あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

ウェブマガジン

新着 不動産相続Q&A File.30 元気なうちの「相続対策」について

新着 不動産相続Q&A File.30 元気なうちの「相続対策」について

週刊かふう2024年8月23日号に掲載された内容です。

 

 

 

元気なうちの「相続対策」について

不動産相続について司法書士の経験と目線から実践的なアドバイスや解決策を提供します。今回は、争族にならないための「相続対策」について、区長と青年会会長のユンタクで解説します。

【区長】今年の旧盆も親戚一同で泡盛を飲みすぎたな~。ところで青年会よ、今年のお盆はどうだった?

【青年会会長】(以下、青年会)区長とのユンタクコラムを読んでいる親戚から相続の質問攻めにあいましたよ(苦笑)。相続開始後の話もありましたが、思いのほか生前にできる対策の質問が多かったですね。

【区長】なるほど、相続登記義務化が始まって事前対策に関心が高まってきたようだな。とても良い傾向じゃ。

【青年会】健康の対策でいうと、①に睡眠、②に食事、③が運動とすぐに出てきますが、相続対策はよく説明ができませんでした。どういったものがありますかね。

【区長】相続対策はズバリ①に争族対策(争いごとにならない遺産分割)、②に相続税対策、③が納税資金対策だな。②③は相続税がかかる人の話だ。相続税には相続税がかからない基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)というものがあり、相続財産が基礎控除以内だと相続税がかからないのだ。亡くなった人が100人いたら90人は相続税がかからないようだ。90%の相続は②③の対策が不要となるので、今回は①に絞ってユンタクしよう。

【青年会】相続すると税金が大変だと聞きますが、相続税がかかるのは亡くなった人の10%とは意外ですね。それなら、早く争族対策を教えてください。

【区長】最初に争族対策が必要な理由を考えてみよう。法律では人が亡くなるとその人の財産は相続人が継ぐことになり、相続人が数人あるときは共有になることが定められている。共有になると財産を分けるために遺産分割協議が必要となり、これを成立させるには相続人全員の合意が必須となる。

【青年会】 難しそうですね。

【区長】 一人でも反対する人や認知機能が低い人や連絡の取れない人がいると成立しないから、相続登記手続きや預貯金の解約手続きもできない。残った家族(相続人)は生活費の出金ができない状態が続くことにもなる。

【青年会】預貯金の払い戻しもできないとなると死活問題ですね。

【区長】 だからこそ争族対策は大事なんだ。そこで自分の財産を把握することから始めよう。自分の財産がわからなければ対策の打ちようもない。亡くなった後だと大変だが、あらかじめ自分の財産の棚卸しとしてエンディングノートや事前指示書・覚書等に簡単な財産目録を作っておくと相続後の手続きがかなりスムーズにいく。

【青年会】 自分は財布をどこにおいたかも忘れることがあるので、財産目録があると助かります。

【区長】 前置きはそのくらいにして、本テーマの争族対策に入ろう。代表的なものとしてⅰ遺言、ⅱ生前贈与、ⅲ家族信託の3つがある。

【青年会】 3つとも聞いたことはありますが、説明をしてくれませんか。

【区長】 遺言は事前対策の王道だ。遺言書で誰にどの財産を与えるかを決めていると遺産分割協議が不要となる。遺言書というように書面にする必要があり、口頭での遺言は認められていない。遺産分割協議が不要なので、相続人が外国にいるケースや連絡の取れない場合にもスムーズに手続きができる。生前贈与は、贈与した時点で所有権が移転するので相続の時にもめることはない(遺言は亡くなった時に所有権が移転)。贈与税という税金がかかるが、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する場合には相続時精算課税制度が利用できる。

【青年会】最後にカゾクシンタクを教えてください。

【区長】 家族信託とは自分の財産を信頼できる家族に託して管理処分を任せること。信託した財産は託された家族が管理しているので本人が認知症になっても財産管理に支障はなく、信託契約で帰属者を指定すれば遺言と同様に財産の承継を実現できる(認知症対策と争族対策が同時にできる)。少し複雑な契約になるので検討の際は専門家に相談してみることだね。

新着 不動産相続Q&A File.30 元気なうちの「相続対策」について

司法書士 喜屋武 力(きゃん つとむ)

令和7年度 司法書士試験 合格

司法書士法人きゃん事務所
〒901-1304 与那原町字東浜23番地2
Tel:098-882-8177 Fax:098-882-8178

このカテゴリの記事