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基礎からわかる相続Q&A SEASON3 File6 賃貸中の土地の賃料および土地賃貸借の扱いについて

基礎からわかる相続Q&A SEASON3 File6 賃貸中の土地の賃料および土地賃貸借の扱いについて

週刊かふう2024年6月21日号に掲載された内容です。

 

Q.2年前に父が亡くなりました。私たちは3人兄弟で、実家を兄が相続することになりましたが、そのほかにも、スーパーマーケットに貸している土地があります。土地の地代は年に一回、銀行口座での振り込みで払われていたのですが、今年は振り込みができなかったとのことで私に連絡がありました。貸している土地を誰が取得するか、意見が合わず、まだ決まっていませんが、この状況で私が地代を受け取ってもよいものでしょうか?

また地代は昔から変わらない金額なのですが、賃貸相場も上がってきているようなので地代の変更や賃貸契約を終了することは可能でしょうか?


  私の父は、2年前に亡くなりました。母は既に亡くなっており、兄と私、妹の3人兄妹です。父は自宅の他に土地を所有しており、その土地をスーパーマーケットに貸していました。
 土地の地代は年に1回、父の口座に振り込まれていたのですが、今年は口座への振り込みができなかったということで、私のところに借り主の方から連絡がありました。
 私たち3人は、実家を兄が相続することでなんとなく了解しているのですが、貸している土地を誰が取得するかについては意見が合わず、まだ決まっていません。
 この状況で、私が地代を受け取って良いものでしょうか。どのように地代を扱えばいいでしょうか。また、地代は父と長い付き合い?こともあって、昔から変わらない金額で来ています。賃貸相場も上がってきているようなので、父が亡くなったことで賃貸契約を終了することや地代を変更することは可能でしょうか。

基礎からわかる相続Q&A SEASON3 File6 賃貸中の土地の賃料および土地賃貸借の扱いについて

A.相続人で意見が違う場合には、亡くなった後に発生した賃料の取り扱いについても注意が必要となります。賃貸借契約上の地位は相続することになりますが、賃貸借契約を解除できるかについては建物所有を目的としているかどうかで結論が大きく異なります。事例に沿って見ていきましょう。


 相談者のお父さんがスーパーマーケットと土地の賃貸契約を締結していたところ、賃貸人であるお父さんが亡くなったということですが、それで賃貸借契約が終了するわけではありません。亡くなった方(被相続人)の賃貸人としての地位は、土地を相続する相続人に当然に承継されます。そのため賃借人が亡くなった後も土地の賃料は発生し続けます。

 ただし被相続人の死亡から遺産分割が成立するまでの賃料については、遺産には含まれず共同相続人がその相続分に応じて取得することとされています。これは、遺産分割で土地を相続する人が決まっても、この間の賃料は土地を相続する人ではなく各相続人が法定相続分に応じて取得するということです。そのため相談者さまが賃料を受け取った場合、他の相続人から応分の賃料の支払いを求められることになります。

 以前は地代がお父さんの銀行口座に振り込まれていたとのことですが、金融機関において口座名義人が亡くなったことが判明した段階で口座が凍結されることがあります。そうすると、相続人の誰かの口座に振り込みしてもらうことも考えられますが、前述の通り各相続人に相続分に応じて分配する必要がありますので、注意して管理することが必要となります。

 また土地の賃貸借契約を解除できるかどうかは、建物所有のための土地の賃貸借か、駐車場等のための建物所有を目的としない賃貸借かで大きく異なります。建物所有のための賃貸借契約である場合、借地借家法という法律が適用され、適切なタイミングで終了通知を出した上で、正当事由が備わっていなければ解除ができません。

契約書が無条件で解除ができるように読めたとしても、借地借家法が優先しますので正当事由が必要となります。これに対し、駐車場等のための建物所有を目的としない賃貸借である場合、原則として契約書に従って解除することができます。

 賃料の変更についても、一方的に賃料を変更することはできませんが、建物所有のための賃貸借契約である場合、税金の増加や土地の価格の上昇等により賃料が不相当になった場合には、賃料増額請求が可能です。

基礎からわかる相続Q&A SEASON3 File6 賃貸中の土地の賃料および土地賃貸借の扱いについて

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