基礎からわかる相続Q&A SEASON5 File5.特別縁故者について

週刊かふう2026年5月15日号に掲載された内容です。
Q.私には闘病しながら生活していた従弟がおり、親しくしていました。従弟は一人っ子で結婚しておらず、両親も亡くなっています。従弟の身の回り世話やサポートは私がしていました。従弟が亡くなり、従弟が生前言っていたとおり、預金を相続したいのですが、遺言書はありません。どうしたらよいでしょうか。
私は、定年退職するまで看護師として働いてきました。ところで、私には長らく闘病しながら生活してきた従弟がおり、私と従弟は小さい頃から、姉弟のように親しく付き合っていました。従弟は一人っ子で、結婚しておらず、両親も亡くなっていますので、病院への付き添いや大きな買い物などは私が車を出して送迎し、病院のキーパーソンにも私がなっていました。
特に私が定年退職してからは、毎日のように従弟のサポートをしていましたが、先日、従弟の容態が急に悪くなり、亡くなってしまいました。従弟は、自宅とそれなりの金額の預金を持っていますが、生前は、自分が亡くなったら私にもらってほしいと言っていました。ですが、従弟は遺言書の作成はしていなかったようです。私は従弟が言っていたのでそのとおりになると思っていたのですが、書類がないと意味がないと聞き、どうすればいいかわかりません。私は従弟の相続人になれないのでしょうか。何か考えられる方法はありませんか。
A.
民法上、相続人の範囲は明確に決まっています。家族構成によっては、相続人となる方がいない方もいらっしゃいます。そのような場合でも、遺言書を作成すれば財産を遺贈することは可能ですが、遺言書が作成されていない場合、原則として相続財産は国庫帰属となります。もっとも、相続人になれなくとも特別縁故者となれる場合があります。どのような制度か見ていきましょう。
法律上、遺言の形式・方式については厳格な定めがあり、法律上の形式・方式に従った遺言書がなければ、遺言書はないものとして取り扱われます。従弟さんが生前にお話しされていたとのことですが、残念ながら法律上の遺言とはなりません。
そして、相続人は、亡くなった方(被相続人)の子、直系尊属、兄弟姉妹と法律上定められています。従弟さんと相談者は、これのいずれにも当てはまらないので、相談者は相続人とはなりません。
また、従弟さんはお子さん、ご両親、兄弟姉妹ともおりませんので、相続人がいないことになります。このように相続人がいない場合、原則として被相続人の遺産は国庫に帰属することになります。
しかし、相談者は相続人にはなれませんが、従弟さんの「特別縁故者」として、相続財産の一部または全部を受領できる可能性があります。
特別縁故者とは、被相続人に相続人がいない場合に、被相続人と生計を同じくしていたり、被相続人の療養看護に努めたなど、被相続人と特別に親しい関係があった者のことで、これらの者に家庭裁判所は相続財産の全部または一部を与えることができます。
相談者は、従弟さんと親しく付き合い、療養看護にも関与されているようですので、特別縁故者として認められる可能性があります。
特別縁故者に対し、相続財産の全部または一部を与えるかどうかを決めるのは家庭裁判所です。特別縁故者として認めてもらうためには、相談者は、まず家庭裁判所に対し相続財産清算人の選任を申し立てることになります。裁判所が選任した相続財産清算人は、被相続人の債権者や受遺者に対し期間を定めて申し出をするよう公告し、期限内に申し出があった者に対して適宜清算します。
相続財産清算人が選任された後、相談者が家庭裁判所に対し、特別縁故者に対する相続財産の分与を申し立てることになります。清算後残った相続財産について、特別縁故者に対して相続財産の全部または一部を与えるかは家庭裁判所が判断します。


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