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新着 不動産相続Q&A File.26 「相続人が外国にいる場合の相続登記」について

新着 不動産相続Q&A File.26 「相続人が外国にいる場合の相続登記」について

週刊かふう2024年4月26日号に掲載された内容です。

 

 

「相続人が外国にいる場合の相続登記」について

今年(令和6年)4月1日からスタートした相続登記義務化の中で、不動産相続に関する身近な情報を中心に提供します。今回は「相続人が外国にいる場合の相続登記」について、区長と青年会会長のユンタクで解説します。

【区長】 4月下旬になるが、シーミーは終わったかね?

【青年会会長】(以下、青年会)先週終わりましたよ。今年はコロナが5類となって初めてのシーミーだったので参加者も多く賑やかでした。そこで今月開始した相続登記義務化が話題となり、40年以上前に亡くなった曾祖父(祖父母の父)名義の土地の件で真剣な話し合いがされました。

【区長】相続義務化は過去に開始した相続についても対象となり、3年以内(令和9年3月31日まで)に登記をする必要があるからね。

【青年会】 話を聞いていると相続人が30名を超えるようなんですよ。そのうち5名はハワイとアルゼンチンにいるそうなんです。ハワイの相続人1名は日本国籍ですが、アルゼンチンの相続人4名は日系3世で現地の国籍のようです。外国にいる相続人を除いて相続登記ができる方法ないのでしょうか。

【区長】青年会よ、厳しいようだが遺産分割協議は相続人全員の同意が必要だ。沖縄では相続人が外国にいるケースも多く、沖縄相続あるあるの一つだな。

【青年会】“あるある”なんですね。

【区長】今日はその手続きについてユンタクしてみよう。まずは外国のほとんどでは戸籍、住民登録、印鑑証明の制度がないことが問題だ。連絡方法も日本語ができない場合の対処法や時差の関係で電話のタイミングも重要になるぞ。

【青年会】今回は父が相続人の1人となります。ハワイの相続人は父の叔父でアルゼンチンは直接の相続人が亡くなっているので父の従妹の子となります(数次相続)。それぞれ電話やメール等で連絡が取れるので手続きを進められそうですが具体的にはどのような書類が必要となるのでしょうか。

【区長】まずはその人たちが相続人であることの証明が必要になってくるな。ハワイの相続人は戸籍で相続人であることを証明できるが、アルゼンチンの相続人は日本国籍がないので戸籍に記載がない。その場合はアルゼンチンの出生証明書や亡くなった親の婚姻証明書、死亡証明書を取得することになる。そして自主申告(宣誓供述書)により相続人が4人以外に存在しないと宣言することになる。

【青年会】印鑑証明書はどうなるのですか。

【区長】 日本国籍を有する相続人の場合は、日本領事館へ日本語の遺産分割協議書を持参して領事の面前で署名して署名証明書(またはサイン証明書ともいう)をもらう。一方、日本国籍のない相続人の場合は現地の公証人の署名証明書が必要になる。その場合は遺産分割協議書を宣誓供述書として現地の言語に翻訳したものを持参して証明してもらう。

【青年会】日本とはだいぶ違いますね。

【区長】サイン社会の外国では公証人が地域に多くいるので署名証明書の手続きには慣れているので問題ないだろう。それよりも外国は国土が広く住所から領事館が遠い場所(車で半日以上)にあることも珍しくないから、そこはたいへんかもしれない。日本国籍の相続人でも現地公証人で証明してもらう方法も認められている(現地言語に翻訳は必要)。それから“うちなーんちゅ大会”などで日本に里帰りしている場合は日本の公証人(国籍を問わない)で証明することもできる。

【青年会】遺産分割協議書の翻訳も大変そうですが。

【区長】最近はメールで書類を送付することができ、自動翻訳も進化しているから言語の問題も緩和され進めやすくなっているようじゃ。また、相続人と連絡が取れない場合は外務省の邦人援護課や現地の県人会等への問い合わせ、フェイスブック等SNSの活用で判明することもあるそうだ。なにはともあれ近くの司法書士事務所へ相談に行くことが一番であるぞ。まずは行動あるのみだ。

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司法書士 喜屋武 力(きゃん つとむ)

平成7年度 司法書士試験 合格

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