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新着 不動産相続Q&A File.3 「財産管理制度」の見直し

新着 不動産相続Q&A File.3 「財産管理制度」の見直し

週刊かふう2022年5月27日号に掲載された内容です。

「財産管理制度」の見直し

今回は、土地や建物などの「財産管理制度」の見直しについて、区長と青年会長のおしゃべりで解説します。

【青年会会長(以下、青年会)】 区長、公民館の向かいの土地だけど、昔から草が生い茂って管理されていませんよね。子どもの頃はハブに注意しながら遊んでいたけど、区長と相続の話をするようになってその土地のことが気になってきました。

【区長】 君も勘が鋭くなったね。土地の名義人は戦後すぐに南米へ移住して連絡が取れなくなっていると聞いているよ。20年前に公民館の駐車場にしたいとの提案があり名義人を捜したけど見つからないので諦めたそうだ。

【青年会】 身近に所有者不明な土地があることにびっくりです。住宅地にポツンと空き地がありますが、これも所有者の不明な土地かもしれませんね。今回の改正でこれらの土地の見直しもあったのですか?

【区長】 「財産管理制度」の改正だね。これまで土地の名義人を捜せない場合には家庭裁判所に「不在者財産管理人」選任の申し立てをする必要があったけど、「所有者不明土地管理人」を選任することができるようになったわけさ。

【青年会 】「不在者」とか「所有者不明」とか、どう違うの?

【区長 】「不在者財産管理人」は「人単位」での選任になるので、不在者の財産すべてを管理する必要があり、手続き費用も高く時間もかかるからハードルが高くなるよね。それに対し「所有者不明土地管理人」は特定の土地のみ管理する制度。個別の手続きなので費用も安く時間も短いわけ。建物のみに特化する「所有者不明建物管理人」や共有のケースでは、共有者が不明である場合にも利用できるよ。

【青年会】 所有者不明の空き地や空き家だけの管理人が選任されて手続きがスピーディに進んでいくのですね。

【区長】 申立権者である利害関係人が地方裁判所に管理人選任申し立てを行って手続きが進むことになるよ。利害関係人には空き地や空き家の隣接地所有者や共有地における不明共有者以外の共有者、または土地や建物を取得して適正に管理・利用を予定している公共事業の実施者等が考えられているようだ。管理人は土地や建物を管理していくことになるが、必要性があれば裁判所の許可を得て売却することもできるそうだ。

【青年会】 その他の改正情報はないのですか?

【区長】 所有者が判明している場合でも土地や建物が適切に管理されてなく、近隣に危険を生じさせて悪影響を与えているケースがあるよね。そのような場合には、管理不全土地・建物管理制度が利用できるようになった。例えば、土地に設置された擁壁にひび割れが生じて危険な状態であるが放置しているケースや、土地にゴミが不法投棄されているが所有者が放置して悪臭や害虫の発生により健康被害を生じているケース等に利用ができそうだ。詳しいことは専門家に相談することだな。

【青年会】 財産管理制度にメニューが増えたことで、これまで時間と費用(費用対効果)の面から諦めていたケースでも専門家に相談してみる価値はありそうですね。ところでこの法律はいつから適用されるのですか?

【区長】 来年4月1日から適用されるよ。早速、公民館の向かいの土地について区の役員会で協議し役所に相談してみようかな。

【青年会】 法律が変わると世の中が変わっていくイメージができました。空き地や空き家が活用され街づくりが進んでいく。ちむどんどんするさー。

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司法書士 喜屋武 力(きゃん つとむ)

平成7年度司法書士試験合格
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