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琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A

琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A

週刊かふう2020年7月17日号に掲載された内容です。

琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A

他の家の旧暦七夕の墓掃除をしてはいけない?

Q:母の家には後継ぎがいません。父の家の墓の左隣に母の家の墓を造っています。沖縄の風習のプロの方から「墓が近すぎるから、両方の家系が混ざり合っている」と注意されました。旧暦七夕の墓掃除をいつも同時にしているのが原因だとも言われました。建て替えなさいとのことですが、その必要が本当にあるのでしょうか?
(那覇市・Gさん・60代・男性)

A:Gさん家では、お母さん方のウヤファーフジが無縁仏にならないよう、いつまでも一緒に管理ができるよう、お父さん方の隣にお母さん方のお墓を造られたのでしょうね。これは、後継者不在に対するとても素晴らしい現代的なジンブンだと思います。
 一方、沖縄の風習のプロの方がおっしゃる「両方の家系が混ざり合っている」とは、沖縄の禁忌の一つ『タチーマジクイ(他系〈家〉混合)』のことをご指摘されているのだと思います。

《タチーマジクイとは》
 沖縄(特に沖縄本島および周辺離島)では、トートーメーやお墓に、お父さん方の家系(自系)以外の人(他の家系〈他系〉)を混ぜ込んでウンチケー(案内)してはいけないという、タチーマジクイ(他系〈家〉混合)の考え方があります。
 これは、家系だけではなく、名字が違っても問題となることがあります。実際に、このようなことはあり得ませんが、「名字の違う人を同じトートーメーにウンチケーすると、グソーで大ゲンカをする」というご意見も、ある意味、タチーマジクイを未然に防ぐアドバイスなのかもしれませんね。
 今回、Gさんからのご相談では、お墓の立地条件からして、お父さん方にお母さん方の家系が混ざり込んでいるというタチーマジクイには該当しづらいと考えられますのでご安心ください。

《アジクヮイバカ》
 その理由は、まず、「父の家の墓の左隣に母の家の墓がある」という点がポイントです。つまり、お父さん方とお母さん方が別々のお墓ということは、双方の家系同士が混ざり込んでいるとは考えませんので、タチーマジクイではないということになります。当時、タチーマジクイになることを懸念され、そうならないよう別々に造られたのではないかと推測できます。
 また、「左隣に母の家の墓」があるということは、「父の家の墓」をグソーヌヒジャイ(正面に向かって右側、ウヤファーフジからみて左側)という上座に造られ、「母の家の墓」をグソーヌニジディという下座に造られているということになります。
 これは、沖縄のしきたりの上級編の考え方で、お父さん方を上座に、お母さん方を下座にすることにより、お母さん方の次の後継者が現れるまでのアジクヮイバカ(預かり墓)として、お父さん方が一時的に預かっていることにするという素晴らしい是正方法です。アジクヮイバカは、たしかにタチー(他系)であり、名字も違いますが、姻族関係であることから、特例として、沖縄ではタチーマジクイとはいわない暗黙の了解があるといいます。
「両方の家系が混ざり合っている」とのタチーマジクイのご指摘には、「トゥジカタヌ(妻〈母〉方の)アジクヮイバカです」とお答えいただければ、先生もご理解くださるのではと思います。

《アジクヮイバカでの建て替えは必要なし》
 また、「旧暦七夕の墓掃除をいつも同時にしているのが原因」とのご指摘には、上座にあたるお父さん方のお墓から七夕の墓掃除を始め、続いてお母さん方の墓掃除に移るという順序を重んじていますので同時とはいえないでしょう。お父さん方をしっかり敬っていることにもなり、家系も混ざり込んでいないため、ことさら建て替える必要はないかと思います。
 沖縄では、このアジクヮイバカやアジクヮイグヮンス(預かり仏壇〈トートーメー〉)を預かることに期限がありませんので、お父さん方のご縁のある方々で無理をせず、できる範囲で、今後もお母さん方の旧暦七夕の墓掃除を継続していただければと思います。
 Gさん、沖縄の風習のプロの方には、タチーマジクイとアジクヮイバカを知る機会をいただいたことに感謝しつつ、お父さん方とお母さん方、ご両家のウヤファーフジ、双方が寂しい思いをすることのない、とても心温まるご供養ができていることに自信を持ってくださいね。

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