基礎からわかる相続Q&A SEASON5 File10.相続人の中に行方不明者がいる場合の遺産分割協議と相続登記

週刊かふう2026年10月16日号に掲載された内容です。
Q.昨年父が亡くなり、祖父名義のまま残る離島の土地について、父の相続人として固定資産税を支払っています。相続登記の義務化や将来の相続を考え、名義整理を希望していますが、共同相続人と思われる父の兄は南米へ移住後に音信不通で、生存や所在も不明です。このような状況でも名義変更が可能か知りたいと考えています。
昨年、私の父が亡くなり、私が父の遺産を相続することになりました。父の名義の不動産はなかったのですが、離島に祖父の名義のままになっている土地があり、父が税金などを支払い続けていました。この土地の税金を私が支払うことについては、父の相続人としての責務だと思い納得しているのですが、相続登記が義務になったという話も聞きますし、土地の名義をこのままにしておくのは良くないのではないかと思うようになりました。私の子どもからも、将来の私の相続に備えて名義を整理しておいてほしいと言われています。
ただ、父の兄は、若いころに南米に移住しており、父との連絡もずっとしていなかったようで、今どこにいるのか、存命なのかも全くわかりません。このような状態で、祖父名義の土地の名義をきちんとすることができるのでしょうか。
A.沖縄では、かつて海外集団移民に始まり、沖縄戦後の大規模な軍用地の接収により農地や宅地などの生活基盤となる土地が減少する一方で急激に増加した人口を背景に琉球政府が海外への移住を推進した移民の歴史があります。
海外に移住した人については、戸籍上正確な住所等は確認できず、所在確認がうまくできないケースがあります。相続人の中に海外へ移住し行方がわからない人がいる場合の対応を見ていきましょう。
お祖父さんが遺言書を作成していないのであれば、お祖父さんの相続人には、相談者を含むお父さんのご家族と、お父さんのお兄さんが含まれます。
亡くなったお祖父さん名義の不動産を相続人のどなたかの名義にするためには、遺産分割協議や遺産分割調停を成立させる必要があります。この遺産分割協議や遺産分割調停を成立させるためには、相続人全員が合意しなければなりません。
本件では、このままでは叔父さん(父の兄)に遺産分割協議や遺産分割調停に参加してもらうことはできず、これらをすぐに成立させることはできない状態です。
日本国籍を有する方の在留届に関する情報は、弁護士会を通じて外務省に確認することが可能となっています。このような調査を尽くしても叔父さんの行方がわからない場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の申立を行うことが考えられます。不在者財産管理人とは、行方不明者の代わりに財産を管理する人です。叔父さんに代わって不在者財産管理人に遺産分割協議や遺産分割調停に参加してもらうことで、遺産分割協議や遺産分割調停を成立させ登記をすることが可能となります。
また、相談者は相続登記が義務化された関係を気にされていますが、令和6年4月1日に相続登記の義務化の制度が始まり、それ以前に開始した相続については制度開始後3年以内に相続登記をすることが求められることになりました。
もし、期間内に遺産分割協議を成立させることができなさそうであれば、相続人申告登記を行うことを検討してみるとよいかもしれません。相続人申告登記とは、登記簿上の所有者について相続が開始したことと自らがその相続人であることを申し出る制度で、令和6年4月1日から開始します。この相続人申告登記の申請を行えば、相続登記義務を果たしたとみなされます。もっとも、この手続きを行った場合は相談者の相続が発生した後、お子さんらが同様の手続きを取るか検討することになります。



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