新着 不動産相続Q&A File.14 住所変更等登記の申請の義務化
週刊かふう2023年4月28日号に掲載された内容です。
住所変更等登記の申請の義務化
令和3年4月に法改正等された所有者不明土地解消に向けた見直しの中で、不動産相続に関する身近な情報を中心に提供します。今回は「住所変更等登記の申請の義務化」について、区長と青年会会長のおしゃべりで解説します。
【青年会会長(以下、青年会)】最近、引越しをしたんですよ。
【区長】 春は引越しの多い季節だからね。君は荷物も多そうだから、大変だっただろう?
【青年会】 すぐ近くだったので、物理的な引っ越しはそんなに大変ではなかったんですけど……。
【区長】 (物理的?)では、精神的につらかったのかな?
【青年会】 いや~(苦笑)、住所変更等の手続きが大変でして。役所、電気・ガス・水道、銀行にクレジットカード、そしてスマホやいろいろなネットサービスとか……。
【区長】なるほどね。そういえば、君名義の不動産があっただろう? 法務局で不動産登記の住所を変更する手続きはしたのかね。
【青年会】 まだ、していないです。たしか、しなくても特に問題はなかったはずですが……。将来、売買するときや金融機関から融資を受けるときに併せて変更すればよいのかと思ってました。
【区長】 そうなんだが、実は住所や氏名変更の登記が義務化されることが決まっているんだ。
【青年会】 本当(マジ)ですか!
【区長】 令和8年4月までには施行されることになっている。具体的な施行日はこれから決まるんだよ。
【青年会】 なんか面倒です……。
【区長】 いやいや。いままで住所や氏名変更の登記は任意だったから、所有者不明土地の発生原因の一つになっていたんだ。施行後は、住所等の変更後2年以内に登記をする必要がある。施行日前に変更があった場合は、施行後2年以内に申請すればいい。
【青年会】 最近はネットで住所変更の手続きができることも増えてますけど、登記はどうなんですか?
【区長】 令和5年4月から、ブラウザー上で住所氏名変更の登記申請ができるようになったんだ。法務省によるホームページ『登記・供託オンライン申請システム』→『かんたん登記申請』だね。電子署名のためにマイナンバーカードなどが必要になる。これまでは専用の申請ソフトをインストールしなければいけなかったから、以前よりは「かんたん」になったと言えるね。事前準備も必要だから、ホームページの説明をよく読んでみるといいよ。
【青年会】 スタートしたばかりなんですね! 法務局で自動的に変更してもらえれば楽なんですけど……。
【区長】 本人からの事前の届け出や承諾によって、法務局が職権で登記をすることもできるようになる予定だよ。
【青年会】 勝手にはやってくれないんですね。
【区長】DV被害防止や個人情報保護の観点からだね。そして、同じく令和8年4月までに、所有している不動産の一覧表を取得できるようになることも予定されている(所有不動産記録証明制度)。
【青年会】それは便利そうですね!
【区長】被相続人(亡くなった人)の所有不動産一覧も、相続人から請求できるようになるとされているんだ。
【青年会】相続登記の漏れを防ぐためにもよさそうですね。
【区長】正確な一覧表を作成するためにも、住所や氏名の変更登記は重要ということだ。
【青年会】ところで……。
【区長】なんだね?
【青年会】引越し祝いは、もらえませんかね……。
【区長】それは義務ではない!
<法務省HP「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」より引用>
司法書士 幸良 和也(こうら かずや)
平成2年度司法書士試験合格
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