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基礎からわかる相続Q&A SEASON4 File.11 いわゆる負動産と相続土地国庫帰属制度について

基礎からわかる相続Q&A SEASON4 File.11 いわゆる負動産と相続土地国庫帰属制度について

週刊かふう2025年12月19日号に掲載された内容です。

 

Q.
夫名義の自宅に住み続けたい私と、売却を求める前妻の子との間で相続問題が生じています。自宅以外の遺産が少なく、代償金の支払いも難しいため、売却せずに居住を続ける方法を模索しています。また、もし家に住み続けることができる場合、気をつけることはあるでしょうか。

 私たち夫婦は長年、夫名義の家で暮らしてきましたが、今年、その夫が亡くなってしましました。家は市内中心部にあり、私が通院している病院にも近いため、私は引き続きこの家で生活したいと考えています。しかし、その分土地を含めた評価額はかなり高く、夫のその他の財産はわずかな現金と預金しかありません。

 私たちの間に子どもはいませんが、夫には前妻との間に一人息子がおり、先日その息子から「家を売却し、売却代金を分けたい」と求められました。私には自宅価格の半分の金銭を支払うことは難しい状況で、このまま息子の言うとおり、家を売却するしかないのでしょうか。なんとか私が家に住み続けることはできないでしょうか。また、もし家に住み続けることができる場合、気をつけることはあるでしょうか。

A.
夫婦の一方が亡くなった後、住み慣れた家に住み続けたい相続人と、売却して金銭で分割したい相続人の意見が対立し、調整が難航することがあります。本来は不動産取得者が代償金を支払うことで解決できますが、うまくまとまらない場合もあります。こうした場面では、配偶者居住権の活用が有効な選択肢となります。あわせて、設定時の登記の効力についても確認していきましょう。

 今回の相続人は、相談者の方と亡くなられた夫の息子さんの二人で、遺言書がない場合は遺産をそれぞれ2分の1ずつ相続することになります。そのため、法定相続分に沿って遺産分割を前提とすると、相談者の方が自宅の土地・建物を取得するには、評価額が高い本件では夫の息子さんに対して相応の代償金を支払う必要が生じると考えられます。
 
 しかし、夫が亡くなった時点で相談者の方が自宅に居住していたことから、相談者が「配偶者居住権」を取得し、夫の息子さんが「配偶者居住権付き所有権」を取得する形で調整を図る方法が検討できます。

「配偶者居住権」とは、一定の要件を満たす場合に、配偶者が家賃を支払うことなくその家に住み続けられる権利です。あくまでも配偶者が住み続ける権利なので、売却したり所有者に無断で賃貸したりすることはできません。完全な所有権を、「配偶者居住権」と「配偶者居住権の負担付の所有権」の2つに分割するというイメージです。配偶者居住権は完全な所有権より評価額が低くなるため、相談者が取得する財産の価値が法定相続分を超える幅が小さくなるメリットがあります。

 配偶者居住権が認められるのは、遺産分割協議でそのように合意した場合、または裁判所の審判で配偶者居住権を取得させる決定がされた場合です。仮に息子さんが反対された場合でも、息子さんの不利益よりも相談者の生活維持の必要性が大きいと裁判所が判断すれば、配偶者居住権が認められる可能性があります。

 相談者が「配偶者居住権」を取得するに際して気をつけることとしては、まず、配偶者居住権を取得した場合の「費用すべき負担」があります。配偶者居住権者は固定資産税など通常の必要費を負担する義務があり、建物分の固定資産税を支払っていく必要があります。

 また、配偶者居住権も登記をすることが可能で、できるだけ速やかに登記を行うことが大切です。配偶者居住権を登記しておかないと、家を相続した人が家を売却してしまった場合に、家の買い主に対して配偶者居住権で対抗できない(第三者に対して権利を主張し存在を認めさせることができないことを指します)ことになってしまう恐れがあるためです。

 本年も「基礎からわかる相続Q&A」にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。どうぞ皆さま、良いお年をお迎えください。

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