基礎からわかる相続Q&A SEASON5 File.2 遺産分割調停の管轄と遠方からの参加方法について

週刊かふう2026年2月20日号に掲載された内容です。

Q.
父が遺言を残さず亡くなり、相続人は私と兄・姉の3人です。沖縄の自宅に加え県外の不動産もありますが、兄姉がその扱いで対立し遺産分割協議がまとまりません。相続登記の義務化もあり手続きを進めたいですが、家庭裁判所での調停が必要になりそうで、子育て中のため県外の裁判所へ行くことが難しいので、手続きを進めていけるのか不安です。
昨年、父親が亡くなってしまいました。母は既に亡くなっており、父の子ども(相続人)は、私と兄と姉の3人です。父は沖縄の住宅の他に、県外にも土地建物も持っていましたが遺言書は残されていません。
父は沖縄で亡くなったのですが、兄と姉は東京に住んでいます。父の法要のために兄と姉が沖縄に帰省し、その際に遺産分割の話をしたのですが、特に内地の土地建物について、兄と姉で意見が対立してしまい、話は全くまとまりませんでした。
私としては、相続登記が義務になったと聞いていますし、なんとか相続をまとめたいと考えています。協議がまとまらないので、家庭裁判所に行くことになるかと思っているのですが、どのような手続きになるでしょうか。また、私の子どもがまだ小さく、内地の家庭裁判所に行くことが難しいので、手続きを進めていけるのか気がかりです。
A.
遺産分割協議が当事者間でまとまらない場合、家庭裁判所での遺産分割調停が選択肢となります。調停委員が中立の立場で間に入り、合意形成を後押しします。今回は遠隔地にいる場合の進め方を解説します。
相談者のご家族のように、話し合い(協議)によって分割方法が決まらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることが考えられます。
遺産分割調停では、2名の調停委員が中立の立場で間に入り、話し合いを進めていきます。もっとも、相続人全員が同じテーブルを囲んで直接意見をぶつけ合う形式ではありません。
各当事者が順番に調停委員と面談し、自分の考えを伝える形で進行します。同じ意見の相続人がいれば一緒に話をすることもありますが、考えが違う相続人が同じ部屋で話をすることはありません。調停委員は双方の意見を丁寧に聞き取りながら、必要に応じて資料の提出を求めたり、解決案を提案したりします。調停の期日は、第1回目から、およそ月1回程度のペースで設定されます。
調停は原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。本件では、東京に住むお兄さんまたはお姉さんの住所を管轄する家庭裁判所に申し立てることになり、相談者が自分の住む沖縄県の家庭裁判所へ申し立てることは、原則としてできません。例外として、相続人全員が合意すれば、別の裁判所で調停を行うことも可能です。また、家庭裁判所が事件初処理するために特に必要があると認めるときは、管轄権がない裁判所で処理することができるとされています。もっとも、これらについて条件を満たすのはかなり難しいでしょう。
相談者のケースでは、東京の家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て上で、相談者はウェブ会議で参加することが考えられます。2024年からすべての家庭裁判所がウェブ会議に対応しており、遺産分割調停においては相当と認められる場合はウェブ会議による参加が可能となっています。遠方に居住しているという事情は、ウェブ参加を認める理由として十分考慮されると考えられます。そのため、ウェブ会議システムを活用することで、調停期日のたびに遠方の家庭裁判所まで行かずとも、手続きを進行させることができるでしょう。


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