新着 不動産相続Q&A File.23 共有関係解消の促進
<法務省HP「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」から抜粋>
週刊かふう2024年1月26日号に掲載された内容です。
共有関係解消の促進
令和3年4月に法改正等された所有者不明土地解消に向けた見直しの中で、不動産相続に関する身近な情報を中心に提供します。今回は「共有関係解消の促進」について、区長と青年会会長のユンタクで解説します
【青年会会長(以下、青年会)】
年が明けて令和6年になりました。いよいよ4月から相続登記義務化が開始されますね。相続登記未了のご家族においては、法施行を契機に相続登記への関心を高めていただきたいと思います。
【区長】 本当にそうだね。これまで2年にわたり法改正情報をゆんたくしてきたが、もうすぐ相続登記義務化が始まるね。まだ相続登記義務化への関心が高くなっていないとの報告もあるが、所有者不明土地の解消・発生予防のためにも多くの皆さまに関心を持っていただきたいものだ。
【青年会】今回は共有の解消について教えていただけないでしょうか。正月に会った友人から共有の土地を処分したいが共有者の1人と連絡が取れずに処分ができない。どうすれば良いかとの相談を受けました。
【区長】 共有関係は管理方法や処分するケースにおいてトラブルが少なくないようだね。共有を解消するには売却して金銭を分配する、もしくは共有者の1人が他の共有者から持ち分を購入する方法がある。今回の改正で共有の解消のメニューが増えたようだ。
【青年会】友人のケースは土地がA・B・C 3名の共有で売却をしたいが、Bと連絡が取れないため売却を相談した不動産業者から専門家へ相談するよう言われたようです。
【区長】それは問題だね。協議が調わない共有関係の解消には、裁判による共有物分割と今回の改正で所在等不明共有者の不動産の持ち分の取得と持ち分の譲渡が新設された。これから一つずつ確認してみよう。
【青年会】 新設された改正法で友人のケースも恩恵を受けられそうでワクワクしています。早く教えてください。
【区長】まず、
①裁判による共有物分割において賠償分割できることが明文化された。従来は民法上、現物分割(土地を甲乙丙に分筆して甲土地をA、乙土地をB、丙土地をC)と競売分割(競売して金銭をA・B・Cへ分配)しか規定がなかった(判例上、賠償分割は許容されていたが、明文の規定がなかった)。
改正で現物分割と賠償分割は同列に扱われるようになった。
②共有者が不明の場合、裁判所の決定を得て所在等不明共有者の持ち分を取得することができるようになった。
③共有者が不明の場合、裁判所の決定を得て申し立てをした共有者に所在等不明共有者の持ち分を譲渡する権限を付与することができるようになった。
【青年会】友人のケースでは、新設された②③が利用できそうですね。これまで同様のケース(共有者の所在が不明)では共有物分割訴訟の提起や不在者財産管理人選任の上で合意による共有物分割協議または任意譲渡が必要でしたが軽減されそうですね。
【区長】友人に買い取りする経済力があれば持ち分の取得、経済力がなければ持ち分の譲渡を利用して土地を売却することができる。所有者不明土地解消にもつながる改正だ。なお、遺産共有のケースでは相続開始から10年を経過したときに限り、②③が利用できるそうだ。
司法書士 喜屋武 力(きゃん つとむ)
平成7年度司法書士試験合格
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