる住宅のように洗練された空間が、そこにあります。
建ぺい率を考慮して2階建ての予定でしたが、隣接する土地を買い増すことができました。インテリアデザインに深く興味を持つ奥さまが描いたアイデアスケッチは、平屋の方こそ実現しやすいと設計変更へ舵を切りました。
北欧スタイルのデザインに惹かれると話す奥さまは、家具や設備のほとんどをスウェーデンに本拠地を持つ世界最大の家具ブランドのもので取り揃えたそうです。家の完成前からコツコツと、時には素敵な住まいの写真を発信している海外インスタグラマーに問い合わせるなど、お気に入りの家具や設備部品などを選び抜き、倉庫に保管しておくほど熱心に集めたとのこと。
数10年後も見据えつつ、〝今〟を楽しむ暮らし方
「子どもが小さいうちは白い壁を汚しても想定内です。いずれにせよ将来的にはリフォームが必須ですから」
とおおらかに笑う奥さま。いずれ独立する子ども用の完全個室は設けず、また子どもが増えても対応でき、夫婦2人の生活となったら畳敷きもできるよう、可動扉で空間を仕切る設計を取り入れました。広いリビングを多目的にアレンジできる工夫に共感する読者が多いかもしれません。
今 を大切にしつつ、家族の変化に柔軟に寄り添える住まい。Nさん邸が素晴らしいお手本を見せてくれました。